苫小牧のホームレス自立支援について

　　　　　 ２００４，５、21

　

私たちの街「氷の街・氷都」といわれる苫小牧に約20人のホームレスがいるとわかっ
たのは、2月の寒い夜のことだった。

脳梗塞後遺症が残る、身体障害者1級の5４歳の男子が、3年間も路上生活をしてい
た。

その人に聞くと20人以上がＪＲ駅周辺で生活していることがわかり、市内全体では、
４０人近い人が廃屋、大型店などの立体駐車場、バス停留場に居ることもわかった。
一番長い人で１５年間との事。

市役所の発表数字は2名でそれを信用していた私にとって、ショックだった。

勤医協苫小牧病院の組織課の野呂さん、ソシャルワーカーの三島さんと夜９時過ぎか
ら、実態調査に歩いた。ホームレスの一人、身障１級の男性は、妻に先立たれた後、
親戚に引き取られて道南地方の町に行ったが、居づらくなって、苫小牧に帰ってき
た。しかし、誰もアパートの保証人になってくれる人が居らず、やむを得ず駅でホー
ムレスになって３年という。

多くは働きざかりの人です、看護師、コンピューターオペレーター、ホームヘル
パー、重機オペレーター、大型自動車の免許をもってる人も居た。

しかし、リストラによる失業、上司とのトラブルでの退社、失業によって家賃が払え
ず追い出された人が圧倒的です。なかには以前やくざ、前科もちも居りますが、まじ
めな人が大半で、女性は4人、28歳から56歳まで、駅舎や公園のベンチで暮らしてい
たのだ、駅で寝ていたとき、火のついたタバコを投げられたこともあったという。

私たちは、放置できない、何とかしなければという気持ちになった。社員支部は社会
保障推進協議会と共同で、北大の先生を呼んで「勉強会」を開き、25人が集まり、そ
の場で支援団体「ホームレス自立支援ネット苫小牧」を立ち上げ、代表に社員支部か
ら私、事務局長に苫小牧病院の野呂課長がなり、企業組合、高齢者事業団、生健会、
友の会と共に、支援活動が始まった。炊き出し2回、苫小牧病院の寺田医師が参加し
ての健康診断、生活相談、市長への要望と懇談、住宅の斡旋、就職の斡旋、生活保護
の申請で、現在１９人から相談を受け、自立支援を行っている。

大きく局面を変えたのは、勤医協苫小牧病院の支援、特に無料・定額診療制度を使っ
た医療支援が決定的で、厳寒の路上生活で冬を越してきた人にとって、病院に無料で
かかれるたことは、まさに命をつなぐ重大な支援だったのだ。これまで十数人で数十
万円に上っています。緊急入院や治療の必要な人に医療を行われるのは、当然です
が、保険もお金もない人に対し、どの医療機関も窓口を閉めている中で、勤医協病院
の医療支援は、多くのホームレスの命と暮らしを励まし、生きる希望を開いた。

もう一つ大きな役割は、地域の協力であった。

その１つはアパート業者の協力で、保証人、敷金、前家賃なしがり「近所の仕出しや
二就職を見つけたから行って」「保護の申請に一緒に行こう」「一生懸命自立するた
め
頑張るんだよ」と支援活動の先頭にたった。まさに、菩薩さまの気持ちになって頑
張った。私は、この民生委員にはげまされた。「ホームレスとは、今の社会の鏡のよ
うなものだ、最も弱い人たちが、今の政治によって、次々に投げ込まれているのだ、
ここに、支援活動の原点がある」と考えるようになった。まさに、ホームレス支援運
動によって、学ばされたのだ。

4つ目は、カンパと電気製品、家具、寝具などの支援の輪が広がったことだ。善意と
共同の輪に感謝している。

「支援ネット」は桜井市長に8項目の申し入れを行って懇談をし、５月１１日には、
市内部に恒常的な対策委員会を設置された。部長会議でも正式に議題となり、取り組
みが始まった。

これから自治体を巻き込んで、雇用の創出、医療支援、生活支援の輪をさらにひろめ
ていきたいと考えている。