カテゴリ:コト
冬が戻ってきたような、しんとつめたい朝。 早く目が覚めたので、あと少しだった本を読み終えました。 「博士の愛した数式」。 映画化もされ、さまざまなところで話題を集めた作品です。 かつては大学の数論教授であったが、 事故の後遺症のため80分間の記憶しか保てない「博士」。 彼の身の回りの世話を任せられた家政婦の「私」と、 その息子で10歳の「ルート」。 3人の過ごした、あたたかく、ときにおかしく、 そして少し悲しいかけがえのない日々を 「私」の視点から静かに淡々と綴った物語です。 数学は「神の手帳にだけ記されている真理」。 友愛数や完全数など、「博士」の口から語られる数字の秘密はとても興味深く魅力的で、 数に対する考え方、見方がちょっと変わりました。 わたしが今学生だったら、もっと楽しく数学を学べたのかも。 読んだあと、心の中に不思議な静けさの残る一冊。 あたりまえのように過ぎゆく日々にあるちいさな幸福を。 例えば夕食の支度をするその後ろで、愛しい人たちが笑いあっていることのあたたかさを。 そういうことを大切に思う気持ちを思い起こしてくれる、そんな一冊でした。 ちなみに映画では、吉岡秀隆さん演じる、成長し中学の数学教師となった「ルート」が 語り手なのだそうです。 こちらも一度観てみたい。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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