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マムの素 * 青カバ・ウィリアムはかく語る

件(くだん)のこと



【件・くだん の こと】
件のことご存知ですか? 「くだん」と読みます。
顔が人間で体が牛、あるいは顔が牛で体が人間と
いわれる生き物です。文字どおり人偏(にんべん) に牛です。
紹介する4冊はこの件についてかかれたものです。
一冊は漫画ですが、のぞく3冊に共通するのは文章の格調の高さです。

暑い毎日におすすめの本です。

冥途
冥途
冥途/内田百間 2,415円
幻想的でなんともいえない浮遊感のある短編集で、
夏目漱石の夢十夜の系譜です。
ちくま文庫の冥途には33篇がおさめられています。
さてこの中の1篇の「件」はカフカの変身をおもわせる
掌編です。

『私は見果てもない廣い原の真中に起っている。
体がびっしょりぬれて、尻尾の先からぽたぽたと雫が垂れて
いる。件の話は子供の折に聞いたことはあるけれど、自分が
その件になろうとは思ひもよらなかった。』途方にくれる『私』。
未来の凶福を預言し三日目に死ぬといわれる言い伝えに石持て
集まる人々。不条理? 
日本怪奇小説傑作集(3) 日本怪奇小説傑作集(3)1,155円
[出口(吉行淳之介)/くだんのはは(小松左京)/門のある家
(星新一)/箪笥(半村良)/影人(中井英夫)/幽霊(吉田健一)
/遠い座敷(筒井康隆)/縄―編集者への手紙(阿刀田高)
/海贄考(赤江瀑)/風(皆川博子)/大好きな姉(高橋克彦)他]
がおさめられいます。第一級の作家が集まった短編集ですが、この中で目をひくのは
 【小松左京著 くだんのはは】 です。
左京さんは、現在「日本沈没」がリメイクされていますが、この くだんのはは を お読みになれば、彼にたいする考えが変わること間違いなしの名作です。終戦間際の神戸の沈鬱な豪邸での話ですが特筆すべきは 戦争当時の様子が、短編にも関わらずとてもよくえがかれていることです。河童さんの「少年H(上巻)」 などは足元にもおよびません。
さてくだんですが、誰もはいってはいけない部屋には着物姿に手や顔に包帯を巻いたくだんが悲しい咆哮をくりかえしています。なぜくだんが出現したか。
先祖の悪の栄が・・・。読んでください。そして小松左京さんの再評価してください。
歯車 歯車/石ノ森章太郎821円
漫画集ですが、なんとこのプレミアムコレコレクションの中に、小松左京原作のくだんのははが、おさめられているのです。マムは中学の頃読んで以来、お振袖姿にぐるぐる包帯のきれいな目をしたくだんが、脳裏にやきついてはなれませんでした。
(話がそれますがブログをはじめて一村雨さんを知り、そのおかげでこのくだんにたどりついたことを明記しておきます。)
初出は「別冊少年マガジン」です。兄の本をきっとマムは読んだのですね。このコレクションの中に「マタンゴ」がおさめられたのにはおどろきました。マムは映画で見たのですが、原案に星新一さんの名が!驚きの連続です。
ぼっけえ、きょうてえ ぼっけえ、きょうてえ/岩井志麻子1,470円
表題作は日本ホラー小説大賞、山本周五郎賞受賞。選者の林真理子さんは完成度の高さ、文章のうまさに絶賛されていましたが、マムも「ぼっけえ、きょうてえ」の文章のうまさと内容の濃さに脱帽しました。
志麻子さんの無頼派ぶり変人ぶりは常にマスコミを賑わせていますが、作家としては底力のある人だと思います。
この本は岡山を舞台にしたおどろおどろしくも哀しい物語り4篇がおさめられています。村の掟のきびしさ、土着、因習、陰惨、地獄という言葉が次々にうかびます。
この中の1篇が【依って件の如し】です。
『件』信仰はそう古いものではないようで、西日本に伝わっているようです。内田百間先生も岡山ですしね。
しかし、志麻子さんのくだんは哀しい。

以上4編の『くだん』話。いかがですか?
どれも読み応えあります。マムが学生だったら絶対に卒論に選びますね。
このくだんに関しての記述は一村雨さんのブログなしではありえませんでした。小松左京のくだんや石ノ森さんのくだんを読んだのは一昔前のことで初出がわからなかったのです。一村雨さんのブログをたまたま目にして紐がつながっていきました。感謝です。

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