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叔母のトコロにもう18年にもなるイングリッシュビーグルがいた。名前はキュウ。
なんとも目つきの悪い犬で、家族では叔父と叔母にしかなつかず、 私が遊びに行っても、ギロリと睨むだけで、なでようとさしのべる手にも、ウーと唸った。 5年ほど経った頃、どこからともなくアメリカンビーグルが迷い込んできて、 犬が大好きな叔母家族は、チビと名付けキュウと分け隔てなく可愛がり育てた。 チビはキュウと違ってとてつもなく愛想がよく、誰にでもひれ伏し、こびる。 野良犬として世間を渡ってきたチビならではの体に身に付いた技だ。 そして自分より大きなキュウより、偉そうにして、キュウの寝床を取ってみたり、 えさをとってみたり。キュウにとってはたまらなかっただろう。 2匹の雄は、それなりに仲良しで、ケンカをすることもなくその後の13年あまりを過ごした。 何度遊びに行ってもなつかぬキュウに業を煮やし、私はチビばかり相手にしていた。 土曜日に久しぶりに叔母のところへ行き、お茶会と称してダラダラみんなでおしゃべり。 外ではキュウが定期的に、それも元気なく”ヴォウ”と吠える。 2ヶ月ほど前から痴呆が激しくなり、夜眠れないので、夜中になると吠える。 それでも精神安定剤をえさと一緒に与えることによって、静かに寝ていたそう。 けれども、数日前からえさを食べなくなり、薬が飲めなくなった。 なので、鳴いては寝、鳴いては寝を繰り返していた。 30キロを超える巨体は徐々に動かなくなり、そして昨日天国へ行ってしまった。 カワイクなかった犬にせよ、家族の気持ちを考えると、少し悲しい気分になった。 「キュウが亡くなりました。寂しいよ。今、焼き肉を食べに来ています」 その夕方に送られてきた叔母のメール。 焼き肉食いにいっとんかい! キュウちゃん、長い間、ごくろうさんね。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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