マイナーな生活 by c-oyaji

2011/07/17(日)07:42

円高のメリット???

為替(57)

金融関係のコラムを読んでいて、「円高のデメリットを騒ぎすぎている、メリットがあることも知るべきだ。輸入原料が円高で安くなれば利益は増える。」 といった論調を見つけた。 まだこのような理解をしている人がいるのだな、きっと製造現場とか原価計算とか経験のない文化系の人なのだろうと思った。 逆に当oyajiは経済などの文科系には疎いのだが、ちょっと考えてみたくなった。 例によってヒマを持て余し、頭の活性化をしたいので・・・ 間違いがあるかもしれないが、間違えても誰にも迷惑は与えないだろう。 (コラムを書いた人に届けばいいのだが、まあ無理か) 円-ドル、日本-アメリカの関係だけに単純化しよう。 そして、製品の原価構成を簡単に (1)原料費 (2)原料と人件費以外の製造変動費 (3)製造人件費 (4)固定資産の減価償却費 (5)間接経費 (6)間接人件費 (7)利益       としよう。 1.海外から製品・原料を買ってそのまま日本で売る  安いドルで買って、高い円で売るのだから、利益が増える。これこそ円高を享受  もっとも、それを知った消費者は安くしろと騒ぐだろう。 2.海外から製品・原料を買ってまた海外へ売る:転売  安いドルで買っていつもの利益を上乗せして、再度ドルで売る。  いままで100で買って10の利益を加えて110で売っていたとすると、  円高では80で買える、ところが上乗せは従来の10では販売価格が90になって  これは値上げになってしまう。  ドルを扱うものとしては日本円で88が前と同じ価格なのだ。  つまり、日本の利益は20%円高になれば利益は20%減少(10→8)する。 3.海外から原料を買って日本で加工して海外へ売る  モノ作り日本の元々の姿といえる形である。  (1)原料が100から80へ円高で下がる。円高の享受だ。  (2)~(6)はどれくらい下がるか、輸入の燃料など下がるだろうが僅かだ。  50が49に下がったとしよう。  最後に(7)利益を以前と変わらず10上乗せしよう。  合計は以前に160だったものが20%の円高で139になった。  円高はありがたいと言えるか?  販売価格139は160の87%である。  ドルで生活している者にとって、ドルが20%下がったのに、製品は13%しか下がらない。  これは値上げである。以前と同じ価格で売るには128(160X0.8)で売らなければならない。  となると、以前は10の利益だったが-1の赤字にしないと同じ価格にならない。 製品の売買はこれくらいにして 4.円高による海外投資のメリット  以前は100で買えた海外の物件(会社やビル)が20%円高なら80で買える。  これはメリットだ。  しかし、円相場が元に戻れば良かったと言えるのだが、更に円高が進むと・・・  海外の資産が目減りして、投資額が回収できなくなる。 確かに日本の企業、国民はこれまで円高が進んでもそれに耐えられるよう努力してきた。 3.の状態でも経費や変動費をコストダウンで改善し、人件費も人の効率を上げたり、人の数の増加を抑えたり。挙句の果ては人員整理、給料カット。 日本国内で企業を存続させようとすれば、それしかない。 残された手は、更なる人件費カット・・・これは現在給与の安い国へ移転することで可能だ。 これまで海外から得た利益を円高で返しているといえばそれまでなのだが・・・ 円高のメリットはどこにあるのだろう。 (1)のケースでさえ、海外から買い続けていれば、支出は減るが収入も減る。 国内で作った製品は高いのだから売れない=会社の利益がない=給料をへらす。 行きつくところは安い製品はあるが、買う金がない、そんな負のスパイラル状態だろうか。 行きついたところで最悪の事態:日本大暴落を起こすことは予め避ける努力が必要ではないか。 (円高ではなく、電力供給不安を理由に3年以内に半分近くの企業が海外移転強化を考え始めたという。日本には何が残るのかな。本社事務部門と家内工業、じいちゃんばあちゃんによる自給自足の農家と漁業?我が家には農地がないのだけど、どうしよう。) だめだめ、こんなこと考えていては将来が暗すぎて、気分が滅入る。 100円DVDを借りて観ていよう。

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