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一語楽天・美は乱調の蟻

クロウタドリよ ♪

Blackbird singing in the dead of night ・・・と歌うのはポール・マッカートニー、ビートルズが崩壊寸前の頃、1968年に書かれ、ホワイト・アルバムに収められた、僅か2分ほどの小品ながら、その曲想のシンプルな美しさと歌詞に漂う小さな激励のゆえに、この曲を愛する人は大いに違いない。

多くのカバーの中から3人を選んで30秒ほどのクリップを抽出し、それにポールの原曲も絡め、一曲作ってみた。一人目は映画「Across the Universe」のサウンドトラックからエヴァン・レイチェル・ウッド(Evan Rachel Wood)、次にポール自身、3人目がカーリー・サイモン(Carly Simon)、最後にジェシー・マッカートニー(Jesse McCartney)。それぞれ独特の味付けで聴き応えがあるけど、エヴァン・ウッドのアコーディオン(?)で始まるケルティック風のアレンジもいい、カーリー・サイモンのは落ち着いたフォーク調でここでは入れなかったが弦のバックもしっとり感を増す、しかし最後に貼り付けたジェシー・マッカートニー、ポールとは何の姻戚関係もないのだが、彼のギター一本をバックにしたジャズ風のアレンジ、これは秀逸だ。

Sample0811.mp3

他にも、クロスビー・スティルス・ナッシュがウッドストックで歌ったものやサラ・マクラフリンのバージョンがあるが、この編集では1コーラスを一人に歌わせたかったので4人に限定した。

この曲には、コンサートなどでポールが明かしてきた二つの秘密がある。

まず、この曲の伴奏はギター一本で、真ん中のGの弦を常に鳴らしながら上下の弦の指を滑らせていく、とても印象に残るギターのフィンガー・ピッキングでされている。この伴奏の出だしのところはバッハ作曲のホ短調ブーレにアイディアをもらった、そうだ。

もうひとつは、この曲の歌詞について。1968年にポールがこれを書いた頃というのは、アメリカでは市民権運動が盛り上がっていた。例えば、アラバマ州モンゴメリーでローサ・パークという黒人女性が、市バスで白人の客に席を譲ることを拒否したのが1955年、アーカンソー州リトルロックで9人の黒人高校生(うち一人は女性)が公立高校への入学・登校を妨害されたのが1957年。ポールによれば、この曲のタイトルであるBlackbirdとは、黒人女性のことなんだそうだ。要するに、差別されてきた黒人たちへの応援歌なわけで、「その折れた翼を抱えて飛ぶことを学ぶんだ、その窪んだ両目を開けて世界を見ることを学ぶんだ、君たちはずっとずっと長い間このときを待ち望んでいたのだから、さあ自由になるために飛び立つんだ、暗黒の夜の光の中へ」という歌詞にはそういう暗喩が込められていたのか、と納得する。

僕たちは黒人の苦しみを肌で感じることはできないけど、週が明けて夏時間が終わるとともに、半分は黒人の血を引くオバマがアメリカの次期大統領に選ばれることは、とんでもないことがない限りもう確かなことで、僕は一人で、勝利宣言の会場で人々が抱き合いながらこの歌を口ずさむ光景を想像してみる、Blackbird, fly into the light of a dark black night...


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