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2004.07.03
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シャーリーズ・セロン(Charlize Theron)がこの作品で主演女優賞をとった「モンスター(Monster)」。実在の犯罪者を取り扱う映画はあまり観ないのだが、友人からの絶対のお勧めなので独立記念日の週末に観た。

まずびっくりしたのはシャーリーズの変身振り。いつもの美貌をメーキャップでそばかすだらけのありきたりの白人女性にし、15キロも太らせたというぶよぶよのウエストとお尻に変え、発声を低くし入れ歯を入れ、身のこなしを徹底的に非女性的にした。この変身だけでも主演女優賞の価値があると思うのは、ケビン・コスナーとキアヌー・リーブスがあまりにいつも同じ演技しか出来ないのを観すぎたためだろうか。

映画は、実在の連続殺人者で、2002年に死刑になったアイリーン・ウォーナス(Aileen Wuornos)の話を元にしている。アイリーンはフロリダ州のハイウエー脇で男の客を取る娼婦。ある晩たまたまゲイ/レズビアンバーで知り合った18歳のシェルビーと恋しあう仲になる。アイリーンにとっては初めての同性愛の関係だった。これまでの人生で、男性という動物が彼女に対して真剣に接してこなかったのだろう。彼らと心の繋がりをもてなかったのだろう。同性のシェルビーとの間に芽生えた愛情は新鮮で喜びであった。

もう一つ、18歳のシェルビーが性愛の快楽以外まだ何もわかっていない壊れ物のような存在だったことが、アイリーンを一種の保護者の地位に高めた。そのことによって、アイリーンは今まで経験することの出来なかった自尊心の満足を得られたのだろう。シェルビーを守り、生活を支え、二人だけの毎晩のパーティーに耽る。そのために自分を売る。そういう関係を夢想したのだろう。

そんな関係のしょっぱなに事件が起こり、自己防衛とはいえ男を殺してしまう。そこからあとはまるでギリシア悲劇のように抜け道がない。実在のアイリーンは7人の男を殺したそうだ。映画でもそのうちの数人の殺人が描かれている。アイリーンに殺された男達はそれなりに殺されても仕方がないような男だ。ただ一人、最後に殺した男の場合は、アイリーンの良心も殆んど壊れたなという不必要な殺人だった。

アイリーンにとって悲劇なことは、シェルビーという若いレスビアンの女の子が援助交際程度の感覚しか持ち合わせていない人間だったとい事だ。映画の結末でははっきりしないが、アイリーンが逮捕された後シェルビーは恐らく自己保身を第一に考えたのだろう。一方アイリーンは、シェルビーの関わりについてはかたくなに口を閉ざしたようだ。そんな、アイリーンの気持ちをどこまでわかっているだろうか、シェルビーは。

僕はこの連続殺人犯人に同情してるのではない。いや、同情はしてるが、死刑にされたことが可哀相だとかは思っていない。ただ、アイリーン・ウォーノスのように、僕たちは階段や梯子を踏み外すことがしばしばあるが、それでも殆んどの人間は何とかまた元に戻れる、いろいろな人の助けやいくらかの蓄えや自分の努力で。ところが世界には、そういう助けや蓄えがない人がいるんだなということを、そしてそういう人は落ちていくしか他にないんだなということを、この映画は実にしっかりと描いている。





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最終更新日  2004.07.04 16:31:21
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