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一語楽天・美は乱調の蟻

2004.08.01
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スペインの北東部、フランスとの国境に位置する、当時のアラゴンのペドロ2世が調停のためにカルカソンヌに来た。カルカソンヌはトレンカベル家の領地だったが、アラゴンの庇護下にあった。法王特使アルノーは頑固に調停を拒絶し、ペドロは怒ってアラゴンに戻った。

十字軍は攻撃を開始した。多分、指輪物語に出てくるような戦いだったのだろう。TrebuchetやMangonneauなどの投石機を使っての城落しだった。参考に、この二つの投石機のスケッチを、ここにおいて置く。

難攻不落のカルカソンヌの弱みは水だった。水の補給路を絶たれた城塞都市は、二週間後に降伏した。カタリ派信者を保護して寛容さを示した、トレンカベル家の領主、若干25歳のレモン・ロジェ3世は幽閉され、3ヵ月後に死んだ。カルカソンヌでは大虐殺は起こらなかった。カタリ派信者も含めて住民は放逐された。

アルビジョア十字軍の軍事上のリーダーの一人、シモン・ド・モンフォール4世がカルカソンヌ、アルビ、ベジエ地帯を領有することになった。他の騎士達の多くは、宗教問題の多いこの地方に興味なく、北フランスへ戻った。

ここでちょっと、アルビジョア十字軍の起こった背景を、わかった範囲でまとめてみる。

もちろん、宗教問題が大きい。カタリ派の考え方は後にもう少し詳しく見るが、今は、カトリックの支配に対して都合の悪かった点を簡単に述べる。カタリ派によれば、この世そして肉体は悪の神によって生み出されたもので、魂は善の神に属するもので清貧の生活をしていればいずれ救われる。しかし、救われるために司祭も法王も必要としない。グノーシス的な発想だ。神への仲介者を不必要とする考え方は、ローマ法王を筆頭とするカトリックのハイアラーキーにとっては、非常に困る。

南フランスの比較的自立した繁栄、これもローマ法王にとっては気に入らなかった。ラングドック地方は、まだローマ法が通用していた。これに対して、北フランスではフランク人の部族方である「レックス・サリカ」という法典が基準だった。当時の南フランスの政治・社会的雰囲気がここのサイトで描写してあるので、以下引用する。

ラングドッグは政治も文化も北部とは異なり、差別意識のない地域だった。ギリシア人、フェニキア人、ユダヤ人、イスラム教徒が仲良く暮らしていたのだ。ユダヤ人は迫害されるどころか、領主から経営顧問をまかされたり、司教になる者までいた。階級の違いもほとんどない。農奴のような屈辱的階級もない。町は自由そのもの。法律はローマ法。教養あふれる民衆。活発な文化と商業。ヨーロッパで最も栄えた地域。それがラングドックだったのだ。

新興の中産階級、その自主・寛容・富を、旧態然としたカトリック教会は取込む術を知らなかった。要は、自分達の商品市場がどんどんと侵食されて来てあせったと言うことだろう。Crusadeという大義名分で押さえつけよう、と法王イノケンティウスは考えたに違いない。

カルカソンヌ攻略から遡ることおよそ2年、1207年、イノケンティウスからカタリ派問題の特使に命じられたアルノーは、協力を求めるため、同じシトー派のピエール・ド・キャステルノーを南フランス・トゥールーズのレモン6世のもとに送った。前述した、カルカソンヌで獄死することになる、レモン・ロジェ3世の叔父にあたる。

レモン6世は、自分の領民を駆逐しても何の得にもならないと考え、きっぱりとカタリ派討伐参加を拒否した。カスティルノーはレモンの破門を要求し、1207年5月に、レモンは破門となった。

1208年1月、カスティルノーとレモンはプロバンスで再度話し合う。激しい罵り合いの末物別れに終わった。翌朝、カスティルノーは死体となって発見された。レモンの送った刺客に暗殺されたに違いない。法王イノケンティウス3世は怒り狂い、アルビジョア十字軍を要請したのだった。カタリ派と共に、カタリ派を擁護する貴族を滅ぼせ。奪った領土は戦功のあった者に与えると約束された。

ベジエ、カルカソンヌ、ミネルベ、テルメス、次々と占領、略奪を続けるアルビジョア十字軍がトゥルーズに攻めてくるのは時間の問題だった。






最終更新日  2004.08.02 06:20:07
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