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2004.12.22
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ラファエロとパン屋の娘の話をまとめよう、憶測と仮説の寄せ集めだが。

母、マジアは、ラファエロが8歳のときに病死した。母の愛情を十分に受けることのなかったせいか、ラファエロは母性的なものに憧れた。父の再婚相手は、金にうるさい女だった。それが、ラファエロの上昇志向を煽ったのかもしれない。

ラファエロは女好きだった。マザー・コンプレックスの所為かどうか。ハンサムで性格がよく売れっ子の画家なのだから、グルーピーがいない方がおかしい。1510年ごろ、パトロン、アゴスティーノ・キージの別荘の仕事をしていた時に、マルゲリータ・ルーティと知り合った。今まで付き合った上流階級の女性と違う、気さくでちょっと異国的なパン屋の娘、マルゲリータに溺れた。ラファエロ、27歳、若さの絶頂である。



ラ・フォルナリーナの上半身ヌードの画はこの頃描かれた、マルゲリータの画だろう。下絵は自分で描いて、後は助手達に任せることの多かったラファエロだが、この画はもちろん自分だけで描いた。

左腕の腕輪の拡大写真を見ると、そこにはくっきりと、"Raphael Vrbinas"とある。これはラファロが画の署名に使ったものだが、こんな所に署名を入れるというのは意味深だ。出身地ウルビーノのラファエロ、というのが文字通りの意味だが、「この女性はラファエロのもの」と言いたかったのかも知れない。

頭には、厚手の絹のターバンを巻いてある。当時流行っていたものらしい。ターバンは、左のこめかみの上あたりで、宝石の飾りで髪に留められてある。この解像度ではよくわからないが、ルビーとエメラルドの組み合わせだそうだ。当時の慣行では、花嫁がエメラルドをつけたそうだ。

もっと不思議なのは、左手の薬指の指輪だ。これも拡大図を載せてあるのでよく見ると、薬指の第一間接と第ニ関節の間までしか、入っていない。まるで、結婚式の時に新婦の指に、指輪を入れる途中のようではないか。



ミステリーはまだある。この指輪の存在が発見されたのは、ごく最近、X線撮影によってであった。500年もの間、この指輪はフォルナリーナの薬指にひっそりと隠れていたのだ。誰かが、この指輪の存在を隠したかったのだろうか?ラファエロ自身がそうしたのか?

ラファエロの1516年ごろの作品に、「ラ・ヴェラータ」(La Velata)という、婚礼の衣装をつけた女性の画がある。目も鼻も耳も、ラ・フォrナリーナの女性とは違うように見える。しかし、髪を留める宝石の飾りがとても似ている。ある深読みサイトによると、この二人の女性は同一人物つまりマルゲリータで、ラファエロはほんとは彼女と結婚したかった。ある事情からどうしても実現出来ないラファエロの夢を二枚の画に託したした、という仮説を立てている。真相はわからない。

ベルナルド・ディヴイジオ枢機卿はラファエロの友人かつ強力な後援者だった。彼はラファエロと自分の姪を一緒にしようとしていた。そして、とうとうノーと言えなくなって、結婚を決意し婚約したのが、1514年だった。

マルゲリータとの熱愛の渦中だったろう。それともう一つ、ラファエロの上昇志向の究極の夢があった、枢機卿になることだ。教皇はその可能性を示唆してくれた。しかし、結婚すれば枢機卿にはなれない。マルゲリータとの逢引を重ねながら、どうしていいかわからず、ぐずぐずと先延ばしにしているうちに、婚約相手のマリアが失恋の痛手からだろうか、病死してしまった。

ラファエロとマルゲリータとの愛の交換は激しさを増した。ヴァザーリによると、ある日余りに激しい逢瀬の後で、ラファエロは消耗しきり、高熱を出して帰宅した。高熱の原因を誤解した医師は、ラファエロの身体から血を抜いた。性愛で憔悴した身体にはより血が必要なのに、抜いたものだから、更に憔悴した。数日後、ラファエロはあっけなく死んでしまった。

今となってはどこまでが真実かわからない。ラファエロが名声を求めたこと、紹介された女性との結婚はしたくなかったこと、はっきりノーと言える性格でも立場でもなかったこと、失楽園的な性愛に溺れたこと、このぐらいまでは多分確かなのではないだろうか。自分の一番したいことを発見できなかったか、あるいは貫けなかったか、慈愛あふれる画で見る人を恍惚感に酔わせても、自分は幸せになれなかったのかもしれない。

参考
Raphael: Grace and Beauty 2001 (パリのルクセンブルグ美術館での展示会のカタログ)
Michelangelo and the Pope's Ceiling, Ross King, 2003
The Great Maters, Giorgio Vasari, 1986 (ヴァサーリの1550年の著作を元にした安価本)
http://www.asahi-net.or.jp/~mh4k-sri/art/galitea.htm
http://www.tv-tokyo.co.jp/kyojin/picture/010512.htm
http://www.tv-tokyo.co.jp/kyojin/picture/000916.htm
http://www.ekakinoki.com/a_maestri.html





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最終更新日  2004.12.22 17:10:19
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