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また旅をしているので、まとまったことを書く余裕がない。只今深く静かに進行中の、僕のオフィスのクーデターのことでも書こうと思う。
一年前に「僕のオフィス 3」として書いたのだが、その復習から。「僕が課長とすると僕のボスのカトー君は部長で、その上が本部長である。さて、この本部長というのが医学博士、法学博士、それにパブリックヘルスの修士と三種の神器ならぬ学位を備えたおばあちゃんである。悪い人ではないのだが、僕にいわせればリーダーの器ではない。まあ、僕に言わせればリーダーと呼べるような人はあまりみかけないのだが(なんと傲慢な)。そんなドリス本部長のリーダーシップのなさを気に入らない人は多く、先々週部長が一人辞表を提出した。約一年程前にも部長が一人ドリス本部長と喧嘩してやめた。後任はいまだに決まってないところに今回の抜き打ち辞表である。あと残る部長は僕のボスのカトー部長ともう一人窓際族部長の二人だけになった。」 詳細は省くが、この日記を書いた後数ヶ月して、ドリス部長と僕は衝突してしまった。土井健郎の「甘えの構造」を地で行く僕という人間は、僕を認めない、僕を愛さないものに対しては著しく臍を曲げる。そこで、クーデターを決意した。ドリス部長が僕を必要としないなら、それで結構、僕は自分の部下を連れて他へ行こう、と決めたのだった。 だいたい僕のやってることは、ドリスばあちゃんの下にいなくても、どこにいても出来ることなので、「ピーターさん、僕と僕の部下はこれこれの仕事ができるんですが、あなたのところにこういう人材を置けば、あなたの本部にも箔がつくというもんでしょう。僕たちは予算は自分らで稼ぎますからあなたに予算をくれとは言わない。ただ場所と名前だけ貸してもらえればそれで十分です」と、早速別の本部長のところに話を持ちかけた。 驚いたことに、彼は乗ってきた。これで行き場所が見つかった。 ひとつだけ難関がある。僕の部下はほぼ全員が契約社員なのでどこに移ろうといいのだが、僕は一応州の公務員だ、そう簡単に部署は移れない。これから行こうとする本部に僕の職に該当するポストの空きがなくてはならない。残念なことに相応の空きがなかった。 ちょうどいい。これを機に州の公務員を退職すればいいのだ。退職して自由の身となり、自分を契約社員として雇えるような契約を新しい本部で作らせる。 と、約半年前から計画を始め、契約を作ってくれる部を探し、僕らの仕事に金を出してくれるいくつかの部門の根回しを終え、今契約作成の大詰めに入っている。この大事な時に、日本での私用を済ませるために3週間アメリカを留守にしているのだが、早朝の2、3時間がアメリカとの仕事時間と重なっているので、7月1日の契約実施に向けて、毎朝国際電話であれこれ難問を処理している。 クーデターが計画通り成功すれば、7月1日に僕の部下の契約社員が全員僕のオフィスから消える。新しい契約元、ピーター本部長のいるビルに移るわけだ。僕は一人今の本部に残るのだが、それも10月末日まで。その日静かに退職し、契約社員となって部下たちの後を追う。老兵は死なず、ただ消え去るのみ。ドリスばあさんよ、あなたもいつまでも老醜を晒していず、多くの人間が待ち望んでいるあなた御自身の退職をできるだけ早く実現したほうがいいのでは? お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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