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Self-esteemを英辞郎で引くと「自尊心」とか「自惚れ」といった訳が出ている。自惚れは言うまでもないが、自尊心にしてもあまりいい意味には使われないのではないだろうか。「あの人は自尊心が強い」というのは「強すぎる」という意味で決して好きな人のことを描写するのには使わないだろう。今までの日本では出る杭は打たれたのだ。
アメリカの教育ではセルフ・エスティームをとても強調する。自分のことを高く評価するというのを前面に出すことで、自分に対して人生に対して前向きに挑んでいく精神を植え込み共同体や国の力を強くしようという、戦略的な意味もあるかもしれないが、なによりもまず一人一人の個人の価値を尊重しようということなのだろう。(それにしては、今回のニューオリンズの災害に対処する連邦政府の姿勢には、貧困者や社会的弱者に対する配慮が欠けていたように思うが。) セルフ・エスティームを煽ることでよく耳にするのは、アメリカの教師、アマチュア・スポーツのコーチ、医者などいわゆる先生族の教え子達に対する態度だ。貶すということを殆どしない。常にポジティブな面を見つけてそれを伸ばそうとする。生徒からするとこれは気分がいいのでやる気も出るし授業料を払い続けるから、先生にとっても収入の安定に繋がる。という、実利的な面を差し引いても、褒め倒しの教え方は教育効果が高いのではないだろうか。 モントリオールのマギル大学でアルツハイマー病の研究をするSonia Lupien教授の最近の研究によると、セルフ・エスティームの低い人の脳はよりポジティブな人に比べて20%も小さいそうだ。予想されるように、脳の小さい人達は記憶テストでも結果が低い。ネガティブ思考は脳のストレスを増しニューロンの活性化を妨げるのだろう。 全米オープン第3ラウンドで大番狂わせがあった。第2シード、フレンチオープンの覇者、マジョルカ出身19歳のラファエル・ナダールがアメリカのジェームス・ブレークにセット数1対3で敗れた。ナダールは王者フェデラーに土をつけたこともある、19歳とは思えない筋肉をまとった俊足のサウスポーで、前後左右に流れるように走り回りどんなボールにも追いつく。柔らかい体と腕力を生かしたトップスピンの威力はその跳ね上がる球の威力でアガシも粉砕した。 ナダールを破ったジェームス・ブレーク(26歳)は1999年にプロに転向、アメリカの新星として一時世界ランキングのベスト40にも名前を連ねた。1年ちょっと前から続けざまに不運が訪れた。まず、練習中にネットポストにぶつかり首の骨を折った。去年の7月には最愛の父が癌で逝った。一週間後に、今度は帯状疱疹に感染した。一時的に顔面が麻痺し、視力、聴力の障害に悩まされた。今年に入ってようやくもとのレベルを取り戻したばかりだ。 一連の不幸に対するブレークの態度は非常にポジティブだ。首の骨を折ったことは幸運だったと、ブレークは言う。お陰で、父親の最後の時間を一緒にすごすことができたからだ。今日の試合のあとのインタビューでも言っていた。「雨の日があるから晴れた日の有難さがわかるのさ」 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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