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2014.12.13
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数か月前に「素粒子論はなぜわかりにくいのか」(吉田伸夫、2014年、技術評論社)のレビューを書きましたが、その本の副題が「場の考え方を理解する」でした。素粒子論は、量子力学が発展・拡張した「量子場論」あるいは「場の量子論」(英quantum field theory)が基礎にあります。量子場論では、電磁気力などの基本的な<力>は相互作用を媒介する粒子の交換で起きる、と考えられています。粒子の交換が力、という概念は僕たち素人にはあまりピンと来ません。そこで説明の際に次のような喩がよく使われます。

二艘のボート、あるいは二人のスケーターでもいいのですが、二つの物体が横並びに動いている状況を想像してください。その一方から他方にある程度重量のあるボールを投げます。投げた方はボールを投げる勢いで、受け取った方はボールの勢いを受け止める衝撃で、お互いに相手から離れるように作用を受けます。二艘のボートはお互いに離れていきます。これが粒子の交換による斥力の作用です。この喩では引き合う力の説明がうまくできないのですが、それを直感的に分からせてくれる喩にはまだお目にかかっていません。(逆方向に投げたボールが地球を一回りして相手の後ろ側からぶつかる、という説明が冗談半分にありました。)

例えば、電磁気力は光子という粒子が作用を媒介していると考えられています。光子というのは光を形成する粒子のことです。光が波のような性質と粒子のような性質をもっていることは長い間確認され議論されてきました。現在の定説は光子という粒子が波のように振舞っている、というものだと思います。

二つの電子が近距離にあるとしますと、同電荷(マイナス)ですのでお互いに離れあうような力が働きます(斥力)。量子場の理論では、この斥力は光子が一つの電子から放出されて、もう一つの電子に吸収されるからだと考えます。

しかし、問題がひとつあります。光子が放出されてもう一つの電子に吸収されるまでの非常に短い時間、エネルギー保存則が破られているようなのです。いろいろな本で異なった説明がありますが、一番わかりやすかったのはこうです。各電子の持つエネルギー量をE1、E2、放出された光子の持つエネルギー量をE(光)とします。この光子が吸収されまでの間、総エネルギー量はE1+E2+E(光)となり、放出前の合計E1+E2より大きくなっています。吸収された後はまたE1+E2に戻って問題ないのですが、光子が存在している瞬時のエネルギー保存則の破れをどう考えたらいいのでしょう。

ここで物理学者たちは、ハイゼンベルクの不確定性原理を持ち込んで、難局を切り抜けます。不確定性原理をどう解釈するかは、学者によって異なるのですが、今日のところはひとまず、物理量には本質的なゆらぎ(又は、あいまいさ)があって確定することが出来ない、と解釈してみます。厳密には、このゆらぎは単独の物理量ではなく、密接に関連した二つの物理量の積にあてはまるものです。エネルギーと時間は、密接に関連した物理量です。不確定性原理によると、エネルギーのゆらぎと時間のゆらぎの積は、決してゼロにならないのです(ある小さな定数より大きくなる、というのがより正しい言い方ですが)。ということは、エネルギーが一定であるという法則(エネルギー保存則)は、ごく短い時間の間なら、ある微小な幅の範囲(ゆらぎ)が許される、と解釈されます。

上の例で、光子のエネルギー量、E(光)、は余分なエネルギーでした。今、この余分なエネルギーをゆらぎと考えればいいのです。このゆらぎがごく微小な時間内に起こるのであれば、エネルギー保存則は破れたことにはならない、という理屈になるわけです。ですから、上で説明した光子の交換による力の発生が原理的に可能になるのです。

電磁気力を媒介する光子は通常の光の光子とは性質が異なるため(瞬間的に現れて消え、磁力も誘導しない)、仮想光子(virtual photon)と呼ばれます。つまり、ほんとは存在しない、ということなんでしょうか。

ところで、日本最初のノーベル賞受賞者湯川秀樹は、媒介粒子のアイディアを核内の結合力に応用しました。核内の結合力とは陽子や中性子を結びつける力です。ハイゼンベルクの発想からヒントを得て、核内の引力を媒介する粒子があるに違いないと考えた湯川は、1935年に中間子という媒介粒子の存在を予言したのです。現在はパイ中間子、パイオン、またはパイメゾンと呼ばれているこの粒子は1947年に発見され、その結果1949年に湯川はノーベル賞を受賞しました。

(門外漢の書いたもので不正確な内容があると思います。ご指摘ください。)





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最終更新日  2014.12.13 14:31:35
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