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一語楽天・美は乱調の蟻

2016.01.30
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神経組織は神経細胞が幾つも繋がってできていますが、この繋がり部位で神経細胞同士は接触していません。一つの神経細胞とそれにつながる別の神経細胞の間には微小の隙間があり、ではどうやって神経組織を情報が流れるかというと、その隙間で神経伝達物質が活躍して情報が伝わるのです。この隙間接合部位をシナプスと呼んでいます。

2014年ごろですか、自閉症の患者の大脳皮質にはこのシナプスが過剰に存在する、という記事がありました。2歳から20歳までの献体48体の大脳皮質のシナプス数を調べた論文で、うち26体は生前に自閉症と診断され、残りの22体は自閉症ではないものでした。二つのグループの比較でわかったことは、小児期早期には同様だったシナプスの数が、19歳になると自閉症者では16%減少していたのに対して、非自閉症者では41%も減少していたそうです。シナプスが減少する現象は、小児期早期から思春期にかけて起こる正常なプロセスで、シナプスの刈り込み(synaptic pruning)と呼ばれています。自閉症者では、この刈り込みが十分に行われておらず、それにより脳内の電気信号が過剰で、てんかんのリスクが高まる、と研究者は推論していました。

ところが今度は、シナプスの刈り込みが過ぎた場合に起きる病気の可能性が指摘されたのです。ここで問題になる病気は統合失調症です、以前は精神分裂病と呼ばれていました。(英語ではいまもschizophrenia(スキゾフレニア)と呼ばれています。)1月27日号のNatureに発表されたSekar A, et al. Schizophrenia risk from complex variation of complement component 4という論文です。

統合失調症は免疫機能となんらかの関係があるのではという疑いは、以前から研究者の間にはあったようです。この論文の第一著者であるAswin Sekarは、自分の直感に従って、原因はC4遺伝子に違いない、とこの研究に打ち込みました。免疫システムにはCompliment System(補体)というサブシステムがありますが、そのシステムの構成要素の一つにCompliment Component 4と呼ばれるタンパク質があります。これがC4タンパク質です。C4タンパク質は、免疫細胞によって破壊されるように病原体に印をつける役目をします。C4タンパク質の生成を管理するのがC4遺伝子です。

著者たちは、C4遺伝子の特定の変異が統合失調症の発症に密接な相関関係があることを突き止めたのです。この変異のC4遺伝子を持っていると、C4タンパク質の数が多くなることも相関関係で明らかにされました。そして、C4タンパク質は、シナプスの刈り込みで重要な役割を果たしているのです。これらの糸を繋ぐと、C4遺伝子の変異形=>より多数のC4タンパク質=>シナプス刈り込みの増加=>統合失調症、という可能性が出てくるのです。シナプスの刈り込みは思春期までに起き、統合失調症の発症も思春期が多い、というのもこの可能性の傍証になります。

このニュースのまとめサイトの一つ(英語)






最終更新日  2016.01.30 21:42:45
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