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2016.08.13
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村上春樹の1992年ごろのエッセー「やがて悲しき外国語」にこんな箇所があった、「僕は傾向的、性格的に外国語の習得には向いていないし、とくに年を取れば取るほど、その<向いてなさ>が自分の中でより顕著になってきたような気がする」。僕と同じ年齢の春樹氏がほぼ四半世紀前に悟ったことを、遅ればせながら僕も最近よく感じる。ここ数年スペイン語を学ぼうとしがみついているが、なかなか上達しない、とくに話せないからだ。

このエッセーの中で、「よく日本人はうまく話せないのを必要以上に恥ずかしがるために語学が上達しないと言われるけれど、僕はそういう恥ずかしさというのはあまり感じない」と前置きして、代わりに「自分の思っていることを日本語ですらすらと口語的に表現できない人は、外国語をいくら熱心に勉強したところで、その言葉でもやはりうまくは話せないだろう」と春樹氏自身の仮説を述べている。その上で、「外国人に外国語で自分の気持ちを正確に伝えるコツ」を三つ挙げてエッセーを締めくくっている。一つ、自分の言いたいことをはっきりと把握すること、二つ、シンプルな言葉で語ること、そして三つ、大事な部分はわかりやすく言い換えて(パラフレーズして)ゆっくりしゃべること。

春樹氏のこの助言は、ある程度その外国語に通じている場合、あるいは人前でスピーチをするそれも準備する時間をある程度与えられている場合、にはある程度役に立つアドバイスだろう。しかし、その外国語の語彙も少なく、その場のアドリブで話す状況では、「言いたいことを把握する」時間もないし、それゆえ「シンプルな言葉」も探すこともできず、まして「わかりやすく言い換える」ことなど実行不可能といえる。以前にも書いたことがあるが、こういう時の会話はほぼ口から出まかせ、より具体的には、話したいことのあるイメージが漠然とあり、それを炙り出すため脳のあちこちに蝋燭の火をかざす、という感じなのだ。そんな時に、「言いたいことを把握」しようとしたら、昔の日本の政治家のように「えーあー」という発声練習を続けることになる。まあ、これも脳の回路状態が良い人なら高速で行うことができるだろうが、我々高齢者には難易度が高すぎる。

この難局を乗り切るための近道はない。ポッドキャストなどを聴いて耳を慣らし、ニュース・小説・エッセーなどいろいろなジャンルの文章を読むこと、これを根気よく続けるしかない、と思う。ただ、読み聴きするときに、単語や描写のイメージを持つことは効果的じゃないか、と推察する。というのも、話すときにはこのイメージがあるかないかで発露の仕方が大きく違うと思うからだ。イメージがない限り、話す言葉は容易に出てこないだろう。その言語で夢見たり考えたりするというのは、結局このイメージのことだと思う。





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最終更新日  2016.08.13 14:14:01
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