テーマ:仕事しごとシゴト(23321)
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今日はさすがにクリスマスイブ、けっこう古本をプレゼントにする人たちが多いので駆け込みで売れに売れた、僕のシフトで約3万円、こんなに売れたことは初めてじゃないかな、と思い、去年の12月24日のブログを見たら、なんと4万5千円も売れていた、僕の朧気な記憶では2万数千円だと思っていたのだが、あてにならぬは女心と僕の記憶、である。
客足が好調だっただけではない、今日は邪魔者、と言っては申し訳ないが、時々現れては長時間居座り話し込んでいく客Kが来ていて、二時間くらいは話していった。本など買う気もないので客とは呼べず、本来あまり相手にしてはいけないのだが、人に嫌われたくない僕としては、邪険にもできず、程々相手にしてしまう。三つ子の魂百までも、八方美人は彼岸で閻魔に気を遣い、である。 Kは以前にも店番記に登場していて(店番記 12・26)、その時は、「どうやらごく一部の金持ちが権力を握るアメリカの体制には強い反感を持っているようだ。足が悪いようで杖をついている。なんでも、ある交差点の歩行者用の信号が15秒しかなくて、これは短すぎるから30秒にしてくれるように市に抗議した」などと書いた。あれから早二年、今は足の状態が更によくないに違いない、四輪の買い物カートを押して町を歩き回っている。一見ホームレス風の身なりで、ホームレス風の臭いも醸し出してレジの真ん前に陣取っていたので、買う本を持ってくる客の中には躊躇いを隠すような笑みを浮かべる人もいたようにも思う。これが自分の店で収入に影響があるようだったら、今のように平気でいられるだろうか、などと考えた。 話題がテニスに向いた時に、Kが、ジョンを知っているか、と突然尋ねてきた。ジョンは、一年ほど前までは時々僕たちのテニスの集いにも姿を現して一緒にプレーをしたことがある。僕たちのグループは完全にドロップイン(誰でもその時間に来れば参加できる)のグループなので、来るものは拒まず去る者は引きとめず、かりにテニスのレベルが少し噛み合わないような場合でも、その人の判断に任せるのを原則とする。ジョンのテニスの腕は、僕たちの中でもうまい方に属するので、問題ない。問題なのは性格で、とにかくプレー中にうるさい、人を苛々させるコメントを大声で発する、ウィニングショットを打つと大はしゃぎする、チームの組み換えの時にあれこれ文句を言う、といった具合なので、虫の居所の悪い日に僕もジョンの言動に切れてしまったことがある、「黙れ!」とか「グループの慣行に従わないのなら、帰れ」とか、言ってしまった。それでも、ジョンはまるで叱っても怒鳴ってもついてくる悪童のように、僕に擦り寄ってきたのだから、おかしなものだ。他のメンバーは、僕よりずっと我慢強いのだろう、ジョンにはさほど冷たく当たらなかった、かといって暖かく迎えていたわけでもない。 Kの話では、そのジョンが一年ほど前にメキシコに旅立ったまま自宅に帰っていないというのだ。メキシコで何かあったんじゃないか、と二人で心配した。ジョンの電話番号は持っていたので、一応Kに渡して確かめてくれるように頼んでおいた。別に戻ってきてほしいわけじゃないが、何かの事故に遭遇したのでないことを願うばかりだ。 午後になってひっきりなしに来る客の中で印象に残ったのは、パロ・アルトというスタンフォード大学のある町から来たという、70代の母親と40代の娘の二人連れ。娘の方が素人向けの量子物理学の本をもうすぐ出版する、というので、僕は量子物理にはとっても興味があるんですよと合いの手を入れると、出版したらメールで教えるからアドレスを教えてくれと言われ、喜んで手渡した。スタンフォード大学の物理の研究者か教授とすっかり思い込んでいたので、帰宅後いそいそと名前を検索した。ユーチューブに彼女のビデオが数十本アップされていて、確かに今日会った彼女だった。しかし、どこが量子物理なんだ、精神、脳、現実についてのニューエイジ風の話ばかりで、彼女のウェッブサイトもチェックしたが、なんだかわけのわからないコンサルタントだった。せっかく量子物理学者と知り合いになれたかと喜んだが、糠喜びだった。理由もなく、さくら狩美人の腹や減却(げんきゃく)す、という句が口をついたので早目に寝ることにした。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2016.12.26 16:01:56
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