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一語楽天・美は乱調の蟻

2019.03.06
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「文学界」の「近代の超克」座談会について書いてから三か月近くたってしまった。根っからの怠け癖に老いが追い重なって旅の足取りも儘ならくなったものか。それでも頭の中では、もう一つの「近代の超克」座談会のことを、時折考えていた。もう一つのとは、雑誌「中央公論」誌上で行われた京都学派4人の「世界史的立場と日本」座談会のことで、「文学界」のそれが大人数に過ぎたせいでまとまりを失ったのに比べて、同様な思想的志向をもった4人が行った議論はより焦点が定まっていた、という評判だった。とはいうものの、座談会の内容は部分的にしか手に入らず、やはり彼らの考えていたことをもう少し読んでみたいな、という言い訳に明け暮れているうちにこれだけの時間がたってしまったのだ。

そうこうしているうちにまた訪日することになり(訪日というのはおかしいだろう、日本人なのだから帰国と書くべきかとも思うが、今や自分の文化的国籍はどこなのだかわからなくなっているのが実情である)、生まれて初めて国会図書館というものを体験してみた。運転免許証で登録利用者カードをその場で作ってもらい広く美しい館内に入ると、30台ほど並んだパソコンで人々が検索やら読書やらしている。その一台の前に腰かけて利用者カードをカードリーダーに置き、「中央公論」座談会の内容を単行本化した「世界史的立場と日本」を数ページ読んでみた。しかし、座談会では彼らの考え方がいまいち掴めない、できればまとまった論文を読んでみたい。

その後、最愛のジュンク堂での書架眺めの時、京都哲学撰書第11巻「世界史の理論」を発見、その本には座談会に出席した高坂正顕(こうさかまさあき)、西谷啓二(にしたにけいじ)、高山岩男(こうやまいわお)、鈴木成高(すずきしげたか)が著者として名前を連ねていた。収録論文は座談会当時(1941年から1943年)のものではなく1944年の執筆だが、思想的にはそれほど変わっていないだろう。ぜひ手に入れたいものだが、定価はなんと4200円である。さすがに、その場でポンと購入するほどの高額納税者ではないので、古本を探すことにした。帰宅後、探し出した中古出品者から値段と質を考慮に入れてベストチョイスは送料を含めて3000円、仕方がない、勇気を絞り出して購入ボタンを押した。

郵送先である親戚の家を二週間ほど留守にしてようやく戻り、いそいそとまるで恋人の秘密の文を探すようにして、重なった郵便物の中からそれらしきものを見つけた時のときめき、やっと手にしたその本は、線を引くのも憚られるほどの中古本の質で、これで彼らの思想に直接触れることができるのかという予感に、ただただ落涙するばかりだった、というバカなことはこの年齢ではありえない。とにもかくにも、興味のある本を手に入れた後が肝心、狩猟本能の残る男性の典型である浮気心に足をすくわれてこの女性からあの女性と目移りしてはいけない。京大四天王が何を考えていたかじっくり読んでみることにする。






最終更新日  2019.03.07 11:11:44
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