テーマ:本日の1冊(3698)
カテゴリ:本と本についてのさまざまなこと
数か月ぶりに名古屋・栄のジュンク堂を覗いたところ、専門書フロアがなくなっていた。この店は、地下のフロアが一般書、7階が専門書という、物理的には使い勝手の悪い造りともいえるが、と同時に専門書フロアのゆったりとした空間にこれでもかこれでもかと並ぶ専門書を眺めるのはきわめて贅沢な愉しみでもあった。
その7Fの専門書たちがどうなったのかというと、地下の一般書の隣、人目につかない僻地に(スペースを増築したのかどうかはっきりわからないが)押し込められていた。まるで、長く遠方に住んでいた息子や娘が何らかの理由で親元に戻って来たとき、狭い4畳半に押し込められるようなものだろう、地下の書架に並ぶ専門書たちも以前より幾分控えめな風情だ。 どうやら今年の3月か4月に決行されたこの引っ越しで、専門書の全員が新しい部屋をあてがわれたわけではなく、長年場所ばかり取って捌けなかった一部の高価な専門書は、御用済みということになったようだ。新しい専門書売り場の片隅に、いくつかの置き台の上に並べられて半値処分を受けていた。 そんなリストラ処分の専門書を漁っていたら、京都哲学撰書の数冊が僕の方を恨めしそうに見ているのに気づいた。3月6日のブログで書いたので覚えていらっしゃる方もいるかも知れない。このジュンク堂の7階で京都哲学撰書第11巻を見つけて、しかしそれを定価で買わずに、およそ70%ほどの値段の中古本を通販で購入した。その第11巻もそこで僕を見つめていた。あの時、僕が定価で<身請け>していればここでこうして晒されていることもなったろうに。あるいはあの時、僕が中古本に手を出すことを我慢して、今日ここで再会していたら、僕自身が数百円を節約できたのに。いずれにしても、第11巻さんには申し訳ないことをした。贖罪の意味も込めて、京都哲学撰書第20巻「高山岩男 超近代の哲学」を半値で購入することにした。(贖罪とはちゃんちゃらおかしい、これが30%引きだったらきっと買ってなかっただろう、この偽善者目!) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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