652537 ランダム
 ホーム | 日記 | プロフィール 【フォローする】 【ログイン】

一語楽天・美は乱調の蟻

2020.12.22
XML
カテゴリ:カテゴリ未分類
作品の良し悪しとはなんだろう。京平さんは作曲家・編曲家なのだから、そこを重視して選ばなきゃ意味がないんじゃないか、と漠然と思っていたが、いざ実際に選ぶとなると、他の要素を切り捨てることは僕のような素人にとってはほぼ不可能だと分かった。歌詞との重なり具合、歌手の声質や歌い方、加えて自分の好き嫌いなどが意識しようがしまいが介入してくる。

たとえば、先日ある人のブログに、僕の好きな曲であると書き込んだリンダ・ロンシュタットの「Blue Bayou」、ロイ・オービソンとジョー・メルソンの1961年頃の曲をリンダが1977年にカバーしたもの。そのメロディは非常に単純で、Cのキーでいうとソラシドシラシラ、ソラシドシララの繰り返す基調部分と、声を張り上げるドドドドシシドシシ、ラシラソというサビだけからだけなる。音と音が2度以上飛ぶことはほとんどなく、符割りもほとんどが8分音符の連続であり、メロディのクリエイティビティがあるとは思えない、しかし曲は感動的だ、これはなぜなのだろう。

それは全体的なイメージということに尽きる。リンダが低音で歌う基調部分では、故郷を離れて(おそらく)都会で忙しく慎ましく暮らしている日常が語られ、サビに至って感情が大きく開放される、「何があってもいつかブルー・バイユーに帰るぞ、人も風景も全部私に馴染み深いブルー・バイユー、釣り舟が浅瀬に浮かんでいる、眠気まなこをこすってあの懐かしい朝陽を眼にしたら死ぬほど幸せだろうな」と、この対比が聴く人の心を掻き立てる。これが全体的なイメージによる作品の昇華だろう。

御託を並べたが、要するにこの全体的なイメージでベスト5を選んでみた、ということだ。ただし次の3つのタイプはほぼ受け入れることができない:あまりに歌謡曲的なもの、歌の符割が16ビートのもの(メロディも歌詞も味わえなくなる)、そして声の嫌いな歌手のもの。

さていよいよ、僕にとって京平ベスト5、その第4位は、中原理恵「東京ららばい」である。1978年3月の曲で、前年の7月に野口五郎の「季節風」、9月に太田裕美の「九月の雨」があり、1978年4月には庄野真代の「飛んでイスタンブール」、7月に岩崎宏美の「シンデレラ・ハネムーン」と庄野真代の「モンテカルロで乾杯」、更に8月には中原理恵の「ディスコ・レディ」と大橋純子の「たそがれマイラブ」、どれもこれも僕の好きなタイプの曲が並んでいる。多分16ビートを基調にして都会風リズムセクションにのせた8分音符の緩やかなメロディが、僕は好きなんだろう。

「東京ららばい」は中でも芸が細かい。イントロはギターのコードで(原曲のキーで)Gm-A♭-B♭と上がっていき、そこに1965年のブリティッシュロック・アニマルズの「悲しき願い(Don't Let Me Be Misunderstood)」のイントロとニアミスをするようなエレキギターのフレーズが挿入されている。歌の部分を基調部、結合部(あるいは転移部)、サビに分けると、基調部はごく普通の4小節ずつのA・A・B(「午前3時の東京ベイは・・・」)、それに続く結合部ではフラメンコ風のカスタネットが挿入されて続くサビで昂揚する前のモノローグのような寂しさを漂わせている。実際、間奏の後でこの結合部が繰り返されるときには、ドラムもベースも不在で基調の4ビートだけを残して歌声にフラメンコ風ギターの絡まる作りになっている。そして、結合部の終わり(「ねんねんころり寝転んで眠りましょうか」)に続いてエレキギターとベースの裏ビートでサビに繋げ、「東京ららばい、夢がない明日がない」となる。構成が素晴らしく、フラメンコの彩も巧みで、編曲も過度に装飾的でなく、僕にとっては文句ない4位である。






最終更新日  2020.12.22 09:36:48
コメント(0) | コメントを書く


PR

X

キーワードサーチ

▼キーワード検索

コメント新着

cozycoach@ Re[1]:今日の一曲 ハレルヤ(04/22) ranran50さんへ KDランクのバージョンを…
ranran50@ Re:今日の一曲 ハレルヤ(04/22) 音源のほうは残念ながら聞くことが出来ま…
cozycoach@ Re[3]:懐徳堂について書いたナジタ・テツオ(05/14) まろ0301さんへ ナジタ氏の懐徳堂の本を…
まろ0301@ Re[2]:懐徳堂について書いたナジタ・テツオ(05/14) cozycoachさんへ 西宮図書館には、ナジ…
cozycoach@ Re[1]:懐徳堂について書いたナジタ・テツオ(05/14) まろ0301さんへ まろさんとは以前も何か…

フリーページ

日記/記事の投稿


© Rakuten Group, Inc.