2008/04/06(日)05:58
中途失聴と手話
以前ご紹介したことがありますが、私の義母と義妹は耳が聴こえません。
じゃあ手話で会話するの?とよく聞かれるのですが
義母も義妹も手話はできないので口話といって口の動きを見て相手が言っていることを理解します。
2人とも生まれつき聴こえないワケではなく、義妹にいたっては大人になってから聴こえなくなったので喋ることには何の不自由もありません。
あえて言うなら、自分の声の大きさが分からないのでたまに静かな場所で大きな声で話してしまったり、うるさい場所で声が小さすぎて聞えなかったりするくらいです。
でもそれも、臨機応変に場の雰囲気を読みながらきちんと調整できていることがほとんどで、問題あれば周りの人が教えれば済むことなので、大した問題にはなりません。
向こうは普通に喋れるし、こっちの言ってることは理解してくれるし、
お互い顔を見ていればフツーに会話ができるんです。
世間では「耳が聴こえない=手話」という観念が定着しているようで、義妹は色んな人から
「なぜ手話を覚えないの?」
とか
「手話を覚えた方がいいよ」
などと言われるそうです。
正直、私も最初は手話で話すのかな?と思ってました。
でも、冷静によーく考えたら彼女にとって手話は、絶対に必要なものではないのです。
だって顔を見れば普通に会話できるんだもん。
しかも、仮に彼女が手話をマスターしても彼女の周りに手話が出来る人はいません。
覚えたところで、話す相手がいない...
手話をする人と新たに友達になれるという特典はあるかもしれないけど...
それが目的なら、手話を覚えるべきなのは耳が聴こえない義妹に限ったことではなく、耳が聴こえる人も条件は同じです。
おもしろいことに、義妹に手話を勧めてくる人は皆、手話ができないそうです。
彼女はその矛盾にいつも疑問を感じています。
毎回勧められるたびに
「今こうやって普通に会話できてんじゃん。覚えたら手話で会話してくれんの?」
と返すそうですが...理解を得るのはなかなか難しいようです。
そんなに難しいことかなぁ?
フツーに会話できてるのに。
どうして?
耳が聴こえないから?
彼女が手話を覚えたら、周りもこれまでのように普通に話しかけるのをやめて手話で話しかけるの?
そんなワケないですよね。
普通に話して分かるんだから、それでいいじゃん。
手話を否定するつもりは全くありません。
生まれつき耳が聴こえない方々にとっては手話はとても重要だと思いますし、義妹と同じ中途失聴の方でも手話に助けられている方々はたくさんいらっしゃると思います。
でも多くの人がそう思っているように耳が聴こえない人はみんな手話をやるべきかというと、それは違うと思うのです。
少なくともうちの義母と義妹は必要だと思っていませんし、実際できなくても普通に生活してます。
義妹は会社員として責任のある仕事を任されて、バリバリ働いています。
私は手話ができないけれど義母、義妹としょっちゅう深夜までぺちゃくちゃ喋りまくってます。
今のままで何も不自由なことはありません。
義妹は、こういう聴覚障がい者もいるんだよ~ということを世間に知ってほしいようです。