くれーじーくえいる　ぶろぐ

＜←在りし日のやまぐも型護衛艦、練習艦『あおくも』（TV3512）　旧：DDK119　2003年６月13日除籍＞

　このブログで軍事ネタを書くのは今回が初だなぁ・・・（笑）


　去る今月17日、海上自衛隊で１隻の護衛艦が27年の艦歴に幕を閉じました。

　海自大湊地方隊・第25護衛隊に所属していた護衛艦『ゆうぐも』（DDK121）が、今月17日付で除籍され、代艦として舞鶴地方隊・第24護衛隊から護衛艦『じんつう』（DE230）が25護隊に転籍しました。

『ゆうぐも』は、第２次防衛力整備計画に基づいて1962～1973年までに計６隻が建造された『やまぐも』型護衛艦の最終号艦でした。
　やまぐも型は対潜水艦能力に重点を置いた対潜護衛艦（DDKとも呼ばれる）で、海自のＤＤとして初めてディーゼル主機を採用（2,000ｔ級の駆逐艦クラスでディーゼル主機というのは当時としては世界初だったそうだ）、また、ボフォース375mm対潜ロケット爆雷や３連装短魚雷発射管に加えて、海自で初めてバウ・ソナーやアスロック（対潜ロケット投射魚雷）を採用するなどの新機軸を盛り込んだ艦でした。３隻が建造された準同型艦の『みねぐも』型と共に冷戦期の護衛艦隊の主力を務めましたが、平成以降は旧式化に伴って順次特務艦や練習艦に種別変更され退役していきました。そして、一昨年６月に練習艦籍にいたやまぐも型４番艦『あおくも』（TV3512）、今年２月には同じく練習艦籍の同５番艦『あきぐも』（TV3514）が退役し、最後の『ゆうぐも』はやまぐも型の中で唯一護衛艦籍のまま今月の退役を迎えることになりました。
　これにより、かつて海自の主力を成した２次防・３次防護衛艦はすべて姿を消したわけです。
　そういえば、去る５月４日に呉でヘリコプター護衛艦『ひえい』を見学したとき、同じ桟橋に除籍された旧『あきぐも』が係留されていましたが、艦番号と艦名を塗り潰された艦色はすっかり色褪せ、３インチ連装速射砲の砲身もすでに撤去されるなど、実に侘びしい艦影でありました・・・ちなみにその真後ろには『あきぐも』に代わって練習艦に編入された『あさぎり』が係留されており、共に護衛艦から転籍された新旧練習艦の対比が印象的でした。

　寄る年波故に、今となってはデザインや兵装、性能等で当然ながら現用艦に大きく見劣りするやまぐも型ですが、何と言っても冷戦期の海自の一翼を担ったベテラン艦であり、全艦退役にはやはり一抹の寂しさを覚えます。
　ちなみに兵装の面においても、『ゆうぐも』退役によって長らく海自艦の主力艦砲であったアメリカ製のMk22系３インチ砲はすべて姿を消し、同じく海自のベテラン対潜兵器であるボフォース対潜ロケット爆雷も、搭載艦は同じ大湊地方隊に在籍する護衛艦『いしかり』『ゆうばり』『ゆうべつ』の３隻を残すのみとなりました。３年に１度行われる海自の観艦式では、ボフォース搭載艦による対潜ロケット爆雷の発射展示が呼び物の一つですが、今後は『いしかり』以下３隻でやることになるのかと思うとこれまた寂しい限り。この点にも時代の流れを感じます・・・

　何はともあれ、栄光の２次防艦の無事の任務満了に敬礼！