テーマ:PLUTO(19)
カテゴリ:冥王星の黙示録/PLUTO関連
・・・そういえばもう5日だってことをすっかり忘れてましたよ(苦笑)
というわけで、1日遅れでチェックした今月の漫画『PLUTO』(浦沢直樹×手塚治虫)はついに60話目となるAct.60『真実の真相の巻』。折しも講談社のモーニング誌にて浦沢先生の新連載『BILLY BAT』が始まったこともあってか、終幕に向けて少々急ぎすぎの感はありますが・・・ 今回は終幕に向けての風呂敷収納とばかりに、一連の高性能ロボット破壊事件および"ボラー調査団"メンバー殺害事件の発端といえる4年前のペルシア王国での出来事の顛末が、ゲジヒトの記憶を受け継いだアトムの口を通じて明かされました。 かつて、ペルシア王国のダリウス14世が構想した祖国の緑化計画。それに基づいてアブラー博士が生み出そうとした"ボラー"は大量破壊ロボットなどではなく地球緑化のための環境改造ロボットとなるはずでした。しかし、その開発は試行錯誤を極め、アブラー博士は天馬博士の力を借りて"最高の人工知能を備えたロボット"を別に製作し、"ボラー"の開発をサポートさせようとします。が、恐らくその"ボラー計画"の存在を察知したのであろうトラキア合衆国が大量破壊ロボットの規制を名目に仕掛けた第39次中央アジア紛争によって"ボラー計画"は一転して暗い復讐劇へと変容してしまいます。アブラー・天馬の両博士が開発した"最高のロボット"は死亡した本物のアブラー博士の姿と憎悪を受け継ぎ、世界への復讐の先兵として我が子サハドを"プルートゥ"として世に送り出す一方、地球緑化ロボットとなるはずだった"ボラー"も存在しない"ゴジ博士"の人格を内包した彼によって恐るべき大量破壊兵器へと歪められてしまったのでした。さらに、アブラー博士は最も許すまじき敵であるトラキア国に対して地球すら滅ぼしかねない罠を・・・ "ボラー調査団"という名前に込められた意味、砂漠を緑化するロボット、アブラー博士と天馬博士が生み出した"最高のロボット"、実は存在していなかった"ゴジ博士"――――――まだいくつか残された伏線はあるものの、これまでに物語の中に散りばめられてきたパズルのピースが一挙に組み立てられて真相を炙り出していく展開はオーソドックスな手法とはいえ見事な流れです。というか、いつの間にペルシアでそこまで調べ上げていたんだゲジヒト(苦笑)できればその辺の細かい動きもこれまでの話の中で描いてくれていればよかった気がしますが・・・ 思えば、オランダに留学していた頃のサハドは故国ペルシアの砂漠を緑に変える夢を抱いていましたが、それもまたダリウス14世によるペルシア王国の緑化計画の流れの中で彼に与えられた使命だったのかもしれません。しかし、結局彼はその夢を果たすことなく父・アブラー博士の姿を纏ったロボットの手によって"プルートゥ"という怪物に変容させられてしまったわけで・・・ 今回の終盤、多国籍軍の攻撃によって陥落する王宮内で一度は自決を考えたダリウス14世の前に"プルートゥ"がその姿を現し、ダリウス14世が狂気すら孕んだ表情で彼に世界への復讐を命じるシーンは、原作『地上最大のロボット』の冒頭にて完成したプルートウにサルタンがアトムたち世界7大ロボットの打倒を命じる印象的なシーンの再現になるわけですが、原作の冒頭を本作においては物語の終幕間際に一連の事件の発火点として持ってきたのが実に巧妙です。 散っていったゲジヒト他6人の高性能ロボットたちに事件を終わらせることを告げ、いよいよ"プルートゥ"との決着に赴かんとするアトム。奴が待つのはやはり原作の阿蘇山に相当するらしいトラキア国のエデン国立公園。そこには果たして何が待ち受けているのか? 物語の決着まで後少しです・・・ <今回のより詳細なレビューをご覧になりたい方は、当店のPLUTOコンテンツ"Branch of MOST"までどうぞ(^^)> *注:ブログよりレビューのアップが遅れる場合があります お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2008.11.07 04:29:12
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