くれーじーくえいる　ぶろぐ

　今回も例によって遅すぎるチェックです（苦笑）

《#10　　天の光》

　14年前、リーサ・クジョウはユニオン領の国際大学に在籍し、弱冠17歳で卒業を果たすことになった若き秀才であった。そして、ビリーも彼女と同じ大学に属し、エイフマン教授と共にモビルスーツの研究に携わっていた。卒業後は戦術予報士を目指すリーサが目標としていたのはカティ・マネキン。戦術によって被害を局限し戦争の早期解決を図ることを主眼とし、数々の戦術予報で７つもの戦争に勝利し、AEU軍から佐官待遇でスカウトされた逸材である。カティもまたリーサの戦術理論に関する卒業論文を見てその出来栄えを讃え、できれば敵同士にはなりたくないと語る・・・
　しかし現在、スメラギ・李・ノリエガと名乗るリーサはソレスタルビーイングの戦術予報士となり、アロウズに参加したカティと相対することになってしまった。スメラギはカティがアロウズに加わっていることに動揺を隠せない・・・

　地球連邦が進める中東地域の再編政策に対し、世界随一の情報産業とレアメタル資源を擁して中東一の豊かさと軍事力を誇るスイール王国が反旗を翻そうとしていた。スイールに他の中東国家が追随することを警戒する地球連邦は、セルゲイ率いる連邦正規軍の部隊を監視のため同国の国境線に展開させ、さらにアロウズの投入を決定する。カタロンは両者の動きを注視していたが、如何にスイールの軍事力を以てしても連邦軍には対抗すべくもない。そこで、カタロンはスイールが持つ中東での連邦の悪政を自分たちのネットワークを使って世界に知らしめようと計画、かつて日本のJNNに務めていた池田をスイール王室に接触させようと試みる。
　一方、暫定政権樹立以降のアザディスタンの情勢は連邦による情報統制のためほとんど聞こえてこない状態であった。連邦を打倒してアザディスタンを再建すべきと考えるシーリンに対し、マリナはあくまで戦いを否定しようとするが、呆れるシーリンに「そうやって何もしないでいればいい」と言われる始末。マリナは今更ながら故郷クルジスを失った刹那がそれでも戦い続ける心境に思い至る・・・

　宇宙に上がったカティはグッドマン准将からラグランジュ３に向かったと思われるソレスタルビーイングの追撃を命じられるが、リント少佐は特命により一旦部隊を離れることになった。カティはかつてのAEU軍での同士討ち事件の記憶を思い出し、リーサが紛争根絶を掲げるソレスタルビーイングに傾倒したと推測するが、彼女からすればそれは愚かな夢想にしか思えなかった。
　一方、プトレマイオス２はラグランジュ３にある拠点に向かっていたが、そこへ突如単機で吶喊する新型モビルスーツの姿が！　それはカティの部隊に新たに補充された"イノベイター"、ブリングの駆るガラッジであった。刹那が直ちにダブルオーで迎撃するが、トランザムが使えないことも手伝ってガラッジのスピードに翻弄される。しかし、ロックオンたちが加勢に駆け付けたのを見てガラッジはあっさり撤退してしまう。唐突な単機での攻撃に首を傾げるラッセたちに、スメラギはアロウズ側の牽制と警告だろうと推測する。一方、ティエリアは相手が"イノベイター"だと察するが、何故か彼らの存在をスメラギたちに伝えるのを躊躇う。
　やがて、プトレマイオス２はラグランジュ３の拠点に到着。そこではイアンと妻のリンダ、そして留美からの紹介だという新顔のスタッフ、アニュー・リターナーが待っていた。ラグランジュ３宙域に展開するアロウズに対抗すべく、スメラギたちはガンダム用の支援機２機を受領する。一つはツイン・ドライブの制御機能とトランザムの増幅機能を備えたダブルオーの支援機オーライザー、もう一つはアリオスの支援機ＧＮアーチャーである。イアンたちは早速ダブルオーにオーライザーを接続しての稼動テストに取りかかる。
　イアンたちが作業に没頭する中、手持ち無沙汰の沙慈はマリーと話し合う。自分にも何かできることをしないとと思いながらも戦うことを躊躇う沙慈は、マリーにこれからも彼らと一緒にいるつもりかと問う。マリーは軍人だった身として戦いに巻き込まれることも覚悟の上でアレルヤと共にいようと決意していた。同じように想い人がいる沙慈にはそんな彼女が羨ましく思えるのだった。

　そんな中、リボンズは"メメント・モリ"の使用を決断、これによって中東再編計画を加速させて人類の意思統一を進めようと画策する。その"メメント・モリ"の建造には留美が関与していた。一方、留美に同行していたネーナは兄ヨハンとミハイルの仇であるアリーと思わぬ再会。突っかかろうとするネーナだが百戦錬磨のアリーには手も足も出せないのだった。
　その頃、スイール王国では厳戒態勢の中、王室とカタロンの使者が会談を行っていた。だが、その遙か上空に位置する低軌道リングでは巨大なレーザー砲が遙か地上のスイールに照準を合わせようとしていた。これこそがリボンズの言う"メメント・モリ"であった。そしてカウントダウンが０になった瞬間、"メメント・モリ"から放たれた莫大なレーザーがスイール王宮を一瞬にして消滅させた！
　同じ頃、ラグランジュ３の拠点ではオーライザーをドッキングさせたダブルオーが稼動テストを行っていた。ダブルオーがトランザムを起動した途端、ツイン・ドライブは通常時の３倍ものＧＮ粒子放出量を発揮、理論的限界値を突破するその力に一同は驚嘆する。そして、その膨大なＧＮ粒子の影響か、マリー、アレルヤ、ティエリアが何かに感応する。マリーの脳裏に映ったのは、スイールを襲った"メメント・モリ"のレーザーの余波に巻き込まれていくセルゲイの姿・・・一方、格納庫で苦しんでいたアレルヤの中では死んだと思われた"ハレルヤ"が目覚めていた――――――「量子がこっちに向かって加速して来やがる・・・ったく、おちおち寝てもいらんねえぜ！」

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　"イノベイター"の筋書き通りに力任せな地球統一政策を推し進める地球連邦とアロウズですが、今度は軌道エレベーター上に設置した巨大レーザー兵器"メメント・モリ"を以て連邦の中東再編政策に反旗を翻そうとするスイール王国を焼き払うというなりふり構わぬ手段に出てきました。物語の後半でチート的な巨大光学兵器が出てくるという展開は『新機動戦記ガンダムＷ』の宇宙戦艦リーブラや『機動戦士ガンダムSEED』シリーズのジェネシス・レクイエム等を思わせますが、恐らくこれがソレスタルビーイングにとっての新たな打倒すべき目標になるのでしょう。
　ちなみに、"メメント・モリ"（Memento mori）とはラテン語で「自分が必ず死ぬことを忘れるな」という意味の警句で、古代では「人はいつか死ぬのだから今を楽しく生きよう」という趣旨だったそうですが、キリスト教世界においては「人はいつか死ぬのだから現世での楽しみや贅沢は空虚なものである」という趣旨で解釈されるようになり、死生観をテーマにした芸術作品のモチーフとして広く使われるようになったとのこと。支配者の威光を知らしめる巨大ビーム兵器の名称としては何とも意味深なネーミングではないでしょうか。
　しかし、"メメント・モリ"によってさらに人類の意思統一を推し進めようと画策するリボンズに対して「画一の間違いじゃないの？」とリジェネが冷やかしていた辺り、やはり"イノベイター"も決して一枚岩ではないのか・・・
　一方、その"イノベイター"側からリヴァイヴに続いてブリング・スタビティがガデッサの兄弟機とおぼしき新型モビルスーツ・ガラッゾと共にアロウズに参加。これでオープニング映像に登場する"イノベイター"たちは一通り出揃ったかな？　そういえば、"イノベイター"たちはリボンズとヒリング、ティエリアとリジェネとまるで対になっているかの如く容姿が似ており、恐らくベースとなる遺伝子情報が共通なのでしょうが、ブリングにも同様に対となる外観の相手がいるんでしょうか？

　そんな中、ラグランジュ３の拠点に戻ったソレスタルビーイングは、ようやくガンダム用の支援機であるオーライザーとＧＮアーチャーを受領。オーライザーはダブルオーのツイン・ドライブ制御機能とトランザム・システムの増幅機能を備えた機体で、早速ダブルオーと組み合わせてのテストでは理論的限界値を超える莫大なＧＮ粒子放出量を叩き出す結果に。もうこれだけでも今後のダブルオー＋オーライザーの化けっぷりが予想できそうなものですが、そればかりでなくマリーやアレルヤ、ティエリアら脳量子波に感応する能力を持つ者たちにまで影響を与え、アレルヤに至っては前シリーズ最終回で消えたと思われた"ハレルヤ"が復活するに至りました。"イノベイター"がＧＮ粒子を触媒として脳量子波を使う能力を備えている点を踏まえて考えると、ツイン・ドライブ理論は単にガンダムの能力を飛躍的に高めるだけの代物ではなく、莫大なＧＮ粒子の放出とそれを媒体とする脳量子波によって人間の意識そのものに何らかの影響を与えることを意図したものと考えることもできそうです。
　しかし、ラグランジュ３に加わった留美ご推薦の新メンバー、アニュー・リターナーですが、どう見てもリヴァイヴの派生型です。本当にありがｔ（ｒｙ　彼女は果たして内部からソレスタルビーイングの足を引っ張る存在となるのか、それとも・・・？
　あと、前回から登場したリンダは予想通りイアンの女房でした。アレルヤをして「犯罪です」と言わしめるほどの歳の差夫婦のようですが、刹那とマリナや故ロックオン（ニール）とフェルトといい、ソレスタルビーイングの面々って歳の差カップルの発生率が高いのか？（笑）

　今回明らかになったスメラギことリーサ・クジョウとビリー、そしてカティの過去。リーサにとってカティは戦術予報士として憧れの存在だったようですが、AEU軍での同士討ち事件を機に、あくまで軍の戦術予報士として戦争の早期終結を目指したカティに対してリーサは事件による心の傷から戦争根絶を掲げるソレスタルビーイングに加わったということのようです。現在のスメラギとカティの対峙は、己の非力さに悩みながらも戦争根絶という理念を信じる理想主義者たる前者と、戦争はなくならないという前提でその早期終結に努力する現実主義者たる後者の対立という構図になりつつあるわけですね。

　そしてラスト、"メメント・モリ"による砲撃の巻き添えで中東地域に展開していたセルゲイに生命の危機が!?　ガンダム00世界における数少ない良心の一人だけに、何とか生き延びてほしいですが・・・