テーマ:PLUTO(19)
カテゴリ:冥王星の黙示録/PLUTO関連
残すところ今月含めて残り2回となった漫画『PLUTO』(浦沢直樹×手塚治虫)。今月はAct.64『終わりの音の巻』。
アトムと"プルートゥ"の対決が終わったのも束の間、トラキア合衆国・エデン国立公園では世界滅亡へのトリガーとなる破局噴火の危機が刻々と迫る。アトムは一人公園の地下深くにあるマグマ溜まりへと飛び込み、そこに潜む"ボラー"の反陽子爆弾を解体せんと試みるが、マグマの強烈な高温の前ではアトムといえども5分で溶けてしまう。だがその時、共に"ボラー"に立ち向かうべく"プルートゥ"が残った左手でアトムを握り締める―――――― Act.58に続いての登場となった"ボラー"ですが、のっぺらぼうを思わせる目鼻のない丸まっこい姿はどこか原作風ながら、マグマの中で手足を縮こまらせて泣きながらたゆたうその姿は初登場の時と同様に本当に赤子を思わせ、まるでトラキア国に蹂躙された旧ペルシア王国の怨念の権化として火口から誕生しようとしているかのようにも思えます。呼びかけるアトムを「ボラー!」という叫び声だけで吹っ飛ばす辺りも原作通りですが、原作のボラーのそれが単なる力の誇示なのに対してこちらは駄々をこねて泣き叫ぶ赤子のようでもあり、自我がないにも関わらず人工知能として内包した"ゴジ博士"="アブラー博士"の憎悪の感情によって動物的に反応しているようにも思えます。 ところで、天馬博士は"ボラー"の強大な力を"惑星改造ロボット"と表していましたが、この辺は原作『鉄腕アトム』に『魔神ガロン』の巨人ガロンがゲスト登場した『アトム対ガロンの巻』(この話ではガロンは手違いで地球に落ちてきた惑星改造ロボットという設定)を彷彿とさせますね。 人類滅亡の危機を目前にして、どこか達観した態度を見せる天馬博士に対して「貴方は長いこと研究室の中にいすぎた。たまには出ていらっしゃい」と告げ、例え滅ぶとわかっていても行動するのが人間だと断言するお茶の水博士と、トラキア各地で災害が発生して危機的状況に陥りつつあるにも関わらず、国の最高指導者の立場を投げ出して"Dr.ルーズベルト"の奴隷に甘んじてまで自分だけは生き延びようとするアレクサンダー大統領の哀れな姿の巧妙な対比が印象的です。 さて、泣いても笑っても来月5日、『PLUTO』の物語は終わりを迎えます―――――― <今回のより詳細なレビューをご覧になりたい方は、当店のPLUTOコンテンツ"Branch of MOST"までどうぞ(^^)> *注:ブログよりレビューのアップが遅れる場合があります お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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