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くれーじーくえいる ぶろぐ

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2009.07.06
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カテゴリ:作品色々見聞録
 せっかく加入したものの、今の所アニメ系とドキュメンタリー系チャンネルばかり見ている『ひかりTV』ですが(苦笑)、映画系チャンネルの一つである洋画☆シネフィル・イマジカでは『キング・コング』等の白黒時代の名作映画も放送されているようで、何とか時間を合わせて見てみなければと思っている次第です。
 で、今回はそのシネフィル・イマジカで放映中のサイレント映画『吸血鬼ノスフェラトゥ』(フリードリッヒ・ヴィルヘルム・ムルナウ監督/1922年ドイツ)を見るチャンスに恵まれたので、その感想みたいなものを一席。

 DVD『吸血鬼ノスフェラトゥ』 <楽天アフィリエイト/ぐるぐる王国楽天市場店>

 フリードリッヒ・ヴィルヘルム・ムルナウ(1888~1931)によって1922年に制作された『吸血鬼ノスフェラトゥ』は、ブラム・ストーカー原作の小説『吸血鬼ドラキュラ』の映画化として企画されたものの、ストーカー未亡人から映画化の許諾を得ないまま制作されたため、タイトルや登場人物の名前等を変更したものとなりました。ドラキュラに代表されるヴァンパイア(吸血鬼)をテーマにしたホラー映画の嚆矢にして一大傑作、そして超現実的な映像表現の中に社会不安や人間の心理を描き出すいわゆるドイツ表現主義映画の代表作の一つとして今日まで高い評価を受けています。

<ストーリー>
 ドイツの古都ヴィスブルグで不動産屋に勤める青年トマス・フッターはある日、社長のクノックからトランシルバニアに住むオルロック伯爵を訪ねるよう命じられる。伯爵はブレーメンの街に家を買いたいのだと言う。何故か不安に駆られる妻のエレンを友人夫妻の家に預け、長い旅を経て幽霊の出る地と噂される伯爵の居城に辿り着いたフッターだったが、出迎えたオルロック伯爵は食事中にうっかりフッターが切ってしまった指の血に異様な執着を示すなど、どこか不気味な雰囲気を漂わせる・・・
 やがて、フッターはオルロック伯爵の正体が吸血鬼だと知るが、伯爵はフッターの妻エレンに引き付けられるように多数の棺を引き連れて城から姿を消す。伯爵に血を吸われてしまったフッターだったが何とか城を脱出し、衰弱しながらも必死の思いで故郷へと戻る。一方、オルロック伯爵は棺と共に船に潜んでヴィスブルグへと向かうが、その棺の中からは大量のネズミが沸き出し、船員たちは悉く病死していく。やがて、無人となった船はヴィスブルグの港に到着し、それと共に街中にペストが蔓延して多くの人々が斃れていく・・・
 そんな中、夫の帰りを待つエレンは恐ろしい幻覚や夢遊病に悩まされていたが、やがてフッターが無事街に戻ってきてひとまず安堵する。だが、そんなエレンの背後にオルロック伯爵の魔の手が忍び寄る。清純な女性の生き血だけが吸血鬼を朝まで留め置けると知ったエレンは――――――


▲▲▲▲▲▲

『吸血鬼ノスフェラトゥ』は後にストーカー未亡人によって著作権侵害の裁判を起こされて敗訴し、すべてのフィルムを破棄する命令を受けましたが、ドイツ国内に残ったオリジナルフィルムを他の配給会社が切った貼ったされたバージョンがパブリックドメイン版として流通しているようです。一方、今回シネフィル・イマジカで放映されたのはボローニャ市立チネテーカで染色した復元版で、調べてみるとドイツのムルナウ財団が所蔵している上映時間93分のオリジナル・ネガを元にイタリア・ボローニャのシネ・コミューンが修復・着色したバージョンだそうです。着色といっても『キング・コング』のフルカラー版みたいな白黒映画をカラーに染め直したものではなく、画面全体を薄く色付けしたモノクロ映像になっており、夜や不安を煽るシーンは青や赤、昼間のシーンはベージュといった風に塗り分けられています。
 また、本作はサイレント映画なので本来は音楽や効果音はありませんが、今回放映されたバージョンはBGMが付いています。エレクトリッククラシックらしきキンキンと響く現代風のBGMですが、編曲の妙か場面の雰囲気と妙に合っていたように思えます。ただ、オルロック伯爵が街に到着した後の疫病の蔓延のシーンで流れるスコアは何故か誌を朗読するような日本語のシャウトが入っており、今回のBGMの出所が何なのかちょっと気になるところです(最後に字幕で音源についてのテロップが出るのだが読み取れず・・・)

 基本的にホラー映画は苦手な管理人ですが、本作は古いサイレント映画ということもあってか映像的にはそれほど恐ろしくもなく普通に見られました(笑)
 元々管理人が『吸血鬼ノスフェラトゥ』に関心を持ったのは、高校時代に学校の図書館で読んだ『パソコン宇宙の博物誌』(紀田順一郎著/河出書房新社)がきっかけでした。この本ではRPGにおけるダンジョンの変遷、ファンタジー世界におけるドラゴンの栄枯盛衰から明治日本における漢字廃止論議、さらには活版印刷と古いMacintoshの各種フォントといった様々な事柄が取り上げられていて結構面白かったのですが、この中に吸血鬼とカニバリズム(人肉食)についての章もあり、その中で吸血鬼が伝染病の蔓延を暗喩する存在であることを反映させた例として『吸血鬼ノスフェラトゥ』が取り上げられていたのでした。そんなわけで、機会があれば見てみようと密かに思っていた作品ではあります。
 ドイツ表現主義についてはよく知らない管理人ですが、夫の帰りを待ちつつ海岸に一人佇むエレンの周囲に立つ数々の十字架や、街に蔓延する疫病の恐怖を煽る無数の棺の葬列、病院から脱走したクノックを疫病蔓延の元凶と思い込んだ住民たちが総出で追い回す姿、フッターやエレンに迫るオルロック伯爵の恐怖を表す"影"の演出等々、随所で淡々と描かれる不安と恐怖の描写が印象的です。また、フッターを迎えに来る伯爵の馬車の動きがカクカクしたコマ送りで表現されていたり、暗い森の中を進む馬車が白黒反転された映像になっている辺りはなかなか斬新だと感じます。
 原典たる『吸血鬼ドラキュラ』のドラキュラ伯爵がコウモリのイメージで捉えられる紳士的でスマートなキャラクターなのに対し、本作のオルロック伯爵はハゲ頭に尖った耳と鷲鼻と出っ歯という醜悪で野獣的な恐ろしさを湛えたキャラクターにアレンジされていますが、その姿は彼が引き連れる多数のネズミと相通ずるものがあり、劇中で疫病が蔓延する展開と相まって"ペストをはじめとする伝染病の蔓延の隠喩としての吸血鬼"をストレートに描写したものといえるでしょう。オルロック伯爵を演じる俳優マックス・シュレックの怪演が光りますが、ヴィスブルグに辿り着いた伯爵が自分の棺を小脇に抱えて街中をウロウロする姿は何だか恐怖よりもお茶目さを感じました(笑)
 あと、個人的に疑問だったのは不動産屋のクノック。原典のドラキュラ伯爵の下僕に相当するキャラクターのようですが、発狂して不気味に嗤ってるかと思えば看守を殺して脱走して住民たちに追い回されたりするものの、結局どういう存在意義だったのか今一つわかりませんでした(爆)あと、劇中で食虫植物と吸血鬼の類似性について学生たちに講義をするヴルヴァー教授が登場しますが、これもラストでフッターと共にエレンの最期を看取るシーンしか出る幕がないのが疑問・・・

 シネフィル・イマジカでの『吸血鬼ノスフェラトゥ』の放映は次は16日早朝なので、もう一度見てみようと思います。


 なお、『吸血鬼ノスフェラトゥ』の関連作品として、1978年に制作されたリメイク版の『ノスフェラトゥ』(ウェルナー・ヘルツォーク監督)と、オルロック伯爵役のマックス・シュレックが実は本物の吸血鬼だったという設定のインスパイア映画である『シャドウ・オブ・ヴァンパイア』(E・エリアス・マーハイジ監督)があります。後者は近いうちにFOXムービーかどっかで放送予定だそうで、見てみるかどうか迷っているところです。

 DVD『ノスフェラトゥ』(1978年リメイク版) <同上> *参考

 DVD『シャドウ・オブ・ヴァンパイア』 <同上> *参考





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Last updated  2009.07.16 17:06:48
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