カテゴリ:エセ軍事マニアの呟き
<←昨年の国際航空宇宙展2012でロッキード・マーチン社のブースに展示されていた、スナイパーXRポッドを装備したF-2のイメージモデル。まさかこの姿が現実になる可能性が出てくるとは・・・>
去る今月2日、航空自衛隊は三菱F-2A/B支援戦闘機に搭載を検討するターゲッティングポッド(目標指示ポッド)の機種として、米ロッキード・マーチン社のAN/AAQ-33スナイパーXRとイスラエル・ラファエル社のAN/AAQ-28(V)ライトニングを比較検討し、スナイパーXRを選定したと発表しました。 スナイパーXRは、アメリカ空軍が運用する戦闘機搭載用のLANTIRN(夜間低高度航法・目標指示)システムの目標指示ポッドであるAN/AAQ-14の後継として開発されたもので、先端のセンサー部を平面ガラスで構成した独特の形状が特徴です。FLIR(前方監視赤外線装置)機能の他にCCDカメラと組み合わせたレーザー目標指示機能やGPS連動機能を備え、レーザー/GPS方式の誘導爆弾への誘導や座標入力が可能です。同社のF-35ライトニングII統合打撃戦闘機に内蔵されるAN/AAQ-40 EOTSもスナイパーXRの派生型です。 空自のF-2においては近年、空対地兵装としてGPS誘導爆弾キットであるGBU-38 JDAM(統合直接攻撃弾薬)の運用能力を付与するための改修が順次進められており、さらにセミアクティブレーザーホーミングを併用できるGBU-54 LJDAM(レーザーJDAM)の導入も決定しています。これと平行してF-2に搭載する外装型FLIRポッドとして国産のJ/AAQ-2が装備化されていますが、LJDAMの導入に際しては自機でのレーザー誘導能力を付与する必要があり、今回のスナイパーXRの選定はそれに関連するものと思われます。噂によれば、J/AAQ-2にレーザー指示機能を追加することも考えられたものの、運用するLJDAMのレーザーパルスのソースコードが得られなかったという話もあるようで、開発期間や費用を検討して国産化よりも輸入した方がいいという結論になったのでしょう。 仮にスナイパーXRが正式に装備化された場合、国産のJ/AAQ-2との兼ね合いが気になりますが、LJDAMを運用するミッションではスナイパーXR、それ以外の対地・対艦ミッションではJ/AAQ-2を使用という感じで棲み分けすることになるのでしょうか。 かつて、2004年の国際航空宇宙展でロッキード・マーチン社のブースに"F-2 Super Kai"という独自のF-2能力向上案の模型&パネルが展示されて話題になったことがありますが、このスーパー改の案で盛り込まれたスペックの中にはスナイパーXRの輸出版であるパンテーラの運用能力が含まれていました。それから9年を経てまだ検討段階とはいえスナイパーXRを本当にF-2に搭載する可能性が出てきたわけですが、F-2スーパー改で盛り込まれていたスペックを改めて見てみると、以下のものについては現在実際に能力が付与されるか、同等の装備または能力を付与する検討がなされつつあります。 ・ターゲッティング能力拡張を見込んだAESAレーダーへの換装 →国産AESAレーダーであるJ/APG-1の改修が進行中 ・リンク16データリンクシステムへの対応 →JADGEに連接するJDCS(F)(自衛隊デジタル通信システム)の搭載を検討中 ・GPS誘導爆弾の運用能力 →JDAMの運用能力を適用中 ・レーザー誘導爆弾の運用能力 →LJDAMを導入予定 ・AIM-120 AMRAAMの運用能力 →同等の99式空対空誘導弾の運用能力を適用中 ・AIM-9Xサイドワインダー2000の運用能力 →同等の04式空対空誘導弾の運用能力付与を検討中 ・AGM-88 HARMの運用能力 →開発中の新空対艦誘導弾XASM-3は対レーダーミサイルとしても運用できる可能性有? ・パンテーラFLIRポッドの運用能力 →国産のJ/AAQ-2を装備化、さらにスナイパーXRの搭載を検討 ・オフボアサイト照準を可能とするJHMCSに対応 →04式AAMでHMDを用いたオフボアサイト能力を獲得 F-2スーパー改の案自体はロッキード・マーチン社のフカシで終わったようなものですが(笑)、現在進められているF-2の能力向上案をまとめると、その方向性はF-2スーパー改にかなり近いものになっているのがわかります。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2013.08.09 01:56:50
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