カテゴリ:映画の話
ネタバレあり。 ■北野武監督「アウトレイジ」の続編です。 前作が「シナリオが弱い」と批判されたからか、引き締まったストーリー展開になったとの触れ込みでした。 が、正直にいって、微妙な出来上がりです… 退屈するとか、見るに堪えないということではありません。緊張感の続く水準以上の映画ではありますが、期待が大きかった分、残念感がありました。 ■北野武監督は、場面のイメージを先に発想してから、全体のストーリーを組み立てる監督のようです。 だから、場面ごとのイメージの喚起力に特徴があります。そこが海外でも評価されているところではないでしょうか。 ただし、その作り方だと、ストーリーに無理が出たり、辻褄が合わなくなったりしてしまうことがあります。 フェデリコ・フェリーニ監督のような作風なら、それでもいいのでしょうが、それをエンターテイメントでやられたら、見ている方はつらい。 北野武監督作品を観た時に感じる消化不良感や物足りなさは、そこに由来するのではないか。 ありていに言うと、シナリオをもっと練ってほしいわけです。 ■今回は、ストーリー中心の組み立てで、話に無駄がありません。 しかし、同時に、北野作品の美点である印象的なシーンやとぼけた笑いなども省略されてしまっています。 なぜこういうふうになってしまったのか? ■結論からいうと、やはりシナリオが弱いということになります。 ストーリー中心に組み立てるなら、もう少し粘り強い緻密な筋書きがなければなりません。 例えば、今回、主人公は大組織と戦うのですが、いくら後ろ盾があるとはいえ、大組織がこうも簡単にやられないだろう…と思ってしまいます。 しかもやたらに人が死ぬ。いくら暴力団とはいえ、ここまで無分別に人を殺すことはないでしょう。バイオハザードじゃあるまいし。 今回「仁義なき戦い」の路線を狙ったのかも知れませんが、あの映画でも、派手に暴れまわっているように見えて、実際には人はそれほど死んでいません。(そもそも謀略合戦で抗争が起きないというストーリーでした) ここまで人が死ぬとリアリティはありません。それならば、北野監督らしい印象深いシーンをつなぎ合わせて見せてくれた方が、納得感があったかも知れません。 どうも今回は、どっちつかずになって、場面の突起力も、笑いも、人物描写も、中途半端になってしまった感があります。 ■私が個人的によかったと思うのは、導入部あたりのシーンと、ラストシーンですかね。 後は、悪人顔の俳優陣のアップの連発です。 さすがにベテラン俳優の悪人演技は、迫力あります。画面に緊張感がありました。 俳優の演技に頼ったということでは、従来にない北野映画の試みだったということでしょう。 過渡期の作品だということですか。次回作に期待したいと思います。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
June 10, 2014 06:28:53 AM
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