2014/06/10(火)06:22
「かぐや姫の物語」55点
(ネタバレあり)
■正直、期待したほどではありませんでした。
まあ、期待が大きかったのですが。
宮崎駿が長編アニメを引退したわけですから、高畑勲には期待しますよね。
しかも、ジブリは、高畑勲のことを、宮崎駿に並ぶ天才だとしきりに持ち上げています。
その高畑勲が、8年の歳月をかけた作品です。
期待しないという方がおかしいでしょう。
■ただ作品は、それほどでもありませんでした。ダメというわけではありませんよ。あくまで期待したほどではなかったということです。
どうも、玄人筋のいうには、この映画、映像表現がすごいらしいですね。
今までなかった表現がありまくるのだとか。
ただ素人である私には、どこがすごい表現なのかがまるで分らなかった。動きが丁寧だな。と感じるぐらいです。
でもプロからいわせると、記念碑的な作品になるのでしょうかね。
■面白いのは、主人公であるかぐや姫のエモーショナルな表現です。
原作では、感情のない女性のように描かれているかぐや姫が、やたら人間らしい人物として、感情を爆発させています。
その感情に沿ってみていれば、それなりに面白い。
私がわかるのは、そのあたりです。
■かぐや姫は月からきた人物ということです。これを宇宙人だ。ととらえる向きもありますが、この映画では常識的に、天上界から落ちてきた存在だと解釈しています。
天上界とは極楽ですね。最後に出てくる月の使者も、明らかに仏様ですから。(やたら明るい音楽を奏でながらやってくるというのも面白かった)
苦しみのない天上界で何不自由ない暮らしをしていたかぐや姫が、下界に興味を持ってしまったために、罰のように、下界に落とされたわけです。
実際、下界は、苦しみの多いところです。貧しい者は、生きるために盗みも働かないとダメですし、嘘もつきます。
貴族階級もうそつきです。帝でさえ、かなり醜い人物像として描かれています。
そんな下界で、かぐや姫は、わりと単純に、感情を爆発させます。
生きるための努力をしないでいいわがまま娘が、周りの状況に、喜んだり悲しんだり怒ったりしながら、最後は月に帰るという話ですね。
当たり前にいうと、この世は醜さや愚かしさや矛盾に満ちたものであるけど、それだから、楽しさや喜びもあるんだよ。という話ですか。
まあ、こういう話もありかな。と思えますし、そんなわがままな小娘の話を見せられても。という気もします。
■そういえば、岡田斗司夫氏が、ニコ生で言っていた感想が、私としては、もっともしっくりくるものでした。
「この映画は、まんが日本昔話をめちゃくちゃ丁寧に作ったものです。8年かけて、それかよ!」