2016/05/09(月)23:09
井上尚哉に突き付けられた課題
壊れた右拳でKOを狙う余裕のV2。井上尚弥、ロマゴン以外は問題外?
■日本ボクシング界が誇る「モンスター」井上尚哉選手のWBO世界スーパーフライ級タイトルマッチがありました。
12ラウンド戦って、完璧な判定勝利。
2ラウンドに右拳を痛め、その後、左拳も痛めたという状況で、危なげなく勝ってみせたのですから、やはりモンスターです。
もし右拳が万全であれば、試合前の予想通り、4、5ラウンドあたりでKOしていたと思わせます。
■ただ、この結果を、前向きにとらえるか、後向きにとらえるのか、評価が分かれています。
今回、両手が使えない状態でも(要するにパンチ力がない状態でも)足と身体の動きで、ランキング1位の選手を寄せ付けないことがわかりました。
井上尚哉は、どのような状態でも勝つことができる選手であるということです。
■しかし、拳を痛めるのはこれが初めてではありません。
拳の怪我は、ハードパンチャーの宿命であるとはいいますが、そう何度も負傷していたら、それが普通になってしまいます。
相手側も、4ラウンドぐらい耐えれば、井上は拳を怪我してくれると織りこんで考えるようになるかもしれません。
そうなると、井上尚哉は「モンスター」ではなくなってしまいます。
■今回、危なげないように見えたのは、相手に攻め手がなかったからだとも見えました。
今回のように、拳を負傷した状態では、ローマン・ゴンザレスはおろか、前王者のオマール・ナルバエス相手でも危なくなるかもしれません。
■井上が、真の「モンスター」になるためには、拳を痛めないような試合運びをするのか、あるいは、拳を痛めた状態でも強豪と渡り合えるような技術を身に着けなければならないでしょう。
残念ながら、いまのままでは、ローマン・ゴンザレス戦に黄信号が灯っています。