カテゴリ:映画の話
■この映画、評判いいですね。というか良過ぎる。庵野秀明の悪口を言ってはいけない自主規制があるのではないかと勘繰りたくなります。 私はあえて辛口でいきます。以降ネタバレです。 ■ちなみに私は、ゴジラにそれほど思い入れがあるわけではありません。エヴァンゲリオンも見てません。庵野氏の作品に触れるのはたぶん初めてだと思います。 ただ今回のゴジラのCGは確かにすごいと思いました。下から映したり、上から俯瞰したり、これまでの怪獣映画ではなかった迫力や恐怖を感じる映像だったと感じます。 ゴジラも傷だらけで不気味だし。火を吐くシーンも、ナウシカの巨神兵を思い出すような迫力です。 最初でてくる幼体はユーモラスすぎていらんと思いますが、それはギリギリよしとしましょう。 そのゴジラに対する自衛隊の武器の数々も本格的でよかったです。 いわゆる「特撮」の部分は満足しました。 ■ただ、ドラマの部分が納得いかない。 今回の物語、突如現れたゴジラという脅威に対して、日本人がいかに戦うのかを描いたものだと思います。 最初、政府首脳や高官たちが、法律解釈や制度手続きなどについて延々討議する姿が描かれます。セリフは棒読みで、カットのテンポも速い。ここは、デビッド・フィンチャーの「ソーシャル・ネットワーク」のはじまりみたいで、面白かった。コメディっぽさがいいですね。 ところがそれがずーと一本調子なのでさすがに飽きます。ゴジラが来てんだからそろそろ慌てろよ、と言いたくなりますね。 ■話が動き出すのは、ゴジラによって政府首脳が軒並み死んでから。若手の実力者たちが集まってゴジラ対策に乗り出します。 ここでアメリカや世界各国が、「日本に任せててもダメだから、東京ごと核攻撃しよう」と言い出すのですが、そんなことあるか??リアリティがない。 だから、核攻撃の秒読みと日本若手チームの対策完成というハラハラが伝わってきません。 ■その日本チームがとった対策が、なんとも穴だらけのハチャメチャなもの。ここも、コメディということでいいのかな? それにしても後半の失速感はなかなかのものです。 前半はドキュメンタリータッチでそれなりに見れたものが、ヒロイックな展開になる後半は俳優がアニメのセリフを無理に読まされているような作られ感まんさいになります。 石原さとみなんて、映画を見返したくないでしょう。お気持ち察します。 ■ラストは、凍結されたゴジラが東京のど真ん中に残るという福島原発を象徴しているとしか思えない画です。 ところが、その画の前で、主人公たちが「俺たちは成し遂げた」とどや顔でいるのはどうなのか。あんたら根本解決してない。問題を先送りにしただけやん。 それもブラックなコメディという見方をすべきなのか? だとすれば、その皮肉な意図が描き切れているとはいい難い。 ■正直にいって期待はずれです。 ドラマの部分をばっさりカットして、ソダーバーグの「トラフィック」みたいに”説明せんぞ!”という映画にしたら傑作になるかもしれません。 あ、伊福部昭の音楽がそのまま使われているところは嬉しかったですね^^ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
August 4, 2016 04:19:41 PM
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