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小説の話

September 7, 2016
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カテゴリ:小説の話

コンビニ人間【電子書籍】[ 村田沙耶香 ]

■わかりやすい!

文章、テーマ、キャラクター、わかりやすさの三拍子です。

現代小説はこうあってほしいものですな。

■社会不適合者である主人公が、コンビニというシステムの中でだけイキイキとなる。

ちょっと極端に図式化されていますが、誰もが抱える社会への違和感、生きにくさ、居場所の必要性などを表現した小説だと読みました。

■特徴的なのは、さらに極端なキャラクターです。

主人公は、サイコパスみたいだし、その主人公に絡む男も、超身勝手なダメンズ。まるで闇金ウシジマ君に出てくる底辺のやつみたいです。

この小説を読んだ人は、キャラクターの異常さに受けているようですね。

ただ、私は、彼らのような人間を何人か知っているので、腹立たしさを伴う既視感しかなかったですけどね(ー_ーメ)

■ともかく、さくっと読めて、テーマも分かりやすく面白い小説でした。


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Last updated  September 12, 2016 08:58:07 AM
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April 12, 2013
カテゴリ:小説の話
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■読みましたよ^^発売日に購入して、すぐに読むなんて相当のミーハーですね。

でも面白かった。今回はよかったです。「1Q84」とはだいぶ違いました。

■昔の村上春樹が戻ってきたかのような小説です。

個人的な体験を内省的に書く春樹ワールド全開です。

もっとも物語は三人称ですし、殺人事件が起きたり、フィクションばりばりの内容なのですが、それでも、個人的で内省的です。

■まず主人公が受け身です^^

「色彩を持たない」と書かれていますが、要するに、意思を表しないわけです。だからいつも周囲に動かされ振り回されます。

煮え切らない、イライラさせる主人公像は、まさに春樹ワールドですな。

そのわりにまわりをよく観察して、気の利いた比喩で表現します。何とも小憎たらしい^^;

■その主人公を動かすのが、主に女性たちです。彼女たちは、欲望に忠実で、どういうわけか主人公に好意を抱き、近づいたり離れたりします。

動かない主人公と、動き回る女性たちという構図で、物語が展開するのは、いつもの通りですな。

ただ、今回は、女性に促されて、一応、主人公は行動しています。

こうした探偵小説風の枠組みも、村上春樹がよく使う手ですが。

■青年期の喪失というテーマは、この作家が繰り返し描いてきたテーマです。

妙に社会に枠を広げずに、潔く、個人的な狭い世界に絞ったことに、好感を持ちました。

今回は、その喪失の意味を大人になった主人公が、理解するために探究の旅に出ます。

村上春樹の物語世界に慣れた人なら、実に馴染みやすく、魅力的な内容となっています。

■おきまりになった「精神を病む美少女」も出てきますし、奇形も出てきます。ホモセクシャルもありますし、音楽へのこだわりもいつもの通りです。

魅力的な比喩表現もばっちりですし、適度に謎が解決されないままに終わるのもいいですね。

まさに、ザ・村上春樹です。

こういう小説をこれからも読みたいですね。






Last updated  April 13, 2013 12:33:36 PM
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November 28, 2012
カテゴリ:小説の話
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■涙なしには読めない小説です。

百田尚樹のデビュー作にして大ヒット小説ですね。映画化もされるらしい。納得の作品です。

■百田尚樹氏は、もともとテレビの放送作家をしていたらしいですね。「探偵ナイトスクープ」などを担当していたとか。

だからなのか、この小説も、シンプルなのに、多層構造をしているという素晴らしい編集力が見られます。

■太平洋戦争の特攻で亡くなった祖父のことを調べる孫姉弟が当時の関係者にインタビューをしていく内容が物語のアウトラインとなります。

特攻というのは、爆弾を積んだ飛行機(ゼロ戦)で、敵に突っ込んでいく自爆攻撃です。

アメリカでは「カミカゼアタック」と呼ばれ、自爆テロ攻撃として恐れられました。

一般に特攻に参加した者は狂信的な軍国主義者だと思われがちですが、実際はどうだったのかというのがこの小説のテーマです。

■多層構造といいましたが、この小説は様々な読み方が出来ます。

1.まずは、太平洋戦争のおおまかな流れを知ることが出来ます。

真珠湾攻撃、ミッドウェイ海戦、ラバウル沖海戦、ガダルカナル島奪回作戦、沖縄戦の様子がインタビューの中で語られます。

当初、能力的にも物量的にも優位にあった日本軍が、アメリカ軍に逆転されて、絶望的な状況に追い込まれていく様子がよく分かります。

2.次に当時世界最強の戦闘機であったゼロ戦の物語としても読めます。

技術的な後進国と思われていた日本が、世界を驚かせた戦闘機です。重量が軽く小回りが効き、長い距離を飛ぶことができました。

アメリカ軍のマニュアルには、ゼロ戦に出会ったら逃げろと書かれていたそうです。太平洋戦争当初はまさに無敵の戦闘機でした。

そんな夢の戦闘機が、アメリカ軍の技術力の前に敗れ、時代遅れになってまで戦わされる様子が語られます。

■なぜゼロ戦が世界最強足り得たのか。

一つには、アメリカにない日本独特の発想にありました。

というのは、ゼロ戦は、防御性能の極端に低い、攻撃能力に特化した戦闘機だったからです。

アメリカは、パイロットを守るための工夫を戦闘機に盛り込み、それが重量のハンディとなっていましたが、ゼロ戦は、そんなことお構いなしでした。

このように、当時の日本軍は、人命軽視の思想があったようです。

これが太平洋戦争末期の特攻につながっていきました。

3.この小説には、当時の日本軍のいびつな思想や姿勢が語られています。

末端の軍人を無謀な作戦に駆り立てる癖に、極端に憶病な軍上層部の姿勢が皮肉られます。

真珠湾でもミッドウェイでも、軍上層部がもう少し勇敢で、戦略眼を持っていたならば、その後の展開が変わっていたかも知れないと言われます。

ところが、そんな重大な判断ミスが、何ら責められることはありません。

上層部のエリート同士は決して責任を追及しないという暗黙の了解があったかのようでした。

4.ところが、現場の兵隊たちは勇敢でした。当時から、日本の現場の兵隊の能力は世界一だと言われていました。

ここでは、ゼロ戦の搭乗員の姿が生き生きと語られます。

勇敢で、前向きで、絶望的な状況にも明るさを失わなかった彼ら。

この小説の感動は、彼らの姿にあります。

決して彼らは狂信的な軍国主義者ではありませんでした。特攻に喜んで行く者などいません。こんなバカな作戦はないと公然と批判する者もいましたし、個々には納得していませんでした。

しかし国家の圧力に個人では逆らえず、せめて日本の将来の犠牲となろうと死に向かう彼らの決意は涙なしには読めません。

彼らを軍国主義の犠牲者と片付けてしまうのは、軽すぎます。

■そんな状況の中、主人公は、日本軍の在り方に疑問を抱き、家族のために生きて帰りたいと公言する人物として設定されています。

いささか現代的な人物として作りすぎている感がありますが、彼の行く末が、この物語のエンジンとなります。

もっとも私の感動は、物語らしさあふれる後半ではなく、前半の戦闘乗りたちの健気な姿の方にありましたが。

■この小説に対する批判として、文章が軽すぎるというものがありました。

確かにライトノベルやビジネス小説に似た文章で書かれており、戦争の絶望的な悲惨さが今一つ伝えきれていないかも知れない。

このあたりテレビ出身の作者らしい分かりやすさがアダになったのかも知れませんが、そんなことなど取るに足らないことです。

何より若い世代にも読んでもらえる文章になったというところに価値があると思います。

お勧めいたします。






Last updated  December 1, 2012 07:45:15 AM
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October 2, 2012
カテゴリ:小説の話
ネタバレあり。

■池上永一の琉球王朝大河小説です。琉球版ベルばらとの説もあります。

全4冊。一冊が薄いので、2冊にまとめてくれよーーと思わなくはない^^;

でも、面白い。無茶苦茶面白い。一気読みは間違いありません。

■何が面白いって、やはりストーリーテリングの妙です。池上永一は、恐るべきストーリーテラーですな。

描写や会話が軽いというきらいはありますが、もともとジュニア向けに書かれたのでしょう、きっと。仕方ないですよ。これほど売れるとは思っていなかったのかも知れませんね。

■主人公は琉球王朝時代の士族の女の子です。事情があって、男に化けて、超難関の試験を突破して、王国の上級公務員となります。

時は幕末。琉球王朝末期です。海外からの開国圧力で日本が揺れている時代です。その難しい時代を、この少女の交渉能力で、渡っていくわけです。

武力もない、資源もない、琉球王国が、大国にはさまれならが、それでも生きていくためには、ぎりぎりの外交交渉を行う必要があったわけです。

そのあたりのことがこの小説の一つのテーマです。

■ところで、この少女、女であることをごまかすために、中国から養子としてやってきた宦官だと言い張ります。

宦官というのは、去勢した男子のこと。中国では、大奥務めのために、そういう身分の者がいたんですな。

ところが、この少女がどういうわけか、絶世の美人に育ちます。男のふりをしていても、その美しさは目立ってしまいます。

なんでばれないんだ――と思いますが、小説ではばれないわけですよ。それどころか、妖しい魅力で同僚や薩摩の侍たちを惑わせます。

この少女をめぐる恋の行方が、この小説のもう一つのテーマです。

■その上、この少女、罪を犯して、流刑にされてしまいます。

そこから帰ってきたと思ったら、今度は王様の側室に選ばれます。どうなってんじゃーーという展開です。

しかも、夜は側室をやりながら、昼はこっそり男に化けて凄腕の交渉人として国家の危機を救うのですから、もう無茶苦茶です。

■でも、その無茶苦茶が、ストーリーとしてうまくはまっています。そこがストーリーテラーたるゆえんですな。

全体に重厚感がなく、あらすじを読まされているようであることは否めませんが、この無茶苦茶なストーリーをまとめ上げた手腕は大したものです。

見習いたいものですな。

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Last updated  October 6, 2012 09:26:05 PM
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October 1, 2012
カテゴリ:小説の話
ネタバレあり。

■アレクサンドル・デュマ作の大長編です。岩波文庫で全7冊。

日本では「岩窟王」の名前で親しまれています。

筒井康隆が「一冊だけ持って行ってもいいといわれたら、この一冊」と言ったとか。

世界的な評価では、世界で最も面白い小説だといわれています。

■その評価に違わず、一気読みできます。娯楽作品のお手本みたいな小説ですね。

物語は、無実の罪で投獄された若い船乗りが、命からがら脱獄し、莫大な財産を得る身になって、自分を陥れた者たちに復讐していくというもの。

自分を陥れた者たちが、どういうわけか皆、成功者になっていたり、主人公の変装に敵が全く気付かなかったり、ご都合主義の部分は多々あるものの、復讐という普遍的なテーマで、読ませます。

それというのも、この小説、主人公に強く感情移入できるように書かれています。そこがうまい。

もともと主人公は、疑うことを知らない純朴で素直な青年です。前向きで溌剌とした性質は嫌われる要素がありません。

ところが、彼が陥れられるのは、彼が出世することへの同僚の嫉妬、彼の婚約者へ横恋慕する男の嫉妬、自分の身を守りたい男の利己心などからです。

そんなくだらないことで、十数年も投獄されてしまう主人公の辛苦を思うと、陰湿な復讐にも胸をすくようなカタルシスを覚えるようになってしまいます。

■そういえば、この小説、ジェフリー・アーチャーの「誇りと復讐」にそっくりです。

いや、逆です。ジェフリー・アーチャーが、この小説を参考にしたわけですね。

しかも、アーチャー作品の方が、ストーリー展開がうまい^^

「モンテクリスト伯」の弱点は、敵があまりにも間抜けなこと。

主人公の独創的な復讐計画が彼らを追い詰めていく様は面白いのですが、あまりにも簡単にやられてしまう。

少しは企みに気づいて、反撃しろよ!と言いたくなります。

その点、「誇りと復讐」では、主人公は敵の罠に再び落ちて、絶体絶命のピンチに立たされます。

娯楽作品はこうでなくちゃ。

■とはいいながら一気読み小説であることは間違いありません。

特に、昔の小説だからか、今なら省略してしまうような部分を執拗に書き込んであります。その筆力には恐れ入ります。

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Last updated  October 6, 2012 08:59:13 PM
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February 21, 2012
カテゴリ:小説の話
■これもiPhoneで読了。

ご存知、夏目漱石の名作です。

■これも高校生の時に読みました。映画も観ました。松田勇作でしたね。

しかし、今回、再読して、驚きました。まさか、これほど面白い話だったとは!!!

■物語そのものは凡庸です。

親の金を当てにしてブラブラしている男がいます。生活のために働くのは嫌だ。純粋に働きたい時にだけ働く…などと偉そうなことを言っています。

親友はそういうわけにはいきません。生活のために働いて、辞めて、また再就職します。

その親友の妻を男は奪うことになります。

面目を潰された親友が親に訴えたため、男は勘当されて、生活のために働かなければならない羽目になります。

■物語はこれだけです。

1.浮世離れした男が、現実に堕ちる話。(生活のために働く)

2.社会的ルールに縛られていた男が、原初的な欲求を貫く話。(親友の妻を奪う)

という2つのストーリーが皮肉な形で交差します。

人が死ぬわけではないし、殴られるわけでもない。どちらかというと感情を露わにしない登場人物が、常識的な反応を示すのみです。

それでもこの小説は抜群に面白い。

■この小説における漱石の筆力は半端なものではありません。

波が押したり引いたりしながら徐々に満ちてくるように、物語がゆっくり盛り上がっていき、最後、一気に破局に至る様は見事というほかありません。

■一種、心理小説といってもいいぐらい主人公の心理の襞が丁寧に描かれています。

やや特殊なのは、主人公の心理を表すのに、やたら暗喩表現を連ねているところです。今の作家は、こういう書き方はせずに、もっとうまい比喩を使うはずです。

ただし、この小説の魅力のひとつは、その抽象的な言葉を操るところでもあります。

もし馬鈴薯(ポテトー)が金剛石(ダイヤモンド)より大切になつたら、人間はもう駄目であると、代助は平生から考へてゐた。向後父の怒りに触れて、万一金銭上の関係が絶えるとすれば、彼は厭でも金剛石(ダイヤモンド)を放り出して、馬鈴薯(ポテトー)に噛り付かなければならない。さうして其償ひには自然の愛が残る丈である。其愛の対象は他人の細君であつた。

物語のスピード感を考えたら、こういう文章はあまり挟まないのでしょうが、この小説では、こういう部分が延々と続きます。その他、抽象的な文章がやたら多い。

ところが、こうした文章が積み重ねられることで、物語が徐々に盛り上がっていき、最後の落差が衝撃を与える仕掛けになっています。

これはなかなか真似できませんよね。

■謎めいた女性の姿も印象的です。形の上では、あくまで男同士で道具のように引き回されるヒロインですが、決して意思のない人物ではありません。

 代助は慄然として戦いた。
「貴方に是から先何したら好いと云ふ希望はありませんか」と聞いた。
「希望なんか無いわ。何でも貴方の云ふ通りになるわ」
「漂泊――」
「漂泊でも好いわ。死ねと仰しやれば死ぬわ」
 代助は又ぞっとした。
「此儘では」
「此儘でも構はないわ」
「平岡君は全く気が付いてゐない様ですか」
「気が付いてゐるかも知れません。けれども私もう度胸を据ゑてゐるから大丈夫なのよ。だつて何時殺されたつて好いんですもの」


もうこれは、完全に主人公を追い詰めてコントロールしています^^ある意味、この女性が一番怖い人かも知れません。

■要するに、この小説の面白さは、人間が通常の生活をしている際に出会う悩みや葛藤をエキセントリックな設定なしに、丁寧かつ迫真性を持って描ききっているところにあります。

これを読むと、連続殺人や誘拐といった異様な設定の物語が、絵空事だけに、迫真性を失ってしまう気がしてきます。

さすが日本を代表する文豪の作品ですよ。

それから






Last updated  February 24, 2012 04:59:42 PM
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February 19, 2012
カテゴリ:小説の話
■「坊っちゃん」に続く、夏目漱石の青春小説の傑作です。

熊本からやってきた純朴な青年三四郎が東京で体験するあれこれを楽しげに、またセンチメンタルに描きます。

■冒頭が衝撃的です。

上京する電車内で知り合った女性に旅館に誘われて、同じ部屋に泊まる羽目になった三四郎青年は、一晩何もせず、その女性から「あなたは余程意気地のない方ですね」と捨て台詞を吐かれてしまいます^^

田舎者の青年が初めて出会う化物ですね。

■大学生になってからの生活も楽しげです。当初勉強熱心だった三四郎青年も、友人に感化されて、徐々に堕落(?)していきます。

友人の何某が、相当いい加減なやつで、笑いをとります。このあたりは、坊っちゃんにみられるユーモア小説のテイストありです。

■ところが、列車に轢かれた若い女の死体を見る場面などに、小説は暗い影を持っていることが分かります。

その後、三四郎の前に、美しい女が現われます。これが第二の化物です。

女は謎めいた素振りで、三四郎を翻弄します。

この女の描写が秀逸です。着かず離れず、下品にならず、善でもなく。そういう女の行動を描く漱石の筆が冴えわたっています。

■三四郎も相当慎重な青年ですから、行動を起こすわけではありません。それでも内面で振り回され、周りの評判となってしまいます。

劇的な場面はあまりないものの、内面中心のドラマで、物語を引っ張る筆力は流石です。

■それにしてもこの小説のラストは素晴らしい。

切なさ、感傷性と同時に、女の怖さ、それに翻弄された三四郎の成長を一気に見せてくれます。

青春小説の傑作と思う所以です。

三四郎池






Last updated  February 19, 2012 11:05:53 PM
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February 18, 2012
カテゴリ:小説の話
■最近、青空文庫をiPhoneで読むことを覚えたので、古い小説ばかり読んでいます。

「半七捕物帳」については全巻読みました^^

面白かった。

■その次、読んで面白かったは、森?外の「雁」

ある不幸な事情で、高利貸の男の妾になったお玉さんと大学生の岡田君の儚い恋を描いた物語です。

ただし恋といっても、特に交際に発展するわけではなく、ほぼお玉さんの片思いです。

しかも、岡田君が散歩する姿を毎日見かけるだけ。

それで、お玉さんは思いを寄せて、勇気を出して岡田君に声をかけようとします。

■明治期らしい節度ですね。

それでも、お玉さんの気持ちの動きが丁寧に書かれており、飽きさせません。

高利貸の男も別に悪い人間ではありません。だから無理に、不幸を強調するわけではない。ここに書かれているのは、不幸な境遇ながら明治期には一般的であった(かもしれない)女性の自我の目覚め、主体性の目覚めです。

あざとくならず、ごく丁寧に、それが描かれています。

■しかも、この小説の題名を「雁」と名付けた?外のセンスには唸ります。

文豪の真骨頂ここにあり。と思わせる小説でした。

読んでよかった^^

雁






Last updated  February 19, 2012 10:40:04 PM
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January 28, 2012
カテゴリ:小説の話
■青空文庫で岡本綺堂の「半七捕物帳」全69編を読了。最後は寿司屋の待合椅子で読み終えました^^

青空文庫ですから、電子書籍です。いい時代になりましたね。昔の作品は、基本無料で読めます。iPhoneで通勤電車の中で読んでいるとあっと言う間でした。

■それにしても面白い小説です。主人公は幕末期の「御用聞き」(現場警察官のようなもの)腕利きらしく、難事件を任せられて、難なく解決していきます。

作者は「江戸版シャーロック・ホームズ」と称しています。何が面白いかというと

1.事件の発端の特異性。たいていは妖怪や物の怪がからんだとしか思えない事件ばかり発生するのですが、最後には半七の手で種明かしがされるようになっています。

2.半七親分のキャラクター。老人の昔語りという進行ですが、それがうまく効果を見せており、昔かたぎの現在の姿と若い頃の溌剌さが立体的に魅力を感じさせます。読んでいる我々も、親しい人の話を聞いているような気がします。

3.江戸の風俗に対する興味。今は忘れられたような当時の人々の様子が垣間見れます。

■ただし推理物としてはいささか物足りない。半七自身の推量があまりにもずばずば当たりすぎるし、解決の部分も後日譚として付け足すような処理となっています。事件の発端と比べると、竜頭蛇尾のような構成が多くなっています。

まあ、それでも面白い。岡本綺堂の簡潔かつ流暢な語り口は、今読んでも色褪せていません。

傑作ぞろいですからご一読をおススメいたします。






Last updated  January 30, 2012 11:17:37 PM
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May 8, 2011
カテゴリ:小説の話
■今さらながらですが、この連休中に読みました。今のところ全3巻。長い小説です。

ストーリー展開が面白いので一気に読めます。が、長いという印象はぬぐえない。まだ読み終えたばかりですが、読後感は混乱しています。

正直いって、いい小説なのか、そうでないのか分かりません。

例えば「カラマーゾフの兄弟」のように、長いし、混乱しているけれども、これは絶対にすごい小説だーーとまでは思えない。

まだ読み終えたばかりでもありますし、評価は保留させていただきます。そのうち印象も変わるかも知れません。

■混乱の理由の第一は、物語の論理が曖昧であること。

もちろんファンタジー小説なので、現実の論理に従う必要はありません。

そうではなく、作者が設定する物語のルールがはっきりしない。そういう意味での論理が曖昧なので釈然としないものが残ります。

例えば、物語の冒頭は女性主人公が、ふとした偶然から、1984年の世界から1Q84年に迷い込んでしまう場面です。

そしてラストは、主人公が、冒頭の場面を逆流して元の1984年に戻る場面です。

その枠組みに収まるなら「不思議の国のアリス」みたいに明瞭ですっきりします。

しかし、もう一人の主人公が書いた小説が、1Q84年を現出させたという読み方もできます。

そうであれば、二重三重に枠組みを設定した入れ子構造のような小説であるべきなのに、そうは展開しません。

女主人公と男主人公は、わりにあっさりと出会って、共にその世界から脱出します。

それは力技というよりも、粗暴な展開に思えました。

■混乱の第二の理由は、共感できない女性を主人公に据えたこと。

女主人公は、暗殺者です。彼女は、ある宗教団体のリーダーを暗殺します。そのため、彼らから追われることになります。

敵はオウム真理教を彷彿とさせるカルト団体なのですが、物語の中では、主人公側の方も、偏狭な正義を振りかざして人殺しをするグループです。

要するに、両方が、正義ではありません。

かといって、主人公が我々の疑念を代弁すべく、正義とは何ぞや、なんてことに悩むことはありません。最後まで偏狭な人物のままです。読者の感情移入を巧妙に拒むようになっています。

もちろん、倫理感ゼロの悪漢を主人公に据えたエンターテイメント小説でもありません。それには、主人公に近づきすぎている。

(男性の主人公は村上春樹の小説に出てくるいつものタイプで、煮え切らない受け身な人物です。彼には感情移入できませんな…)

どの立場から物語に入り込めばいいのだろうと思ってしまうわけです。

■混乱の第三の理由は、まさに作者が、混乱させようとしていること。

様々な要素がぶちこまれたような小説です。恐らく、作者は、「カラマーゾフの兄弟」のような複雑で多義的な小説を目指したのだと思います。

「1984」はもちろん、様々な文学や、映画や、音楽が引用されています。それが、ところどころで、意味をふくらませ、この小説を多義的にしています。

また、日本の社会が抱えるカルト宗教や暴力や正義の問題についても、物語という形で、提示されます。

雑多なイメージをそのまま提示し、読者に考えさせようという意図なんでしょう。

ただ、雑多すぎて、ついていくのが難しかった。私には、ということですが。

もう少しすっきりさせて、1巻にまとめることもできたのではないか。そういう無駄を感じさせます。

■村上春樹といえば、内省的な個人的体験をうまく書く作家だというイメージがあります。

流行に左右されず時代に乗せられず、ひたすら自分の領分を守り、その立場から文学を組み立てる。

ファンタジー色の強い作風ですが、基本的には個人的な題材を書いています。

ところが「アンダーグラウンド」あたりから、社会に向かうようになってきました。とりわけ、カルト宗教の問題には深くかかわってきました。

今回の作品は、その集大成とでもいったものでしょうかね。

ただし、書評などにみるように、本当に作者は、現代日本の問題を自分の文学に取り込むことに成功しているのでしょうか?

どうも、私には、作者は自分の資質とは外れたことをしようとしているのではないか。そう思えてしまいます。

■ただし、圧倒的なのは、やはりこの作者独特の表現力です。特にレトリックの力はすごい。どの場面でも丹念に、レトリックで飾られています。

巧みなストーリー展開と豊穣なレトリックは、この作者の真骨頂でしょうね。

そのディテールを読むのは価値がありました。






Last updated  May 8, 2011 11:40:52 PM
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