チーム学習を支える「意見交換」
「ファシリテータ養成講座で学んだスキルを、実際の会議で使えないのはどうしてだろう。」会社の会議で、ファシリテータ養成講座で学んだことを使えないことに無力感を感じていた。「会議改革」というスローガンを書いた壁紙が、色あせて見えている。 ピータ・M・センゲ著「最強組織の法則」の第12章、チーム学習の中に「意見交換」のファシリテーションがのっていた。自分が理想と考える「会議の場」を創るヒントがありそうな気がする。 チーム学習は、チームのメンバーが本当に望んでいる成果を生み出すために、一致協力してチームの能力を伸ばしていくプロセスである。 チーム学習では、ディスカッションではなく、「意見交換」が重要とされている。「意見交換」は、複雑で微妙な問題を自由かつ建設的に探求し、お互いの意見を十分に「聴き」、自分の考えを呈示することによる特別な対話として紹介されている。 現状、会社の会議で、意見の衝突が起きた時、参加者が行うことは、双方を「丸くおさめる」か、徹底的に「意見をぶつける」かである。これを繰り返しているうちに「本当の意見」を言う人が徐々に少なくなってきた。 私たちは、恐れやあきらめから、自分を守る「防衛慣例」というやりかたを、知らず知らずに身に付けてしまっているようだ。これでは「意見交換」の対話は期待できない。 「意見交換」では、自分の発言に対しても、固守せず、チームメンバーの前に出し、それを客観的に見つめ、さらに新しい思案をめぐらすようにすることにより、チームメンバー間の相乗効果を発生させることが求められている。本の中では「対話そのものに命が宿りだす対話」として紹介されている。 熟練したファシリテータがいないと、「防衛慣例」の習性から、いつのまにか、ディスカッションになってしまう。意見交換の場でのファシリテータは、対話がディスカッションになったことを指摘し、意見交換に軌道修正する技量が求められている。 チーム学習を実践する組織を育てるために、「意見交換」を可能とする環境を創り出したい。そのためにも、ファシリテーション技量を身につけていきたいと思っている。