|
テーマ:映画館で観た映画(8347)
カテゴリ:邦画(か行・さ行)
監督:黒木和雄 出演:原田知世、永瀬正敏、松岡俊介、本上まなみ、小林薫 鑑賞劇場:岩波ホール 公式サイトはこちら。 <Story> 九州一大きい病院の屋上で語り合う、1組の老夫婦。 夫が言う。 「まだ、あるやろか、桜の木。」 ・・・・・・ 「なして、おいは、生きとるやろか。」 「よかですたい、生きとる方が。 死んだら何もならんですばい」 昭和20年3月30日、鹿児島県米ノ津町。 紙屋悦子(原田知世)は、技師である兄・安忠(小林薫)、 そしてその妻にして悦子の同級生であるふさ(本上まなみ)と3人で、 ひっそりと暮らしていた。 出張で上京した両親は、 3月10日の東京大空襲に遭遇した。 両親を亡くした悲しみが癒える間もない時に、 安忠が、悦子に縁談を持ってきた。 相手は、兄の後輩で、海軍出水航空隊士官である明石少尉(松岡俊介)の親友で、 同じく出水航空隊の整備担当士官・永与少尉(永瀬正敏)。 密かに明石少尉に想いを寄せる悦子は、 この縁談が明石の勧めであること、 そして明石自身も成立を望んでいることを聞き、 複雑な気分になる。 見合いの日。 熊本に軍事徴用された安忠と、それにつきそうふさが不在のまま、 悦子1人がいる紙屋家へ、 明石少尉と永与少尉がやってくる。 以前に紙屋家で悦子を見かけ、 永与は悦子を大変気に入っていた。 何とか必死に、無口で朴訥な親友に、悦子の心を捉えさせようとする明石。 そして素朴で無骨、しかしながら純粋な永与。 明石少尉への想いを隠しながら、 永与の申し出に応える悦子。 同年4月8日。 明石が、紙屋家を突然訪問する。 たまたま、熊本から帰省していた安忠やふさに、 沖縄奪還に係る、海軍特攻隊に志願し、 出撃は翌日であることを告げ、 世話になったと挨拶する明石。 そして言葉もない悦子。 <感想>(ネタばれ) たった半月あまりの出来事。 半月なのに、その間に起こる、 運命の大きさ。 戦争という魔物の前には、 何もなす術もないのか。 確実に死んでいく自分が想いを寄せる女性を、 自分が一番信頼している男に託す、 むごい。 しかしながら、そうせざるを得ない。 それが彼女に対するせめてもの愛情なのだから。 静かに永与が差し出す、明石の遺書を受け取る悦子の胸の中に去来する悲しみは、 如何ばかりであっただろう。 彼らの優しさは、今の日本人に理解できるだろうか。 何も言わず死んでいくなんてできるだろうか。 何も言わず想いを寄せる人が死んでいくのを見ていられるだろうか。 戦争末期のこの頃は、 都市部では壊滅的な空襲が日常茶飯事となっていたはずなのだが、 紙屋家の食卓に上る、麦飯や汁物、 そして見合いの日に、とっておきの小豆で作る、 おはぎなどを見ても、 地方が都市よりは戦争の影響を受けにくかったことがわかる。 この映画の公開を待たずして、 今年4月に急逝した黒木監督。 この岩波ホールで上映された3部作、 『TOMORROW / 明日』『美しい夏キリシマ』『父と暮せば』も 印象深いところであろう。 銃後の側から見た戦争、そして人々の悲しみを描いている。 実は岩波ホールは初めてです。 行きたいと熱望していたのですが^^ 今日がデビューとなりました。 東京・神田神保町の交差点にあります。 神保町といえば、古本街で有名です。 その昔、神保町でバイトをしていたことがありましたので、 懐かしい街なのです。 このホールの支配人・高野悦子さんの生き方にも、 とても感銘を受けています。 尊敬する方の1人です。 映画が終わって、少しだけ街の空気が吸いたくなって、 地上に出てみました。 どこからか、古本の匂いがしてきたのは、 気のせいでしょうか・・・・。 昔、お茶の水までよく歩いたものでした。 きつい坂を登って、山の上ホテルを横目で見て、 明大などの学生街、駿台とかもありましたっけ・・・。 また時間がありましたらゆっくり散策してみたいものです。 ******************** 今日の評価:★★★★ (抑えた悲しみ、 今はもうない、日本人のこころ、 観客に伝わってきました。)
お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
[邦画(か行・さ行)] カテゴリの最新記事
|