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テーマ:映画館で観た映画(8348)
カテゴリ:韓国映画
原題: MAY 18 監督 : キム・ジフン 出演 : キム・サンギョン 、 イ・ヨウォン 、 イ・ジュンギ 、 アン・ソンギ 、 ソン・ジェホ 、 ナ・ムニ 、 パク・チョルミン 、 パク・ウォンサン 、 ソン・ビョンホ 、 チョン・インギ 鑑賞劇場 : 109シネマズ川崎 公式サイトはこちら。 <Story> 1980年5月18日、韓国・光州市。 この町で25000余名の戒厳軍が民主化を要求する学生、市民らと衝突した“光州事件”… タクシー運転手の青年ミヌ(キム・サンギョン)は早くに両親を失い、たった一人の弟ジヌ(イ・ジュンギ)と暮らしていた。 父親代わりでもあるミヌは、弟に格別の愛情を寄せていた。 そして、ミヌが想いを寄せる看護師のシネ(イ・ヨウォン)。 彼女は母親を亡くし、父親フンス(アン・ソンギ)との二人暮らしだった。 彼らの平和な日常は、その日を境に突如として襲った嵐のような戦禍にまみえていく。 ミヌは、ただその現実が夢であることを願った。 軍の銃弾に倒れた弟のジヌ。 かけがえのない愛と命が次々と犠牲になっていく。 ミヌは、ただ愛するものを守りたい一心で戦いを挑んでいくのだが…。 光州5・18 - goo 映画 <感想> 109シネマズデーの2本目。大きめのスクリーンはほぼ満席です。 心なしか年配のお客さんが多かったような。 光州事件の詳細はこちら。 アジアで起こった大規模な民主化運動の中で、光州事件の詳細というのはあまり知らされていないような気がします。 当時は韓国内でも報道規制がされていましたから、正確な事実は国民に知らされることはなかったようです。天安門事件の方が記憶に新しいこともあり、日本ではこちらの方がよく知られていると思います。 ですのでこの映画は鑑賞前に多少なりとも光州事件の知識が必要となってきます。 映画鑑賞の平和な場面から、いきなり民衆弾圧へと場面が移動してしまいますので・・・。 ここでは、軍の弾圧に対して組織した市民軍が抗戦したという簡単なストーリーになっていますが、実際はもっと複雑だったようです。 そこのところの細かい説明は省略して、あくまでも戦いをバックに据えて、兄弟・親子・男女の愛を話の軸にして映画化しています。
今回期待したのはアン・ソンギ。 予備役の大佐にして光州市民、彼は市民軍の指揮者という設定です。 ほとんど無謀とも言える戦いを指揮して、何の予備知識や戦術もない市民軍を統制していかないといけない立場。この映画ではあくまでも穏やかな雰囲気ですが。 あとは『ホテル・ビーナス』『王の男』『初雪の恋』と観てきたイ・ジュンギくんですね。 この映画の主人公であるミヌ・ジヌ兄弟やシネも、光州を愛する正義感にあふれた一市民として描かれます。 デモ参加の学生と、一般市民の見境なく撲殺して弾圧する。 子供でも老人でも女性でも容赦なく銃弾を浴びせて殺す。その場面の哀れさ、そして残された遺族の悲しみは涙を誘う。 そして軍部による光州市民軍への攻撃、何もなすすべもなく死んでいく者たち。 勝ち目のない戦いをしても守りたいものがあると訴えています。 そしてシネがミヌを守るために軍人を殺したとき、看護婦でありクリスチャンでもある彼女の中の誇りは崩れ落ちてしまいます。罪のない人々を殺す理不尽な軍部に対する怒りと、大切な人を愛する心だけが彼女を動かしていく。
軍部の光州制圧を黙認した駐韓米軍の存在などの説明はさらっと流し、死にゆく者たちをひたすら美しく描いているわけです。(そうでないと話にならないので) インボンとヨンデのお笑いのシーン、ジヌの高校教師の思いやり、牧師の市民軍参加などのエピソードが、最後の1枚の写真を見たときにまた思い起こされるしくみになっており、 そこでまた観客は改めてこの事件の残酷さと、1人だけ笑わないシネの慟哭を感じていく。 実際はもっともっと生々しかったり、迎え撃つ市民も意見がいくつかの派閥に割れていたらしいが、そこまで詳細に描いてしまうと映画としての「華」がなくなってしまうためにストーリー性を重視したものと思われる。 そういうところに重きを置かないで、光州事件を紹介した「物語」として観ること、そして光州事件を忠実に再現することがこの作品の意図したところではないだろうか。 とはいえ当時報道されたエピソードを再現した、遺影を掲げる子供のシーンなどは悲しいです。
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