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テーマ:映画館で観た映画(8182)
カテゴリ:韓国映画
原題: SECRET SUNSHINE/密陽 監督・脚本 : イ・チャンドン 出演 : チョン・ドヨン 、 ソン・ガンホ 、 ソン・ジョンヨプ 、 チョ・ヨンジン 、 キム・ヨンジェ 鑑賞劇場 : シネマート六本木 公式サイトはこちら。 <Story> 夫を交通事故で亡くしたばかりのシネ(チョン・ドヨン)は、夫の故郷で再出発するため、息子(ソン・ジョンヨプ)とソウルから密陽(ミリャン)に引っ越して来る。 車が途中で故障してしまい助けを呼ぶと、自動車修理工場を営むジョンチャン(ソン・ガンホ)がやってきた。それ以降、何かと気にかけてくれるジョンチャンの尽力もあって、シネは無事にピアノ教室を開くことができた。 隣人たちとなかなか馴染めないことに不安を抱きながらも、なんとか順調に新生活を送っていたが、ある日…。 ![]() シークレット・サンシャイン - goo 映画 <感想> 2007年カンヌ国際映画祭主演女優賞受賞作品。 その他韓国内外の数々の賞に輝き、そして大好きなチョン・ドヨン主演なんで、 これは絶対に観に行こうと気合い入れて行ってきました。 シネマートの水曜の初回・・・ 何となく予感はありましたが、映画館の外まで列が!! 上映館が少ないのでどうしても集中してしまうんでしょうね。 チョン・ドヨンの作品は割と多く鑑賞しています。 『私にも妻がいたらいいのに』、『スキャンダル』(日記なし)、『我が心のオルガン』、『ユア・マイ・サンシャイン』の4本。 どれも難しい役なんですよね。 彼女は、役の中に必ずと言っていいほど自分を同化させているような気がするんです。そんな表現ができる数少ない女優さん。韓国の女優の中ではこれは右に出るものはいないような気がします。 その努力、というか、天性のものもあるんだろうなあ。。。今回の受賞にもつながったのだと思うんです。 普通、夫をいくら愛しているとはいえ、夫の故郷で再出発するってすごく珍しい選択のような気がします。劇中でも密陽アジュンマたちに驚かれてる。 大概そんな時は、今住んでいるところとか自分の故郷とかでやり直そうかなって考えるのが自然なんじゃないかなと。 そしてやり直そうとした土地、ミリャン(密陽)で、シネは周りに馴染もうとしないばかりか、自分を誇大に羽振りがよさそうに宣伝している。 それが引き金となり最悪の結果を生んでしまうわけなのだけど、 彼女がそんなにまでしてよく見せたかったのは何だろうかって思ってしまいます。 虚勢なのか、見栄なのか。 それを解明するシーンは追々出てくるんですね。死んだ前夫との関係、前夫の家族との確執なんか。 そういうものに負けまいと必死に生きていこうとするシネ。しかし運命は彼女に過酷な試練を与えてしまう。 「許す」って人間にとって一番難しいこと。 私が許す、それなら私は救われる。 でも私が許す前に他人によって許されてしまっているのならば、それでは私が救われないではないか。 極悪人を許そうと思っていた、そしてそれは完璧に成し遂げられると思っていたシネの表情は、 相手が自分よりもとっくの昔に平安を得ていて、そして自分が犯した罪は自分の信仰によって許されると悟っているとわかった瞬間から、 みるみるうちに崩れ去っていく。 その表情の見事さ・・・。 天女のような「許す」表情から、夜叉の顔に変わる瞬間。 人の心には光と闇が同時に存在することを改めて思い知らされる。 そんなに簡単に許せるわけはないのだ。
許せない、そんなに簡単には。 そうなるとすべてのことが嘘に思えて。 シネが怒りを込めて牧師のBGMと取り替えてかけるCDも見事な選曲。でもそんなことじゃ彼女の怒りや虚しさは埋まらない。 だから最高に清らかなものを汚させようとしていくのだが、それもインコンプリートに終わってしまう。 自分の心を癒そうとすればするほど、行く先々に傷つけるものばかりが現れる。 そこから逃れようと辺りを見渡した時、いつもそばにいてくれたのはジョンチャン、そして暖かい陽射し。 何も見えないから信じないと言い切っていたシネ。けれど、ずっと自分を見守っていてくれた存在の偉大さにいつか気がつくときがあると信じたくなった。 無骨な男を演じたソン・ガンホの包容力も素敵でした。 じれったいほどの心のいやらしさ、汚さ、そういったものをチョン・ドヨンはきっと限界まで自分を追いつめて演じているんだろうなと感じました。 また1つ彼女の傑作が生まれていきます。 このサイトに、この映画の説明とロケ地の写真が出ています (ハッキリ言いますがネタばれしてますんで、ご覧になる方はそこのとこ了解してください。かなり詳しくロケ地が出てます)
今日の評価 : ★★★★★
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