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2009/04/18(土)07:39

『グラン・トリノ』 (2008) / アメリカ

洋画(か行)(77)

原題: GRAN TORINO 監督 : クリント・イーストウッド 出演 : クリント・イーストウッド 、 コリー・ハードリクト 、 ブライアン・ヘイリー 、 ブライアン・ホウ 、 ジェラルディン・ヒューズ 、 ドリーマ・ウォーカー 、 ビー・ヴァン 試写会場 : 九段会館 公式サイトはこちら。 <Story> 自動車工場に長く勤めていたウォルト・コワルスキー(クリント・イーストウッド)は、引退後は変化のない決まりきった生活を送っていた。 長年連れ添った妻は亡くなり、息子たちとも疎遠で、愛犬デイジー以外に胸の内を話せるような信頼できる相手はいない。 そして近所にいるのはウォルトが嫌悪するアジア系少数民族の移民たち。 ウォルトは文字どおり目に入るものすべてに怒りを覚えながらも、積極的に世の中と関わることなく、ただ人生が終わるのを待っていた。 ある晩、何者かが自慢のグラン・トリノを盗みに入るまでは。 盗みを強要された内気な少年・タオ(ビー・ヴァン)とウォルトの交流が始まり、二人の間に芽生えた思いがけない友情は、それぞれの人生を大きく変えていくことに…。(作品資料より) [ 2009年4月25日公開 ] グラン・トリノ - goo 映画 <感想> 先週の試写会なのにもうかなり時間経っちゃってますw なかなか書く時間取れないんですよねえ。。。 忘れちゃいそうです。 ・・・と言っているうちに昨日、これも2通目の当選が来てしまった(汗 ここまで頭がガチガチじゃないんだけど、何だかうちの父みたいなんですよね・・・。このウォルト。 頑固で、昔のことが好きで、今は失われてしまった旧き良きものを懐かしんで。 今は彼も老境にさしかかって、いささか丸くなりましたが、私が子どもの頃は一緒に電車なんか乗ってる時に、マナーの悪い若者なんかがいたりすると注意とかしてました。 今なら逆ギレされて撲殺されますから(!)、さすがにそれはしてないらしいけど。「そんなことしても、くだらん。つまらん」って言ってます。 だから、彼の亡き妻が、自分の死後に牧師に夫の今後を案じて託しているところなんてよくわかるんですよ。 うちの父が、正義感が強いのが相変わらずだったら私もそうするかも。 アメリカは最早移民の存在なくしては語れない国になってきています。移民してくる元の国の国籍が多くなればなるほどコミュニティも増える。そして新たなコミュニティの中での人間関係は複雑になる一方。 今回登場するのも、モン族というアジアの少数民族。 彼らは助け合って暮らしているけれど、アメリカの悪しき習慣にもまた晒されている。そして良き伝統を捨てるものも現れる。 多民族国家ならではの問題を浮き彫りにしています。 (C)2009 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved. この作品をもって、俳優業を引退し、監督業に専念すると発表したクリント・イーストウッド。 この作品のウォルトは、そんな彼の信念の、最後の置き土産のような気がします。 「俺のポリシーは、これだ」って。 グラン・トリノを磨き上げて大事に乗る。自分の好きなものだけを信じて今まで生きてきた。だけどふと気がつくと周りは自分を避けていて。 だが自分から折れるくらいなら、周りを絶った方がよい。 頑固な彼にとっては隣で暮らす移民一家など、目障り以外の何者でもなかったのに、 タオの懸命さとスーの聡明さ、そして人々の温かい眼差しや、家族を思いやって助け合っている生き方に触れるうちに、次第に彼の中にあったプライドが融解していく。 人を人とも思わない世の中、そして旧き良きものや品格などがどんどん壊れゆく一方の現代においてもなお、未だに輝きを失わないものもある。 それを探し当てられるのかそうでないのか。 幸運にも探し当てられたとしたら、その人間の人生の幅は間違いなく広がっていく。 自分が育てた子孫たちにそれを継承できなかったウォルトにとって、タオは失われつつある輝きを持ち、そして今後も失わずに持ち続けていくだろうと確信させる人物であった。だからこそ彼はタオに自分の信念を継続させたいと願ったのであろう。 不器用な生き方であり、また誤解も受けやすい人生だったのかもしれない。だけどその裏側に、人に自分を継承したいという熱い想いが隠れていることを見抜ける人は少ない。それを前面に出したところで疎まれるくらいなら黙っていた方がよい。そう思う年配者は多いのではないだろうか。 この人物になら託せる、そう感じた時に、自分が持ち続けてきた思い込みから抜け出すことができたなら、きっとうまく自分の想いを相手に伝えられそうな気がする。 最後に何か自分も人の役に立ちたいと思うのなら、知らず知らずのうちに凝り固まっている人生の思い込みが果たして自分にとってプラスなのかそうでないのか、考えてみてもいいのかもしれない。 そしてそれができたウォルトは幸せだったと思います。 そしてこの作品を世に出せたクリント・イーストウッドもまた、継承すべきものを次代に伝えられた幸せな人なんだなと思います。 書いていてやっぱりウォルトは父に似ていると思いました。 父は文学と歴史と政治が好きな人です。 あとお酒も。 若いころは、毎日家で晩酌を欠かさず、また友人たちとよく飲みに行き、そして飲み過ぎると娘の私にいつも説教をする父にかなり反発したものです。 今風に言うなら、「うざい・・・」って思っていたんですね。ウォルトの孫娘ほどじゃないとは思うんですが(笑 ですが歳を重ねるにつれて、そんな父が好きになってきました。 よく考えると自分も似ているくせに、いや似ているからこそ、認めたくなかったのかもしれない。。。 どうしてもっと早く好きになってあげなかったのだろう。 でもそれが、「若い」ということなのかもしれません。 何だか無性に父に会いたくなりました。 ******************************** 今日の評価 : ★★★★★   

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