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テーマ:試写会で観た映画の感想(678)
カテゴリ:邦画(は行・ま行)
企画・原作・脚本 : 山下久仁明 監督・編集 : 福田是久 出演 : 大塚ちひろ、 伊藤祐貴、 石井めぐみ、 小林裕吉、 ピエール瀧、 秋野太作 試写会場 : 町田市民ホール 公式サイトはこちら。 関連HPはこちら。 山下さんのblogもありました。 <Story> 自分を見失いかけてた看護学生の明日美(大塚ちひろ)はある日のこと、愛車の黄色いステップワゴンを見つめている青年・淳一(伊藤祐貴)に声をかける、 高校時代に好意を寄せていた度言う急性に面影が似ていたからだ。 明日美の誘いを断るわけでもなく、助手席に乗り込んできた淳一とともに、二人は海へと向かう。 しかし彼の言動は変だ。 いや、少しどころじゃない。 どう考えてもおかしい。 偶然から始まったドライブは、旅先で出会う人々を巻き込みながら、たくさんの驚きとささやかな幸福と明日美にもたらすことに。。。 (チラシより引用) [東京都写真美術館ホールにて8月22日公開] <町田プレミア試写のレポ> アメブロのお友達、hyoutanさんにお誘いいただき、行って参りました。 町田市民ホールでのプレミア試写会、舞台挨拶つきです。 試写会募集の記事も見かけず、この映画の存在を知らなかったので、有難いお誘いです。 この映画のロケが、東京都町田市と、神奈川県三浦市がメインなので、町田でプレミア試写会をしようという企画になったそうです。 上映前に舞台挨拶がありました。 登壇者は5名。 原案の山下さん、福田監督、石井めぐみさん(母役)、伊藤祐貴さん(長男・淳一役)、小林裕吉さん(次男・健二役)。 もう1人の主演・大塚ちひろさんは、この日は帝劇で舞台ということでした。 山下さんのご長男・大輝(ひろき)くんは、養護学校の高等部入学を目前に、2006年に事故でお亡くなりになりました。 「ぼくはうみがみたくなりました」は、そのご子息をモデルにしたもの。 この本の初版は2002年。 そのころから映画化の話は出ていたそうです。 そして山下さんのお母様も、この映画の完成を楽しみにしておられたそうですが、今年の5月にお亡くなりになったということです。 ロビーの関連書籍の販売コーナーには、お2人のお写真がありました。 山下さんもお2人にこの映画を観ていただきたかったことでしょう。 その想いを恐らくご覧になりながらこの映画の製作に携わってこられた福田監督も、涙声でのご挨拶となりました。 石井めぐみさんは、ゆっぴぃくんを育てられていらしたので、その想いもおありなのか、「この本は絶対に映画化するべきだよ! と、ずっと言っていました。 それがかなって本当にうれしいです」と仰せでした。 オーディションで500人の中から選ばれたという、主役の長男・淳一役の伊藤祐貴くん。 なかなか長身で、ライダー系イケメンくんです! 彼は、撮影の休憩時間も、演技を深めるために淳一くんになりきっていたくらい、この役を研究していたそうです。 その熱意は十分表れていました。 そして次男・健二役の小林裕吉くん。 彼は『アルゼンチンババア』に出演していたそうです。 「恵比寿(東京都写真美術館ホール)をいっぱいにしたい。 そこからムーブメントが起こってほしいと思っています。 今、バトンをみなさんに渡しました。 みなさんから次は誰かにこの映画のバトンを渡して下さい」 と、山下さんと福田監督からのメッセージがありました。 上映終了後、ロビーで、前売券、書籍、CD、Tシャツなどの関連商品展示即売会がありました。 装丁が可愛らしくて読みやすそうでしたので、原作本を購入しました。
青と黄色のコントラストが素敵ですよね。 読みやすくわかりやすい本です。 夏休みの、中高生の課題図書にしてもいい感じです。 終了後もロビーに登壇者の方々は残ってくださって、サインや写真撮影に気軽に応じて下さいました。 私も、本にサインをいただきました。 左から、伊藤くん、小林くん、石井さん、福田監督のサインです。
そして伊藤くんと小林くんのお写真をちょっとだけ。 左が小林くん、右が伊藤くんです。 加工させていただきました。ご容赦くださいね。
とっても気さくなお2人でした。 次回作にも大いに期待したいと思います。 <映画感想> この映画の画期的なところは、自閉症の姿をありのまま伝える姿勢であること、そして自閉症の家族を抱える周囲の偽らざる本音を描いているところである。 原作はロードムービー風なのだが、その中で、秋野太作演じる慎之助がナビゲーターとなり、自閉症についての正しい理解や、対処の方法などを説明し、大塚ちひろ演じる明日美が健常者の視点で受け止めていくという構図である。 淳一を忠実に受け止めて、ありのままを表現するという伊藤祐貴さんの演技の結果、非常にリアリティが強くなっている。 自閉症への理解が浅い人にも、きちんと解説と実像で説明できるようになっている。 また突然のハプニングにも見舞われ、戸惑いながらも、淳一を理解していこうとする明日美の姿もよかったし、夫妻役の秋野太作・大森暁美の距離の取り方などにも大いに配慮があった。 要所要所で出てくる、淳一と出会った時の人々の様々な反応、そしてそれを受け止める側の想いなどもよく表れている。 それがいいものであっても、悪い反応であっても、そのよさや嫌な部分をそのまま観客に見せている。 もともと、原作に忠実に作られており、原作の持つストーリー性や雰囲気はよく出ている。 ただ、観ていて、もっと掘り下げた方がよかった部分もいくつかあった。 例えば、次男の健二とそのガールフレンドの場面などは、兄弟姉妹に自閉症の人を持つ人間の本音が出ているが、健二の出演場面をもう少し多くしたり、母親の抱えてきたトラウマなどももっと紹介していってもよかったように思う。 明日美のバックグラウンドが簡単に終わってしまっていたが、ここも説明した方がよかった。 物語自体が当然のことなのだが「お話」なので、普通では起こり得ないことが起こっていくのだけど、そこの雰囲気を保つことも大事なのだが、バックグラウンドを付け加えてもよかったのではないだろうか。 せっかくの貴重な映画化の機会なので、障害者と健常者のボーダーを取り除くためには、もっと両者の本音を出してもよかったようにも思う。 『ミルク』などでもそうなのだけど、1つのカテゴリーに属することを、それ以外に広めていくのには大変な労力を要する。 理解してもらうには、声を発していかないといけない。 いいところも不都合なところもひっくるめて。 そういう意味において、この映画、もっともっと貪欲であってもよかったように思う。 文章では活字でフォローできても、映像でフォローできることには限りがあるし、また伝わり方も活字とは異なる。 映画でしか表現できない食い込み方も恐らくあったはず。 インパクトを強くすることによって、自閉症に関心がない層にも興味を持っていただくことができるのだから。 自分のカテゴリーにこもっているのは確かに楽ではある。 だが、それを広めていきたいのなら、摩擦や意見の相違がその過程であったとしても、伝えていかないといけない。 この映画がそのメッセンジャー的役割を担っていけるのなら、それは大変誇らしいことではないだろうか。
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