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テーマ:試写会で観た映画の感想(678)
カテゴリ:邦画(か行・さ行)
監督・脚本 : 大森寿美男 原作 : 三浦しをん 出演 : 小出恵介 、 林遣都 、 中村優一 、 川村陽介 、 橋本淳 、 森廉 、 内野謙太 、 ダンテ・カーヴァー 、 斉藤慶太 、 斉藤祥太 、 水沢エレナ 試写会場 : よみうりホール 公式サイトはこちら。 <Story> 天に与えられた“走る”才能をもった2人の若者が出会った。 致命的な故障でエリート・ランナーへの道を諦めたハイジ(小出恵介)と、事件を起こし競技から遠ざかった天才走者カケル(林遣都)だ。 ハイジはカケルこそが秘かに温めていた計画の切り札だと確信、壮大な夢への第一歩を踏み出す。 それは、寛政大学陸上競技部の8人と、学生長距離界最大の華“箱根駅伝”出場を目指すこと。 ところがこの競技部とは名ばかりで、8人は陸上から縁遠い上、漫画オタク(中村優一)や25歳の留年生(川村陽介)、アフリカから来た留学生(ダンテ・カーヴァー)など、ユニークなキャラクターが揃っていた。 だが、なぜかハイジは、自信に充ち溢れている。 彼の編み出す緻密なトレーニング法と走ることへの信念、仲間への揺るぎない信頼が、皆を変えていく。 やがて明かされる、ハイジの故障の理由とカケルが起こした事件の真相、そして8人それぞれが抱えてきた本当の想い。 果たして、心を一つにした10人は、箱根の頂点に立つことができるのか? [ 2009年10月31日公開 ] 風が強く吹いている - goo 映画 <感想> 三浦しをんさんの本は好きでよく読みますが、これは未読。 直木賞受賞後すぐ発表の作品です。 彼女の描写の、鋭くて、既視感にあふれているところなんて好きです。 ああ、そこなのよ私が読みたかったのは。。。 っていうのをちゃんと書いてくるところです。 ハイジとクララ、ペーターなんかの例えは、しをんさんらしいなあと思わず笑ってしまうようなゴロでした。 彼女の作品の中には本を閉じたくなるような残酷な短編もあったりしますが、総じて彼女の小説は面白い。 これも読んでみたいと思います。 あと、今年の初めには、これが舞台にもなっていたそうです。 これは知らなかったな。 舞台版のハイジが黄川田将也くんで、こっちも気になる。 DVDで鑑賞してみたい。 箱根駅伝を題材にしているということで、調べたら原作本もどうやらそうらしいんですが、話としては現実にはおよそあり得ないことだし予定調和ではある。 ただそこに行きつくまでに、本人たちがどのように自分を鍛錬して成長していったか、そこを見る話なのでしょう。 ハイジの小出くんがこんなにしっかりしてるんだなあ・・・と改めて思う。 彼も若手と言われるけどもうその下の、林くんみたいな若手が育って来てて、その兄貴分なのかと思うと感慨深い。 生きているとそれだけ楽しいこともあるけど苦しみも徐々に増えていって、そういうほろ苦さを経ないとわからないこともあって。 そんないい意味でのアニキ的存在だったし、撮影でもうまくまとめていく感じだったのかもしれないなと思いながら観ていた。 カケル役の林くん。 『バッテリー』で見た時は、そのピッチャーにしてはあまりにも細すぎる線に逆にびっくりしてしまったんですが、相変わらず今も細かった(笑) だけど、長距離ランナーという役には、この細さがプラスしたようにも思う。 体脂肪率1ケタじゃないと長距離走れませんもんね。 そういう意味で林くんはリアリティある細さだったし、また実際に彼は足が速い! 筋トレとかもしたんだろうなーと思うくらい、二の腕とか筋肉ついてましたし。 天才ランナーという役どころであるからには、当然天才的能力に相対するバランスとして未熟な部分がついて回ると思ったんですが、そこは上手に出していたと思う。 過去のトラウマや、周囲との調和が取れなかったこと、そういう日常的なことの諸々が、メンタル面で競技の足を引っ張りかねない感じもよくわかる。 管理だか指導だかわからない部活動。 もっと伸び伸びと自由にやりたいのに。 カケルが駅伝を走れたのはきっとハイジと出会ったから。 ハイジの掌の中で、カケルだけじゃなくて竹青荘のみんなが転がされてたんだろうと思うんだけど、その中で走る意味を見出していけたことはとても価値あることだったんじゃないでしょうか。
その他のメンバーも個性豊かで面白かった。 司法試験に合格済みなのに箱根を走るって何? って、笑ってしまう設定もあったりするんですが、全員が全員、強い陸上部の高校から推薦で大学入って。。。だけじゃつまらないのもまた事実。 むしろ、舞台版の説明では、雪彦はシリアスなことを抱えていたらしいだけに、そういうみんなが抱える人生をもっと説明してもよかったくらいかも。 1人1人をよく見ていて、適材適所に割り振ったのがハイジのすごい部分で、その視点がなかったらきっとみんなここまでついては来れなかったと思う。 駅伝メンバー以外ではやっぱり六道大学の藤岡役・渡辺大くんがよかった。 高い目標を据えて、それでいて相手をリスペクトするけど自分にも絶対の自信がある。 これが嫌味なくできてたからカッコいいんです。 それと。。。 津川さんはかなりこの中では浮いて見えてしまった。 竹青荘の大家&監督ってことで、原作でも割とおとぼけキャラらしいんですが、あのマイクは選手にとってはかなり場違いかなとも思う。 あれだけのこと、走ってるときには聞けなさそうにも思うんだけど。 上映後、舞台挨拶があった。 登壇者は大森監督、ムサ役のダンテ・カーヴァーのお2人。 もしかして林くん来てくれるかもという願いは脆くも崩れる(笑 Q.この映画のどこが見どころですか? 大森監督:走っている場面だけではなくて、彼らが一緒に過ごす時間の流れのようなものも観てほしい。 ダンテ・カーヴァー:暗い所を走りながら、1人1人にスポットが当たる場面があるが、あれはそれぞれが悩みを抱えながらも走る目的については同じものを目指しているように思う。 Q.撮影時に大変だったことは? 監督:箱根駅伝のコースは借りることができなかったため、他の場所で箱根駅伝を忠実に再現しなくてはいけなかったこと。 ダンテは実はかなり走れるんですが、ストーリーの初めでは陸上とは関係ない留学生の設定なので、走れない感じにしてもらうことがあり、その方が彼はかえって大変だったと思う。 ダンテ:特に大変なことはなくて、撮影の合間にはみんなでふざけたり、食べ物を取り合いっこしたりなど、楽しいことばかりだった。 キャラクターだが、初めは走れない学生を演じないといけないので、それまでいつもやっていたウェイトトレーニングを中止したり、食事も1日に何回にも分けて食べていたのをやめて、身体を少し小さくするようにした。 走ること自体は得意なので、全く苦ではなかった。 この試写会場にたくさんの人が見に来てくれて本当に今日は嬉しい。 とにかくたくさんの人に観てもらいたい、家族や友人とも楽しめる映画です、と、お2人ともおっしゃってました。 ダンテさんは「予想GUY」の方なんですね。 最近あまりTVを見ていないのでわからなかったんですが、きちんとしていて、作品を的確に説明して下さり、好印象でした。 ダンテさんのこのインタビューに、この映画の全てが凝縮されているような気がしてならなかった。 すなわち、「抱えているものはそれなりにみんなあるけれど、それでも1つのゴールを目指して走って行くことが素晴らしい」ということ。 その場面を心理的に表わしているのも印象に残る。 箱根駅伝のコースを撮影には使えなかったにも関わらず、忠実に再現しているのはうれしいところ。 どのくらいのエキストラがいるんだろうっていうくらい大勢の人々がいて、その再現にうまく実際の駅伝の映像も挿入したりしていて、苦心のあとが窺える。 そんな雰囲気を十分に味わった、素敵な映画でした。
今日の評価 : ★★★☆(5点満点中3.5点) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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やはりこの試写会でしたか^^
私も応募したけど、あっちの方が当たりました。 こちらも舞台挨拶付きだったんですね(^^*) これは試写会に当たったら行こうくらいの感覚だったんですけど、 ★3.5は結構高評価かしら?? (2009.09.30 23:47:50)
こんにちは!!
近所の映画館の試写会、抽選ハズレました>< 家族で、箱根駅伝オタクなので、この本は、2年前には、読んでました。 漫画も出ていて、こちらも読破(笑) やっぱり、箱根コースは走れなかったのかぁ~・・・。 ぜひ、観てみたい映画です。 (2009.10.05 14:48:16)
こんにちは~
>近所の映画館の試写会、抽選ハズレました>< そっかあ。。。 残念。 実はこれ、2通目が当たってしまったんですが、ヤクルトホールだったんで友達にあげちゃったのよ。 近かったらお譲りしたんですが。。。 >家族で、箱根駅伝オタクなので、この本は、2年前には、読んでました。 >漫画も出ていて、こちらも読破(笑) 本は最近買って、読書待機中です。 マンガもあるんだね~。 >やっぱり、箱根コースは走れなかったのかぁ~・・・。 >ぜひ、観てみたい映画です。 ----- 箱根は貸してもらえなかったそうです。 でも、湯本駅前なんかは、実際の画像を挿入したり、工夫してましたね。 鶴見中継所、ゴール地点の芦ノ湖畔なんかは、本物のコースに似せてました。 原作お好きなら、観て損はしないと思いますよ! (2009.10.07 08:03:57)
良い作品なのですが、基本ストーリーに対して+αが足りなかったのが難点だったかも・・・。
それでも監督デビュー作にしては、しっかりとした演出力を持った監督だったので好感を持ちました。 (2009.10.10 23:01:02)
こんにちは~
>良い作品なのですが、基本ストーリーに対して+αが足りなかったのが難点だったかも・・・。 +αも、あり過ぎてもいけないけど、なさ過ぎてもいけないですよね。 そのあたりの加減は難しいです。 >それでも監督デビュー作にしては、しっかりとした演出力を持った監督だったので好感を持ちました。 ----- そうですね。 とても真面目な作品でした。 見せ所がちゃんとしていたので、こういう作品は好きです。 (2009.10.11 06:19:24)
rose_chocolatさん、こんばんは!
王道ですし、予定調和ではあるんですが、やはりこういう物語はグっときますねー。 確かに小出君は若手と言われていますが、あの中では一番しっかりしているリーダーという感じですよね。 林君はこういう役はぴったりですね。 走るフォームも本当のランナーみたいでした。 この方は動きに関しては天性のカンがあるのではないかと思いました。 (2009.11.01 17:11:55)
こんばんは~
>王道ですし、予定調和ではあるんですが、やはりこういう物語はグっときますねー。 細かいところは考えないことにして。。。 なら、味わえますね。 でも何となく予想がついてしまったのもあるんですけどね。 >確かに小出君は若手と言われていますが、あの中では一番しっかりしているリーダーという感じですよね。 すごくしっかり者という感じでした。 ああいう感じも似合う齢になってきたんだなあと。 >林君はこういう役はぴったりですね。 >走るフォームも本当のランナーみたいでした。 >この方は動きに関しては天性のカンがあるのではないかと思いました。 ----- きっと元々運動神経いいんでしょうね。 あの体つきは、ランナーとしてすごく説得力ありました^^ (2009.11.01 18:04:10)
舞台挨拶づきの試写会でご覧になったのですね。
確かに展開はベタなのに、さわやかで感動的でした。 <それでも1つのゴールを目指して走って行くことが素晴らしい」ということ。 そうですね。何よりここが良かったです。 TBさせてくださいね。 (2009.11.06 13:57:25)
こんにちは~
>舞台挨拶づきの試写会でご覧になったのですね。 ダンテさんは、なかなかしっかりした方でしたね。 面白かったです。 監督さんもとても真面目。 >確かに展開はベタなのに、さわやかで感動的でした。 ><それでも1つのゴールを目指して走って行くことが素晴らしい」ということ。 >そうですね。何よりここが良かったです。 ----- 箱根駅伝って大体ああいうことがあるかな・・・ と思ってたら本当に映画でもそれをやってまして、でもそれをキチントドラマにしていくのは難しそうです。 それをきっちりとこなした映画でした。 (2009.11.13 16:47:40) |