2009/10/17(土)11:09
『クヒオ大佐』 (2009) / 日本
監督 : 吉田大八
出演 : 堺雅人 、 松雪泰子 、 満島ひかり 、 中村優子 、 新井浩文 、 児嶋一哉(アンジャッシュ) 、 安藤サクラ 、 内野聖陽
公式サイトはこちら。
<Story>
米特殊部隊ジェットパイロットのジョナサン・エリザベス・クヒオ大佐(堺雅人)。
華麗なる経歴と流暢な日本語で次々と女性をおとす彼は、実は名前も経歴もでっちあげの稀代の日本人詐欺師だ。
今は弁当屋の女社長・しのぶ(松雪泰子)を夢中にさせているにも係わらず、博物館のエリート学芸員の春(満島ひかり)や銀座のホステス・未知子(中村優子)もその毒牙にかけようとしていた。
しかしそんな中、しのぶの弟・達也(新井浩文)に、クヒオが詐欺師だと見抜かれてしまい……。
クヒオ大佐 - goo 映画
<感想>
堺さんだし予告も楽しそうだし、っていうことでこれは観ておかないとなって感じで鑑賞。
クヒオ大佐が、どうしようもないホラ吹きってことは見ているこちら側はわかっているので、その騙し方をじっくりと楽しむ感じ。
携帯のない時代って、こういうことするのに無茶苦茶エネルギー使ったんだなーっていうのがよくわかる。
しかも周りにバレバレだし(笑
計算ずくで行動しているし、それがうまくいってる場面もあるんだけど、相手が予想外の行動に出た時のクヒオの顔が変わるのが面白い。
それでも彼は彼なりに一生懸命その場から起死回生を図っているのもわかるんですけどね。
3人の女性たちを見てて、クヒオが女性を選ぶ基準っていうのがちょっと不明な感じがしましたね。
弁当屋のしのぶは、美人でお金が自由になるってことでわかるんだけど、
>博物館のエリート学芸員の春
>銀座のホステス・未知子
ここの選定基準がわからん。
少なくとも春はエリート学芸員には見えなかったけど。。。 (服装があまりにもフツーな感じだったんで)
ホステスだって、普通、銀座のお店にはクヒオみたいなのはいきなり入れないでしょ!? って激しく思ってしまうんだけど。
そして未知子がクヒオの来店動機をすっかり見抜いてしまうのが笑える。 未知子とは役者が違うのに、本気で騙そうと思っているクヒオも笑える。
(C)2009 『クヒオ大佐』製作委員会
クヒオは、騙しているつもりがかなり初歩的なドジを踏んでて、しかもそれを学習していないっていうのが、自分的にどうもなあーと感じました。
頭悪い・・・?
しのぶの弟にも指摘されているのにわかってない(笑
(この弟役の、新井浩文さんはうまかった)
今なら携帯とかネットとかで簡単に正体バレそうですけど、当時はそういうのがないからわかりにくい。
だけど女性を騙すのにいつも同じようなネタなので、いくらなんでもいい加減わかりそうなのにってこっちは思うんだけど。
あと堺さんの「つけ鼻」が結構不自然に見えちゃうんですよね。
やっぱり、私たちはスクリーンやTVでの堺さんを知っているせいか、どうしても「あ、鼻つけてるんだ・・・」って方に意識が行っちゃいます。
あんまりハーフに見えなかったし。。。 ってそれは仕方ないですかね。 エリザベス女王のいとこの。。。って。
女性も、自分の心の隙間にすーっと入ってくる存在があったら、それにぞっこんになるのかな。 それはしょうがないけど、渦中にいる間はそのいい加減さに気がつかない。 終わってみて初めて、「何であんなのと付き合ってたんだろ」って思うのが常ですから(笑
大体、付き合いだしてから「お金がどーの・・・」って言ってくる男はダメダメなんだけど(笑)、好きだからついつい払ってしまうんでしょうね。
お金のために自分が利用されているってわかるまでは止められないんだと思います。
3人の女性たちの演技は、それぞれの役に合っててよかった。
特に満島ひかり&安藤サクラが出て来た時は、思わず『愛のむきだし』かと思いましたが(笑)、なんかこの2人って目が離せない。 次はどんな演技してくるのかいつもわくわくする。
松雪さんも、綺麗どころなんだけど、あくせく働いてる生活感も滲み出てる。
中村さんは他の2人に比べてインパクトは薄かったけど、ホステスの裏表を演じ分けていたのは細かかったですね。
クヒオがどうして人をだますようになるのか、そこの原点も描かれているのはこの作品を理解する上で大事なことでした。
満たされない想いを彼自身も抱えている。 それが彼を妄想へと駆り立てて、何もない自分でも、自分を繕えば他人が寄ってくるということがわかったから。
あの米軍の制服は彼にとって、シンデレラの衣装だったのではないでしょうか。 いつかは魔法は解けるけど、それまでの間に束の間の美味しさを提供してくれるから。
ただ、米軍が日本を守る動機と、クヒオが女たちを騙した時に使う言い訳が同じって言うのもどうかなあ・・?
望んでいることをした、って彼は言ってますけど、果たしてそうか? 全員を騙しおおせたわけじゃないですからね。
あと内野さんがご出演なんですけど、彼の出演した部分が本編とすっぱり切り離してもおかしくないくらいつながってなかった。
普通に面白いは面白いんだけど、疑問点もいっぱい感じてしまった1本でした。
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今日の評価 : ★★★