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テーマ:映画館で観た映画(8344)
カテゴリ:洋画(は行)
原題: LA DANSE, LE BALLET DE L'OPE'RA DE PARIS 監督 : フレデリック・ワイズマン 出演 : パリ・オペラ座エトワールほかダンサーたち 、 ブリジット・ルフェーブル 、 パリ・オペラ座職員 鑑賞劇場 : 109シネマズ川崎 公式サイトはこちら。 <Story> シンボリックな円屋根の下、今日もダンサーたちが入念なリハーサルに臨んでいる。 気鋭の振付家と共につくり上げてゆく演目は古典からコンテンポラリーまで幅広い。 エトワールと呼ばれるトップ中のトップを頂点に厳然たる階級社会を築くバレエの殿堂パリ・オペラ座。 そこでは、ダンサーたち以外にも、衣装係、照明係などのいわゆる裏方をつとめるスタッフ、芸術監督、広報担当者らが一丸となって最高の芸術を目指している。 パリ・オペラ座のすべて - goo 映画 <感想> こういう、芸術系の作品は絶対に外せない私。 シネコンでうまくかかってたんで、逃さず鑑賞できました。 ○・シネマ、たぶん激混みだからね。。。 フレデリック・ワイズマンの作品は実は初めてです。 ドキュメンタリーは大好きなんですけどね。 3時間にわたる長尺の本作、大勢のオペラ座に関わる人たちが出てきますが、エトワールだからと言って、独立したインタビューの時間を長く取る訳ではなくて、彼らもオペラ座を支える一員に過ぎない、というスタンスで撮影している。 すなわち、スポットライトが当たる人間だけをクローズアップするのではなく、衣装・調理・劇場清掃といった裏方さんに至るまで、無言のうちに粛々と映し出している。 公平に、ということなんだと思いました。 そして最高のものを提供するために集まってくる一流の仕事ぶりは、裏方にまでしっかりと及んでいて、特にくどくどど説明がなくても仕事の流れを見ているだけで、彼らの技量がしっかりと伝わってくる。 ですけどやっぱり目を惹くのはダンサーたち。 だけど彼らの普段の様子も容赦なく映し出しているんですよね。 華やかな舞台ももちろんありなんですが、それに向かって日々努力しているところも容赦なく。 だから、エトワールの女性たちが、振付の微妙なところに悪戦苦闘している様子などは、客席から見たらわからないくらいの、本当に些細な表現をとても苦労しているのがわかる。 その些細なところができるかできないかで、舞台での動きや表情がまるで変わってくる。 最高の状態を観客に提供するために、彼らに課される課題は重く、それがクリアできる年齢が限られてしまうのも致し方ない。 その修了が決まっているからこそ、上に向って挑戦していくのだろう。 映画には練習風景だけではなくて、ところどころ舞台の場面も挿入されている。 古典ものの「くるみ割り人形」などはおなじみでわかりやすいが、現代美術のようなテイストの、実験的な舞台もある。 普段私たちが見慣れている舞台は前者のクラッシックな雰囲気のもので、いきなりモダンなものが出てくると、どこに理解する主点を置いていいのかが一瞬わからなくなってしまうのだけど、動きの敏捷さや表現の細かさで、その言わんとするところを的確に伝えているのはさすが。 ソロパートなどは踊り以上に演技が要求されていて、練習の段階から何やら官能的な雰囲気まで漂うのには驚いてしまう。 それほど日常の鍛錬を通じて、自分たちの肉体を知り尽くしているのであろう。 ここまでプロッフェッショナルな世界を淡々と描いていくワイズマンの手法に、観ている側は戸惑うこともあるかもしれない。 何故なら、余計な説明は一切ないし、必要かもしれないと思われる人々へのインタビューもそれほどないからだ。 そのことがかえって逆に、オペラ座の日常をありのまま伝えることになっているし、先入観をなくして観客も鑑賞できるのかもしれない。 日常はドラマチックな振れ幅は小さく、そして日々の積み重ねが舞台で開花するということはこの世界でも当然のことであって、その当たり前のことをそのまま切り取って見せてもらっている。 あるいは、そのまま切り取ったように見えて、実は「日常の延長である非日常」を映しだすために、計算された映像があるのかもしれない。 オペラ座という世界の日常風景の中にも、こうして様々な要素が流れていることがわかる。
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