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テーマ:試写会で観た映画の感想(678)
カテゴリ:洋画(か行)
原題: CAPITALISM: A LOVE STORY 監督・脚本・出演 : マイケル・ムーア 試写会場 : 一ツ橋ホール 公式サイトはこちら。 <Story> 2008年9月15日、リーマン・ブラザーズ倒産。 創業158年の歴史を持つ大手証券会社の経営破綻は、世界金融危機の引き金となり、世界経済は瞬く間に“100年に一度”と呼ばれる同時不況に陥った。 ここ日本でも、土地価格暴落・年越し派遣村・平均株価下落・大量リストラ・就職氷河期…と、リーマン・ショックから約1年が経過した今も、不況をめぐるニュースを目にしない日はない。 「アメリカがくしゃみをすると、日本が風邪をひく」とは言うけれど、いったい誰が初めに「カネの亡者」ウィルスを撒き散らしたのか? 1億円以上の年収を得ていたNYウォール街のエグゼクティブたちは、あの時いったい何をしていたのか? 莫大なおカネは、いったいどこに消えてしまったのか? [ 2009年12月5日公開 ] キャピタリズム~マネーは踊る~ - goo 映画 <感想> 本当に久々の試写会当選。 最近忙しかったんで応募もしてなかったんですが、よりによってこのド忙しいTOHOシネマズパスポート月間に当選とは(苦笑) これ、シャンテでは12月5日に公開なのでパスポートで行けないこともないんですが、たぶん12月はシャンテまで行けないだろうと予想。 ここで観ておいて正解だったかもしれません。 マイケル・ムーア作品は『シッコ』のみ鑑賞しています。 これもアメリカの医療保険制度がテーマでしたが、それよりも本作はテーマがかなり大きく、その分過激度はぐんと減っている。 何しろ戦時中から今までの経済政策を説明しないといけないわけですから、その時間にかなり割かれてしまっています。 彼独自の映像って何割くらいだったのか? 3割とか4割くらいだったかもしれません。 恐らく経済に詳しい方、仕事上金融関連ニュースに触れている方にとっては、本作の説明は常識レベルであった筈。 普段は気になっているけどなかなか勉強する機会がなくて、とか、わかりにくいからパスという方たちにとっては、わかりやすい解説という感じがする。 とは言ってもそこは経済の話ですから、ある程度の知識がないと置いて行かれちゃいます。 興味のない人にとっては退屈かも。。。。 話の内容も難易度高いですから。 ということで、本作が理解できるかできないかは、その個人の資質によって大きく分かれるということだけは言えるでしょう。 鑑賞前の、アメリカの20世紀&今世紀に入ってからの経済情勢の予習は必至です。 それでも相変わらずマイケル・ムーア氏の感覚? は健在で、これまでに崩壊してしまったアメリカ金融システム、引いてはそれが個人の生活を根底から揺るがしてしまったことへの怒りというものは伝わってくる。 一部の富裕層が富を独占、というか、分捕れるところからは全て剥ぎ取るというしくみです。 景気が悪い、病気になった、教育費がかさむ、解雇などの事情 → 借金 → 住居を手放す、というスパイラル。 それをわかりやすく説明しているところは評価できます。 ルーズベルト大統領が戦時中に提唱した6つの項目について、未だに何一つ実行されていないことを見ても、アメリカがやってきたキャピタリズムが歪んだ構造であったことがわかるだろう。 ただ、ここに描かれていない側面から考えるとすると、例えばですが、全ての人が生活苦から借金をしている訳ではない、中には今までの生活レベルを維持したいがために借金する人もいるかもしれない。 うっかり手を出してしまった消費者側の落ち度というものが皆無とは言えないので、それが全く描かれていないのはどうかと感じる。 そして今まで起こってきたことに対して、映画の中であまり解決策を打ち出せていないのも気になった。 下院議員の話を聞く、金融機関に対して怒りを表明する、そこがクローズアップされてしまって、ではどこから手をつけたらいいのか、それは民衆が声を上げることがかなり効果的であるというのはわかるが、抜本的な動きにしていくにはそれだけでは弱そう。 だからこの映画を見てみんなで叫ぼう! というのがたぶんこの映画の目的なのだろうとは思うんだけど。 これが作られたのが恐らく昨年くらい、オバマ大統領が選出される頃の映像が最新なので、もうそれから早1年経過する今、時勢は刻々と変化してしまっている。 なので、今これを鑑賞しても、もう時代の流れが早過ぎて、この映画が追いついていっていない。 CNNなどを観ている人にとっては、恐らくそちらの経済&政治的な予測の方が遥かに「今」なのである。 最近オバマ大統領の支持率が急落しているが、その今の情勢を見てからこの映画を改めて観ると、果たして民衆の声がどこまで届くのだろうかという想いはある。 民衆の権利行使を阻止すべく、権力(金融機関)側がどのような手を使ってくるかを予想しても面白かったかも。 日本もアメリカも今年は大きく変化した。 海を越えた彼らの声を聞きながら、私たちも上げるべき声を持った年だったのではないかとも感じる。 上げた声がそのまま届いているかしっかりと確認しておかないといけないですけどね。
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