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カテゴリ:「私の本棚」・TV・演劇
たまたま、この本を購入して読み始めたところ、 試写会にも当選し、行ってきました。 まず、自分が外さない「食」の系統の映画ですので、 公開されたら絶対に観に行こうと思ってましたし、 うれしい^^ 後ほど書きますが・・・。 とても読みやすい本です。 倫子がどうして「食堂かたつむり」を開くことになったのか。 祖母の言い伝えごと、そこから派生する「食」への想い、 恋人とのこと、母との葛藤。 全部が全部、倫子のバックグラウンドとなって、彼女を後押ししている。 ここで、この土地で食堂を開くことは、 彼女にとっては天命のようなものだったに違いない。 声を失うことは、それ相応のショックが表れているから。 では、どうしたら声を取り戻せるのか? と、 普通の人なら右往左往していると思うのだけど、 倫子は、それをしていない。 つまり、 「声が出なくても、困らない」 という概念で、このお話は進んでいく。 声が出ないことを、どうにかして、躍起になって治したい。 通常ならその感覚だと思うが、 彼女はそのことを受け入れている。 受け入れたうえで、自分が生きていく場所を探していく。 祖母からの言い伝え、祖母と暮らした日々。 それが倫子に、自分の生きる道をもたらした。 料理、である。 祖母からのレシピは全て身体に染みついている。 受け継いだことの全てを生かして、 1日1組のお客様方の身体が、心が、欲している食事を、 最高の状態で提供するお仕事。 だから、食に関しての記述も、実に詳細に描かれています。 これを読んで、作ってみたいと思うお料理もいくつかありました。 そして何と、パンレシピも! 後日作りたいと思います。 これってすごいうれしいことで、 実際、食関係のことに少し携わらせていただいていた身としては、 こうして、何か作ろうというインスピレーションを掻き立ててくれる映画だとか芸術だとかに出会えるのは、貴重なことなんです。 この映画から、料理本も出ているそうですので、 今度本屋さんで見てみたいと思いますが。。。。 食事作り、おもてなし、お店の経営を通じて倫子が出会った人、物、そして心。 それらがみずみずしい感覚で描かれています。 祖母の言い伝えのいきさつ、そしておかんとのいきさつ、 エルメスとのこと、 そして、「食」に関すること。 どれもが生き生きと本音で書いてありました。 映画をご覧になる前にこちらをご一読いただくと、 より、映画の世界が深くわかると思います。 同時収録の短編「チョコムーン」。 実はこれは、「食堂かたつむり」に来た1組の客がモチーフとなった短編です。 こちらの方がより、小川さんの「食」への想いがあらわれているようにも思いました。 食とは、官能的なもの。 これは以前に『eatrip』や、『ジュリー&ジュリア』でも引用しましたが、 ここにもこの概念がありました。 美味しいものを好きな人と一緒に食べる。 ただ単に食べるだけではなくて、 味覚、嗅覚、視覚、 そして流れる時間の感覚を共有するという事が、 こんなにもいろいろなものをもたらしてくれる。 好きな人と一緒に、美味しいものが食べられる。 その時間が全ての人にあるならば、 この世のたいがいのことは解決できるのかもしれないという仮定は、 案外、正しいのかもしれません。 そのことが、あくまでもさらりと、流れるように表わされている本書、 読みやすいので、お気軽にご覧ください。 映画は2月6日(土)公開です。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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