2010/03/17(水)04:23
『スイートリトルライズ』 (2010) / 日本
監督 : 矢崎仁司
原作 : 江國香織
脚本 : 狗飼恭子
出演 : 中谷美紀 、 大森南朋 、 池脇千鶴 、 小林十市 、 大島優子 、 安藤サクラ 、 黒川芽以 、 風見章子
公式サイトはこちら。
<Story>
人気テディベア作家の瑠璃子(中谷美紀)は、夫の聡(大森南朋)と結婚して3年目。
周囲からは理想的な夫婦に見られるが、最近は体の関係がなくなり、聡は自室でTVゲームをする時間が多くなっていた。
そんな時、瑠璃子はベアの個展で春夫(小林十市)という青年と出会い、情熱的な春夫のアプローチによって2人は恋に落ちていく。
一方聡は大学のサークルのOB会で、自分に好意を寄せる後輩・しほ(池脇千鶴)と再会。彼女と時間を過ごすことが多くなり……。
スイートリトルライズ - goo 映画
<感想>
「本当は夫だけを愛していたいのに」という、結構そそられる感じのコピーや、
予告の映像もあり、期待度大で行って参りました。
原作は江國香織さん、未読です。
全体的には、いかにも江國香織さん原作らしい映画のように思えます。
映像的に美しさを狙っていて、ストーリーもあくまで淡々と、ドロドロしない、というところです。
去年、そして一昨年のmy映画ランキングの第1位にはいずれもどろりんことした不倫系が来ているのですが(笑)、
別に好き好んで選んでるわけじゃなく(笑)
2008年my映画ランキングはこちら。
2009年my映画ランキングはこちら。
何が作りたいのかが明瞭であって、しかも個人個人の想いが伝わる作品が好きで、選んだらこうなっちゃっただけなんですどね。
基本的に不倫ってドロドロしてて、どうしようもなく、また想いというものが当事者間の脳内でのみ語られますので、映画よりは活字のほうが世間には正確に訴えるものができるようにも思います。
映画化するに当たっては、原作未読者に細かいニュアンスをわかってもらうことは大切なことのようにも思うんですけど、
残念ながら本作は、自分たちだけの想いの領域を脱出していないように感じました。
雰囲気を大事にしたいというのはわかるのですが、やっぱり唐突な印象は拭えず、
その背景にあるものをもう少し抉り出して欲しかったですね。
聡がなぜいつの間にかゲームに夢中になっちゃったのか、そしてどうしてまた腕の中に瑠璃子を入れてみようかと思ったのか。
瑠璃子は春夫に対して本音はどうなのか。
もう一歩踏み込んで観てみたかったですね。
庭先のわんこつながりのおばあちゃんのセリフがありましたけど、それに集約させてしまおうと思えばできる。 ただこの集約だけだと動機として弱いようにも思うんです。 ここのところは個人差あるんで何とも言えませんが。
池脇千鶴ちゃんはリハウスガールに選ばれた時から知ってまして、こんな役するようになったんだあ・・・ と妙なところで感慨に耽っちゃいました(笑
ただ大森さんとの実年齢差が10歳あり、この映画でのルックス的にも歳の差っぽく感じてしまったので、
原作がどういう設定かわからないのですが、ちょっと不釣り合いにも見えてしまいました。
彼女の体当たり的演技には大いに驚嘆しますけど。
まあ年が離れている方がリアルに存在するっぽいのかもしれませんけどねえ・・・。 笑
中谷さんとのほうがどうしてもしっくり見えちゃいますね。 夫婦役なので当たり前といえば当たり前ですけど。
そしてここでも出てきた安藤サクラさん。
彼女のうまさは目で演技できるところで、表情を変えないでそれができるのはさすが。
踏切の場面は見所です。
映画自体の結論は、白黒はつけてはいなかったように感じました。
「よりが戻った」ようにはあまり感じられなかったかな。
原作はどうかわからないけど、この夫婦の「スイートリトルライズ」は何となく今後も続いちゃうようにも取れますね。
それもまた1つの結論と言えばそうなのかもしれないけど。
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今日の評価 : ★★ 2/5点