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テーマ:映画館で観た映画(8350)
カテゴリ:洋画(あ行)
原題: ENTER THE VOID 監督・脚本 : ギャスパー・ノエ 出演 : ナサニエル・ブラウン 、 パス・デ・ラ・ウエルタ 、 シリル・ロイ 、 オリー・アレクサンダー 、 サラ・ストックブリッジ 、 エド・スピアー 、 丹野雅仁 鑑賞劇場 : 109シネマズMM横浜 公式サイトはこちら。 <Story> 日本にやって来たオスカー(ナサニエル・ブラウン)は、東京の繁華街にアパートを見つけ、最愛の妹・リンダ(パス・デ・ラ・ウエルタ)を呼び寄せた。 しかし、オスカーは定職も持たず、ドラッグに溺れ、ドラッグ売買にも手を出し始める。 リンダはストリップ・バーでポール・ダンサーとして働き始める。 ある日、友人にドラッグを渡すために入ったバーで警察の手入れにあい、銃で撃たれてしまう。 オスカーの魂は体を離れ、これまでの人生をフラッシュバックしながら東京の街を彷徨う…。 エンター・ザ・ボイド - goo 映画 <感想> 今年のフランス映画祭でかかっていて観賞したかったんですが、 どうしても終映時刻すぐに出て六本木駅に走っても、終電間に合うかギリギリ・・・ って時間だったのでやむなくあきらめた作品。 案外早く一般公開だったのでよかった。 内容的にも思いっきりアート系? いかにも、観る人を選びます的な匂いがぷんぷんしてて、こういうの好き。 ・・・ と思ったらこれR-18なんですね。 道理で場内女性が少なかった訳で。 オスカーとリンダの兄妹の行動の原点となっている悲劇。 そこへと 物語は回顧して行きながら、現在を描く。 と同時に、オスカーの魂は肉体を離れて、自身にまつわる様々なことを巡りながら浮遊して行く。 この浮遊の仕方が、東京の街を俯瞰していくような映像になっている。 アレックスの同居人の部屋いっぱいに繰り広げられる模型そっくりの光を放つ「TOKYO」の姿。 誰も頼れない街、一歩中に入ると悪魔のような人にしか出会えなかったTOKYO。 それでもその光に吸い寄せられるように集まってくる人々は、この街に何を求めているのだろうか。 成功や名声を求めたとしても、真っ当な方法でそれを手にすることは、見かけほど容易ではないのに。 一見破天荒に見える人の裏側というか本質には、 ものすごく単純な幸福、ありふれた幸せ、満たされた愛情だけがあればいいというメッセージが隠されていることが少なくない。 本作の、オスカーとリンダも恐らくそうなのではないか。 幼くして生きていく術を失った2人。 誰も頼れない中、お互いの存在だけが支えだったのに、異国での生活はどこを見渡しても地獄ばかり。 こんなはずではなかったのに・・・ と思っても、特に卓越した才能がある訳じゃない外国人が日本で高収入を上げようと思ったら、やっぱりillegalなことしかないのだろうか。 それが手っ取り早いからなんだろうなとは思うんだけど、他に生きる道を探せなかったのか。 リンダが悪魔たちに出会ってしまったからというのを差し引いても、大事な、自分の分身でもある妹に辛い思いをさせるっていうのも少々気の毒すぎるような気もする。 しかしながら、分身であるからこそ、自分と同じように地獄に堕ちていくんじゃないかという見方もできるかもしれないけど。 「あなたたちへの愛と、パパへの愛はまるで違う種類のものなのよ」 と言った兄妹の母。 この2つの愛は、人が生きていくうえでなくてはならないものであり、どちらかが欠けてしまうとバランスが取れなくなる。 与えられるべき愛を失った2人は、互いの中に絆を作り、補おうとする。 そして、片方は救われない地獄の中で生きながらも、もう片方は肉体が魂から分離してまでもなお、自分で探すべき愛を求めていく。 どこまでも果てなく続く、愛情の探求。 見つかるまで永遠にオスカーは浮遊し続けるのだろうか。 そしれリンダには愛は訪れるのだろうか。 設定的に、キャストに共感できそうな要素が少なめですので、 そこを受け入れられるかどうかが、この映画を好きになれるかなれないかの境目だと 思います。 そして東京という都市への憧憬とか、オマージュも薄めなので、そこを期待し過ぎると違うかな。 日本人キャストたちにほとんど感情が込められてないですから、そこではなくて、主人公たちの「浮遊感」を味わう作品でした。 ************************************ 今日の評価 : ★★★☆ 3.5/5点 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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