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2010/07/16(金)18:23

『ガールフレンド・エクスペリエンス』 (2009) / アメリカ

洋画(か行)(77)

原題: THE GIRLFRIEND EXPERIENCE 監督・撮影・編集 : スティーヴン・ソダーバーグ 出演 : サーシャ・グレイ 、 クリス・サントス 、 マーク・ジェイコブスン 観賞劇場 : シネマライズ 公式サイトはこちら。 <Story> 2008年秋、ニューヨークの街は、リーマン・ブラザーズ証券の倒産による経済破綻に陥り、不景気と、アメリカ大統領選を控えた静かな興奮に覆われていた。 高級エスコート嬢のチェルシー(サーシャ・グレイ)は、様々なエリートたちと食事を楽しみ、本当のガールフレンドのような時間を過ごし、1時間2,000ドルを稼ぎ出している。 高級アパートで同棲している恋人のクリスは、彼女の職業を理解していた。 しかし、だんだんと二人の関係はすれ違っていく…。 ガールフレンド・エクスペリエンス - goo 映画 <感想> これも単館上映でなかなかチャンスがなかったんですが、思い切って行ってきました。 仕事帰りに映画のハシゴだなんて。。。 苦笑 高級エスコート嬢(要するにコールガールのこと)という職業は、大抵背後に怪しげな組織がいるものですが、 このチェルシーはどうやら自分で自分をプロデュースしているらしい。 (プロデュース方法の詳細は映画の中では語られませんでしたが) その一貫としてインタビューを受けたのだろうし、売り込みにも行っている。 大体、このテの職業に就く時というのはお金のためだったり自分の快楽のためだったりというのが大きな理由かもしれないけど、チェルシーの場合は、彼女自身の中にある種の「哲学」があるような気がします。 体系的に高級エスコート嬢をとらえようとしている雰囲気が伝わってきます。 そのせいか、あとで彼女のボーイフレンドのクリスがラスベガスに出かけた時に出会って話している女の子たちの表情がとても空っぽに見えるんですよね。 チェルシーは明らかに戦略的に自分の職業に対して向き合っていて、何も考えてなく刹那的に男性を過ごす女の子たちとは一線を画しているようにも感じます。 とはいってもそこは商売柄、危険も存在している。 売り込みを逆手に取ったセクハラなどは卑劣な行為ですね。 自分としてはもっといい方向に自分を持っていきたい。 実際チェルシーにはそういう素質があるようにも思うんです。 スタイリッシュな服装だったりライフスタイルだったり。 考え方だって柔軟で、時流に浸かり過ぎずに冷静に見る目があるようにも感じます。 ただ彼女を利用しようとたくらんでいる者たちは多く、どこまで彼女がそれを見分けるのかということも、今後の展開にも関わってきます。 商売とはいえ、そこに商売以上の魅力を相手に感じてしまうこともある。 では、付き合っているクリスに対してそれを感じているのかと訊かれたら、 必ずしもそうとは言い切れないのではないか。 今はたまたま側にいるし付き合っているけど、それがイコール「運命的な出会い」とは言い切れないから。 ジャーナリストは、「客は本当のあなたを知りたいのではないか」と問いかけ、 チェルシーはそれをはぐらかしているけれど、 本当の自分など、一体人生の中で何人に見せるのだろうか。 逆に考えれば、見せたいと思う人に巡り合ったとき、その瞬間というものも自分の中では確実にわかるような気もする。 美しい顔立ち、そして鉄のような表情の下に見える、 女としての本能のようなものを感じさせます。 ソダーバーグ監督の、つかみどころのなさがお好きではない方も多いのかもしれませんが、本作、結構自分のツボに来ました。 実際ラストなどは、「?」と思う方も多いかも。 でもそれまでの流れで、観客はチェルシーが自分の職業に対して真剣に向き合い、本当の自分を探していきたいという気持ちがあるとわかっているから、狭い店の奥でのユダヤ人とのシーンも、どことなく彼女らしいという目線で見ることができる。 相手の何を、自分は満たせるのだろうか。 そのことも、仕事に向かう彼女の中には常に頭の中にあるのかもしれない。 その上で自分らしく仕事をしている工夫もしている。 頭のいい女性なのだろう。 そのことを吐き出す相手は、自分の中で何かを感じ取れる人しかあり得ない。 そんな彼女の信念や生き方には芯が通っていて見ていて潔いし、またNYの流行りのブティックなども登場して、その空気が心地よくも感じる。 *********************************** 今日の評価 : ★★★★ 4/5点   

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