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テーマ:映画館で観た映画(8347)
カテゴリ:洋画(さ行)
原題: EASTERN PLAYS 監督 : カメン・カレフ 出演 : フリスト・フリストフ 、 オヴァネス・ドゥロシャン 、 サーデット・ウシュル・アクソイ 、 ニコリナ・ヤンチェヴァ 、 ハティジェ・アスラン 鑑賞劇場 : シアターイメージフォーラム 公式サイトはこちら。 <Story> ブルガリアの首都ソフィア。 38歳のイツォ(フリスト・フリストフ)はドラッグ中毒を克服すべくメタドン治療を続けている。 仕事は木工技師だ。 恋人ニキ(ニコリナ・ヤンチェヴァ)の誕生日の晩、レストランに出かけるが、そっけない態度をとって喧嘩別れになってしまう。 帰り道、観光客のトルコ人一家がネオナチの集団に襲われている現場に遭遇し、スキンヘッドの弟ゲオルギ(オヴァネス・ドゥロシャン)の姿を見つける。 助けに入って怪我をしたイツォは一家の美しい娘ウシュル(サーデット・ウシュル・アクソイ)と親しくなるのだった。 ソフィアの夜明け - goo 映画 <感想> 昨年の東京国際映画祭サクラグランプリ、監督賞、主演男優賞受賞作品です。 一般公開ということで行って来ました。 TIFFでは未見。 今年のサクラグランプリの、『僕の心の奥の文法』でもそうだったんですけど、 これも、一際私の心に響いたっていう感じではなかったんですね。 そういう意味ではサクラグランプリの傾向は自分には合っていないのかも。 内容としては、今年観た『そして、地に平和を』に似ているんですよね。 はびこる悪に対して、どう立ち向かって、捉えていくかということがテーマです。 『そして、地に平和を』では、その結論が示されていたり、あるいは決着のつけ方が くっきりしていたり、そういう意味ではいろいろ挑戦している作品だったと 思うのですが、 本作は、主人公が撮影終了間際に急逝したという事実もあり、 結論が先送りになってしまったというか、観客に委ねざるを得ない部分で かえってそれがサクラグランプリの要素にもなったかもしれませんが、 逆に考えると損をしてしまった感じもしました。 結局、委ねられたら、最後は好みの問題なんでしょうね。 ブルガリアも歴史に翻弄されてきた国であり、 世界でも経済的に豊かとは言えない事実が、この映画の大きな構成要素となっている。 貧しい国だと、収入を得る手段として非合法な組織が多く存在したり、 政治結社と政治家が癒着しているケースもあるし、それがさらに社会の歪みを生む要因になるから。 その中では人々の希望というものはことごとく実現されず打ち砕かれ、 楽な方へ、日銭が稼げる方へと流されていく。 一見流されているように見えて、でも根底にはしっかりと信念を持っているイツォが、 方針が決まらないゲオルギに手本を見せているのは、この状況下ではなかなかできないことだと感じます。 自分の背中を見せるということです。 そしてウシュルや、トルコ人等の他民族に対してのイツォの考えというものも1本筋が通ったものがあり、 それを彼は貫く訳ですね。 貫いたところで自分にとっては辛かったり過酷だったり、徒労に終わることがあるかもしれないのに、それをしていく。 ウシュルの問いかけに対して彼は、「悪くなっていくことを止めることはできない」と答えているけど、 その中でも、ではどうしたら悪くならないのか、そのシチュエーションにとっては何がベストなのかを考えて、自分の方針としてやっていく姿勢ですよね。 そこがこの映画が評価された所以でしょうか。 荒廃しているけれど、恐らくは美しいのだろうなという自然の名残も時々見えたソフィアの街。 邦題の夜明けの風景が印象的です。 「イースタン・プレイ」の原題のままのほうがよかったかもと思っていたけど、夜明けも確かにいい。 ですが最も言いたかったことは、「東欧で今何が起こっているか」なのでしょうね。 イツォはほぼフリスト・フリストフだそうですし、彼そのものなのに完成を観ることなく この世を去ったことに対しては、無念と言う他はないでしょう。 今日の評価 : ★★★ 3/5点 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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