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2010/12/29(水)18:06

『君を想って海をゆく』 (2009) / フランス

洋画(か行)(77)

原題: WELCOME 監督: フィリップ・リオレ 出演: ヴァンサン・ランドン 、フィラ・エヴェルディ 、オドレイ・ダナ 、パトリック・リガルド 、ティエリー・ゴダール 鑑賞劇場 : ヒューマントラストシネマ有楽町 公式サイトはこちら。 <Story> イラク国籍クルド難民のビラル(フィラ・エヴェルディ)は、フランス最北端の港町カレにたどり着いた。 恋人ミナの住むロンドンに行くためには、目の前のドーバー海峡を渡らないといけない。 トラックの荷台に忍び込み密航を試みるが失敗、ビラルは海峡を泳いで渡ることを決意する。 ビラルは偶然出会った水泳コーチのシモン(ヴァンサン・ランドン)に、レッスン料を払い水泳の指導を求める。 彼の目的に気付いたシモンは、その無謀な試みを諦めるように忠告するが…。 君を想って海をゆく?-?goo?映画 <感想> これもほぼ単館公開・・・ ということで行けるときに行かないと。 パスポート鑑賞の合間を縫って行って来ました。 監督が、私の大好きな映画『灯台守の恋』のフィリップ・リオレなので、そこも超期待。 リオレ監督は、海の描写が好きなのですけど、 本作でも海のシーンがたくさんありました。 厳しい海の表情を的確にとらえるのがうまいですね。 人間に対して、立ち向かう海・・ というスタンスなのでしょうね。 フランスの移民問題は、本作に限らず、様々な映画でも取り上げられています。 何かのエピソードとして、絡んでくる形で入っているものも多いのですが、 本作はまさに移民問題の最前線を描いている。 ありとあらゆるところで取り締まっている姿を見るにつけ、 その功罪についても考えさせられてしまいます。 移民を受け入れることによるデメリットを回避したい国の都合があり、 生活を脅かされる心配をする人々があり、 そして新天地で幸福になりたい移民があり。 3者3様の主張だけど、最終的には力が強いところが勝つ・・・ というのも見ていて虚しくなることがあります。 日本でも今年は外国人の権利について取りざたされたこともあり、 移民が大量に押し寄せた時にどういう対応を取るのか、対岸の火事ではないんですよね。 ビラルが祖国イラクからはるばるフランスまでやってきたのは、 いられないっていう切実な問題ももちろんあったけど、それ以上に彼を動かしているのは ミナへの想い。 とにかく彼女に逢いたい。 ただその一心で彼は手段を選ばないで挑戦する。 その過程がどうにも切ないんですよね。 そこまでしないと自由になれない人たちの苦悩です。 実際に国境を超えようとする人たちの涙ぐましい努力、内部の人間関係、 そして、「クルド人」に対しての考えとも戦わないといけない。 それでも自由を勝ち取りたいという欲求に変わりはない訳です。 シモンも、彼自身の家庭が終わりを迎えようとしている中、 そんなビラルに出会い、どうしようもない不可抗力から逃れようとしている彼に、 疑念を抱きながらも共感してしまいます。 まるで彼の家庭が崩壊して行くのを食い止めたいかのようでした。 その心がビラルを応援するんでしょうね。 ビラルがたどった足跡をたどり直すシモン。  その行動に、最後まで責任を感じている真摯な姿を感じました。 今日の評価 : ★★★★ 4/5点    

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