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2011/02/06(日)19:35

『ザ・タウン』 (2010) / アメリカ

洋画(さ行)(97)

原題: THE TOWN 監督・出演: ベン・アフレック 出演: ジョン・ハム 、レベッカ・ホール 、ブレイク・ライブリー 、 ジェレミー・レナー 公式サイトはこちら。 東京国際映画祭クロージング作品。 これは人気で、当然のごとくプレは全て外しちゃいましたので、 一般公開まで待って鑑賞して来ました。 実際にこの舞台となったチャールズタウンという街は存在していて、ボストンに吸収合併された入植地。 アイルランド系住民が多く住むらしい。 ボストンと言えばハーバード大学やMITなどの有名大学がある文教の街である一方で、 地区によってはこのように犯罪発生率が高い場所があるの? と調べてみると、 あからさまに犯罪発生率が高いと言及している訳ではないみたい(『ザ・タウン』関係の感想やらサイトに、やたらそういう指摘が多いのってどーなんでしょ)。 原作の小説は、昔刑務所があったチャールズタウンを舞台に設定し、架空の強盗犯罪の街という風に作り上げたようで、このあらすじだけで一概にチャールズタウンそのものを凶悪な街と断定するのは尚早のように感じますが・・・。 観終わって思ったのは、テーマとしては似ている要素がある映画は多く存在していて、 私が観た中では、同じ東京国際映画祭で上映があった『そして、地に平和を』ですとか、『ソフィアの夜明け』だとか、 そういったジャンルです。 街全体が荒廃していて、そしてそこに住む者たちの中に悪の連鎖が存在する、ということです。 荒れた街で育ち、そこ以外何も知らない環境だと、 染まる以外に生きる術はないのかもしれない。 朱に交われば・・ ということですが、 その街で散々犯罪をしてきたダグは、仲間のジェムらとは一線を画し、 タウンを出ようとする。 もともとダグの生い立ちの中で、悪に染まりきるには完全になれない部分があったのかもしれないし、 または罪を重ねる中でその意識が芽生えたのかもしれない。 その説明は詳しくはなされなかったように思うけど、とにかくダグは人生を変えたいと切望している。 彼の仲間たちがみんな根っからの「ワル」なのに、どことなくダグだけが まだ根っこには立ち直れるような要素が垣間見えている。 ここがポイントのように感じます。 悪の中にもわずかなる善が存在する、そこに希望がある、しかしそこから抜け出すことは容易ではない。 その彼を決断させるのは、今まで彼が知らなかった世界で生きていたクレアだった。 正面突破では到底かなわないことを、2人にしかわからない方法で実現させようとするダグの試みは、それだけ彼が真剣だからこそなんだろうと思います。 話としては『ショーシャンクの空に』(→ ネタばれ、要反転)を思い出してしまいました。 てっきり展開から、よくある悲劇ものとばかり思っていたので、この最後はあら?って感じもしなくもなかったけど、 基本的に架空の話だから、ファンタジーであってもいいという考えなのでしょう。 俳優が監督をする場合って、割と正面切っての問題作とか社会派作品というのではなくて、 どこか物語の中に、ご自身とは離れた世界に仕上げた部分が多いんでしょうかね。 ディエゴ・ルナ監督作品の『アベルの小さな世界』でもそう感じました。 悪の連鎖が世界中にあるならば、そこから抜け出したい人たちもまた同じ数だけ存在しているはず。 その希望を見出せる終わり方は一理あると思います。 昨年『ハート・ロッカー』でも活躍した、ジェレミー・レナーが、 根っこに抱える不安を犯罪にぶつけている若者役、 そして『旅するジーンズ』シリーズではガールズトークを展開してくれたブレイク・ライブリーが、本作ではダグへの依存から脱却できないクリスタを演じていて、 そのあたりの役作りも面白かった。 そして俳優としてはポジションを築いたベン・アフレックが、今後どのような作品を作って行くかも大いに期待させる作品となりました。 今日の評価 : ★★★★ 4/5点     

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