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テーマ:映画館で観た映画(8324)
カテゴリ:洋画(さ行)
原題: NA PUTU/ON THE PATH 監督: ヤスミラ・ジュバニッチ 出演: ズリンカ・ツヴィテシッチ 、レオン・ルチェフ 、ミリャナ・カラノヴィチ 、 エルミン・ブラーボ 、マリヤ・ケーン 鑑賞劇場 : 岩波ホール 公式サイトはこちら。 ヤスミラ・ジュバニッチ監督作品。 前作の第56回ベルリン国際映画祭金熊賞受賞作品・『サラエボの花』は未見。 これは事前にボスニア・ヘルツェゴヴィナについての予習が必要ですね。 ボスニア・ヘルツェゴヴィナ紛争について Wiki 紛争が1992~1995年、そしてこれがその15年後ということで、当時の話も絡んできます。 紛争当時に両親を殺されたルナは美しく成長し、 B&H航空のキャビンアテンダントをしている。・・・ という設定なんだけど、この主演のズリンカ・ツヴィテシッチがとても美しい。 ちょうど均整が取れてて、かつ適度に熟した女性の感じがあって。 ルナはアマルとの生活やら将来を夢見ていたけど、 変わっていくアマルとの間の距離は縮まることはなかったのでしょうね。 やはり自分の原点に逆らうことは、人間、そうそう出来ないような気がします。 忘れようとしても忘れられない絶望や、 目の前の思い出が完全に過去のものになってしまって、共有したくても出来ない虚しさを突き付けられたらそれだけでももうショックでしょうし。 地域的に宗教人口も入り混じり、そしてそれが紛争の原因にもなる中で、 日常的にイスラム教との関連は不可欠な生活ではあるけれど、 やはりそこに全面的に入ることは、たぶんルナの根本的なものが許さなかったのだと 思いました。 自分の愛していた人との距離感が次第に離れていくことを実感しないといけないのは 辛いことです。 しかしそこに敢えて結論を出していくルナは強い。 物語の背景にあるものを詳しく調べた方が、この映画が言わんとしていることの 本当の意味がわかってくると思います。 民族的に日本人には理解しにくい部分もあるかもですけど、 命をかけて自己を貫きたいと葛藤するルナの姿は、自分を取り巻く流れにハッキリとNOを突き付けていくという意味で、共感を得るところが多いように感じました。 ★★★★ 4/5点 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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どうして宗教ってこうなっちゃうんでしょうね。
こういう作品を観るたびに私などは無宗教でよかったわぁとか思っちゃう。 結局原理主義的なドグマとって私から見たらオウムと変わらんのです。独善的で排他的で、はまっちゃったらもうどうしようもないというか。 確かに離れていく恋人に何も出来ないのは辛いかもしれない。でも彼女はそんな彼を客観的に観れる分、思想的には私たちに近い立ち位置なんで、余計に彼女に共感できるのだと思います。 (2011.03.31 23:14:14)
こんにちは~
ルナはアマルが彼の視点ではなくて、 宗教的視点から彼女を見ていることが耐えられなかったでしょうし、 またその時点で彼との距離感を感じたんだと思います。 「自分がどうだからではなくて、○○がこうだからあなたが好き」、っていうのは、相手から言わせれば究極に失礼です。 私も手を切りますね(苦笑) (2011.04.01 06:23:01)
rose_chocolatさん、こんにちは。
戦争・宗教・国民性を背景に庶民(家族)を描いているという意味では スザンネ・ビア監督に通じるような気もしました。 30代の女性監督がここまで人間の本質に踏み込めるのは凄いなとは思いますよ。 (2011.04.02 13:20:10)
こんばんは~
>戦争・宗教・国民性を背景に庶民(家族)を描いているという意味では >スザンネ・ビア監督に通じるような気もしました。 スザンネ・ビア監督好きですが、 こちらのヤスミラ・ジュバニッチ監督もしっかりとハッキリとした主張で、私は好きなタイプかも。 ↓のインタビュー、なかなかいいですね。 http://cinetri.jp/interview/naputu_jasmila/ >30代の女性監督がここまで人間の本質に踏み込めるのは凄いなとは思いますよ。 たぶんですけど、本質的なものの考え方がブレがない方なんじゃないでしょうか。 普遍的と言うか。 そこがしっかりしているから共感を得ることができるんだと思います。 (2011.04.02 23:27:34) |