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2020/05/23(土)18:12

劇団一跡二跳「きりぎりす」

演劇(古城十忍)(13)

【劇団一跡二跳 第58回公演】   「きりぎりす」  脚本:山田信夫  原作:渡辺淳一(「少女の死ぬ時」より)  潤色・演出:古城十忍  THEATER/TOPS  開演 19:00  <配役>  有津公一郎(医師)  : 奥村洋治  有津久子(妻)    : 木野しのぶ(劇団朋友)  小田節子(看護士)  : 花岡 尚  北岡雄二(研修医)  : 高久慶太郎  小西錦一(久子の父) : 林 秀樹(文学座)  小坂風子(看護士)  : 関谷美香子  山村圭子(直子の姉) : 村田麗香  山村三枝子(直子の母): 増田 和  山村直子(心筋症患者): 吉澤 緑  山村朝雄(直子の父) : 溝渕康裕  ほか 劇団一跡二跳   本日は舞台鑑賞のハシゴです。 頭も身体も疲れるから本当はあまりやりたくないけれど、スケジュールの都合上こうするしかない。東京バレエ団の「ドン・キホーテ」を観賞後、上野から新宿へ移動しました。時間的には余裕で、紀伊国屋書店(本店)の地下にあるうどん屋で美味しいおうどんも食べられて満足(笑)。 <あらすじ> 「俺たちがやめた時が、この子の死亡時刻だ。」 ベテラン医師が勤務を終え病院を出た矢先、大声で呼び止める声がする。 「先生! 戻ってください、早く!」 交代したばかりの当直の若い研修医が病室から体を乗り出してそう叫び、すぐに姿が消 えた。 医師はこの後、妻と大事な大事な待ち合わせがあり一瞬、躊躇する。 だが病院に舞い戻り、301号室に駆け込むと、若い研修医が患者の上に馬乗りになり 、人工呼吸の真っ最中。同じく年若い看護婦は慌てて酸素マスクの準備をしている。 患者は既に呼吸も心臓も停止寸前。まだ10代の幼さの残る少女。心筋症の患者だ。 ベテラン医師と若き研修医とその恋人の看護婦。 瀕死の患者を前にして、いつ終わるともわからない、壮絶な、命を懸けた闘いが始まる ――。 (※劇団一跡二跳HPより)  心臓外科の権威である東京女子医大のDrが「医療アドバイザー」をつとめただけに、舞台上で行われる医療行為もかなりリアルで(もちろん演技)、稚拙ですが「凄いもんみちゃった」と驚きました。医療ドラマ好きな娘ちゃんが観たら、真剣にハマったと思うわ。    少女の命をめぐって交わされる、ベテラン医師と研修医の心理的葛藤や、医師と家族との関係。時に笑いを含ませながらも緊迫したドラマが展開します。そして病院外では、ベテラン医師の家族の小さなドラマが同時に進行してゆきます。最後にこの2つのドラマが一緒になるのですが、医療の限界と人間の尊厳、個と家族。どちらを優先すべきなのか?正解はあるのか?…などなど、考えてしまいました。どちらをとっても何かしらの後悔が残る…自分自身を無理矢理納得させる辛さ…。私たちも日々の生活でよく直面します。  はじめから最後まで頼りない研修医君で「いくら見た目がカッコ良くて若くても、こんなボンボンには絶対診てもらいたくない!信頼できるベテラン先生がいいっ!」と正直不安の連続でしたが、彼(研修医)がこの体験で得たものはものすごく多く、大きかったはずです。人の死に直面するという場数の少なさと若さゆえの純粋さが、バカなようでいてこの救いようのないドラマの中では唯一「希望」を感じたものでした。  この作品のタイトルである「きりぎりす」は舞台上にも登場しますが、籠の中のきりぎりすを物語の登場人物と、その人を取り巻く環境に例えて観ていて、これまた色々と考えてしまいました。私たちは自由なようでいて、実は檻の中で生きているにすぎないんじゃないかとか。 色々と考えさせられる社会派ドラマは、実は大好きです。 ★劇団一跡二跳 HP http://www.isseki.com/

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