2020/05/23(土)19:43
夏の夜の夢
【新国立劇場2008/2009シーズン】
夏の夜の夢
作:ウィリアム・シェイクスピア
翻訳:松岡和子
演出:ジョン・ケアード
美術・衣裳・ヘアメイク:スー・ブレイン
照明:中川隆一
音楽:イローナ・セカッチ
音楽監督:久米大作
音響:黒野 尚
コレオグラファー:広崎うらん
★新国立劇場|演劇|「夏の夜の夢」
http://www.nntt.jac.go.jp/season/updata/20000068_play.html
<配役>
シーシアス(アテネの公爵)
オーベロン(妖精の王):村井国夫
ヒポリタ(アマゾンの女王、シーシアスの婚約者)
ティターニア:麻実れい
イジーアス(ハーミアの父):大島宇三郎
ハーミア(ライサンダーを恋する乙女):宮 菜穂子
ヘレナ(ディミートリアスを恋する乙女):小山萌子
ライサンダー(ハーミアを恋する若者):細見大輔
ディミートリアス(ハーミアを恋する若者):石母田史朗
クウィンス(大工):青山達三
ボトム(機屋):吉村 直
スナック(指物師):小嶋尚樹
フルート(ふいご直し):水野栄治
スナウト(鋳掛け屋):大滝 寛
スターヴリング(仕立屋):酒向 芳
パック、またはロビン・グッドフェロー:チョウソンハ
ティターニアの妖精:神田沙也加、JuNGLE 、倉田亜味、清家悠圭
オーベロンの妖精:浅井信好、西田健二、森川次朗、柴 一平
他 インドの子ども(子役)、オーベロン・バンド、ティターニア・バンド
昨年好評だった舞台の再演。今回が初見です。
(以下、感想。一部ネタバレありますので、ご注意下さい)
白と黒で統一された舞台装置と出演者の衣装がオシャレでした。…ゴス風味?
ティターニアの妖精たちの衣裳はバレエのチュチュみたい。(神田沙也加ちゃん、可愛い~。親の七光りではなく、地道にキャリアを積んでいるのね)オーベロンの妖精達は個性派揃いのイケMen'sでした。ヒップホップダンスのシーンは皆カッコ良かったです。バンドの方達が妖精さんと同じ羽を背中につけていたのはご愛嬌。あと劇中にダンスシーンが結構あるせいか、女優陣はロングドレスの時も足元はダンスシューズでしたね。(ラストでハーミアはウエディングドレスで「側転」したり…アクロバティックな振付けも多々あり)
「公爵の屋敷」(白)と「妖精たちの棲む森」(黒)が回転舞台の表裏になっています。蔦の絡まる黒い「森」はゴシックなイメージ。螺旋階段を昇ったり降りたりの演出がスピーディーで良かったですが、黒いセットの上に夜のシーンが多いから、ふわふわスカートのティターニア@麻美さんは、足元を気遣ったのではないかしら。
お話は、まぁいつも通り面白かったんですけど…
…こんなに長い「夏の夜の夢」は初めてでした。3時間20分(途中休憩含む)
これが、本物(?)ノーカット版のシェイクスピア「夏の夜の夢」?
これまでに観た同名作品では、婚礼前後のシーシアスとヒポリタのやり取りとボトム一座の「出し物」は(大概カットされていたのか)なかったですね。その点は新鮮?
ラスト。屋敷での婚礼舞踏会が至福のうちに幕を閉じ、その裏側の世界の森では妖精王と女王が仲直り。これまた至福に心がほわ~ンとくるところへ、再び舞台が回ると何と「舞台裏」…そこにいるのは、貴族でもなく妖精でもなく、素の役者たち。最後に、パック@チョウソンハが告白します。「ここで今ご覧になったものは、一夜のまぼろし。つかの間の夢だ」と。至福の夢の時間は嘘でしたと言うのではなく、人間は「創造」「想像」力で、いつだって夢を作り出せるんだと信じられる、そんなラスト。
うわー何この憎い演出。
(その時のく~てんの心の声)
すべてはつくりものの嘘、儚い夢。それでもいいじゃない。
嘘と知りつつ騙されて、夢の世界に身を置くのも悪くはなかろ。
生きるのに大切なのは、夢を生み出す柔軟な心と夢を忘れない心さ~。
拍手。
以前ジ・アトレ(新国立劇場の会報誌)のインタビューの中で、麻美れいが「私は新国立劇場では喜劇女優と思われているようです(笑)」と答えた一文を記憶していたので(なぜか新国では喜劇作品に出演する彼女)どんなティターニアを見せてくれるのか期待していました。
ヒポリタの時には典雅に、ティターニアの時は時折「地」のおっとり感を醸し出した浮かれぶりがとてもチャーミングでした。やっぱり素敵です~ターコさん。
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